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2☆雪と晴房の恋愛事情☆恋
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「ゆきさん…雪さん!」
「は、はい!」
手の甲をじっと見つめて考え込んでいた雪を呼んだ男の人を見上げる。
「手の甲でも怪我をしたのですか?」
男らしい笑顔と、汗をタオルで拭いながら、心配そうに聞いてきた。
「相良さん、そんな事はないですよ。心配してくださってありがとうございます」
雪は笑顔を相楽に向けると、左手の甲を右手の平手で覆った。
「そうですか、なんか、今日はぼーっとしてるなぁと思って」
相良さんは特に積極的に雪に話しかけてくる。
最近入った入門者だ。
だから、いつもより丁寧に接する。
相良は背がモデル並みに高くガタイが良く男らしい。
顔も悪くはない。
男らしさ輝くいい男だ。
歯もキラリと白い。
常連の門下生の人に、
「雪さん目当てでこの道場に変えた色魔だから気をつけて」
と言われた。
そんなあからさまな悪口を真に受けるほど、相良のことをしらなければ、真に受けない雪とだった。
自分の目で真実を見るまでは噂しかないと雪はそう芯通っている。
けれど、色魔とは言わないまでも、色々好意をアピールしてくるわね…とは思う。
お義父さんからは、まだ若いのだから恋愛でもしろと言われているけれど、息子もいる、この家に骨を埋める覚悟だ。
もう結婚しないつもりでいる……
それに相良は男らし過ぎて好みじゃない。
そんな相良と晴房を無意識に比べてしまう。
晴房に一目惚れしたんだと思う。
男らしいけれど何処か、神秘的で、きれいで………面白い人。
私を笑わせてくれた人。
純粋な子供みたいな人。
昨日あったばかりなのに、なぜか、頭に彼のことしか浮かばない。
☆昨日の会話☆
皇居近くの公園のベンチまで晴房に誘われて晴房がどのような立場なのかを知ることになった。
「李流の上司だったのですか!?これは失礼な言い方をしていて申し訳ないです」
晴房が李流の上司だったことに驚く。
突然、李流の母らしく深々とおじぎをされて、晴房は苦笑いをする。
「いやはや、素晴らしい息子さんですな。飲み込みが早くて、何よりあの歳で国のことや陛下を心から心酔する若者はすくないですからな……」
ははは、と作り笑いをして、大人の礼儀としての心からの言葉をいうが、このままの雰囲気だと、一生このまま、部下の母と上司の関係になってしまうと晴房は考え、
「なので、雪さんと第二の李流君を作りたいなぁ……」
わざとでも、本気な言葉を李流にかこつけて、上司と部下の母の関係を壊しに入った。
雪は笑顔で固まってる。
「………」
しばらくそのまま無言の時が過ぎると、晴房は顔を両手で覆った。
「すまん、本気なんだけど、李流を絡めるべきではなかったな…」
本気で晴房は反省する。
そして、何故か恥ずかしく顔を赤らめているのを見せたくないようだった。
しくしく泣いている様な仕草が可愛くて、面白くて、
「ふふ。なんだか、かわいい…」
つい口に出してしまった。大人の男性に失礼とは思いつつも自分よりも年下っぽいし、自分はもうおばさんだからかまわないかと思って謝らない。
晴房は雪の方を指の隙間から恐る恐る見ると、歳のわりには若く可愛く微笑んでいる。
笑顔が輝いて見てる。
これが恋がなせるエフェクトというやつか、本当に雪は若作りなのか、分からないが、どちらでもいい、雪が可愛く愛おしい。
晴房は思わず、雪の肩を抱いてしまった。
「雪のほうが可愛い…」
「可愛いと言われる歳は過ぎてるから言われるとはずかしいんだけど…」
若い人から言われると困惑する。
かわいいといわれてうれしくないわけではないけれど……
それに肩を遠慮無くではなく優しく抱かれてドキドキが増す。
「でも私にとって、出会った時から雪は美しく可愛いと思ってるよ」
雪は顔を真っ赤にして、何を反論したらいいのかわからなくなってしまった。
「雪は私のこと好きか?」
「…好きかも…」
つい、正直に言葉に出してしまった。
会ったばかりなのに何故か、ここちの良い人だと思って……
「かも?」
「息子の上司というだけでもハードル高いのに…」
李流にバレたら母を軽蔑するかもしれない。
上司である晴房をも軽蔑の目で見るだろう。
「も、もうお義父さんが心配するのでお暇させていただきますね。
李流のことよろしくお願いいたします。
あとこのプリントも渡してください。」
雪はバックからプリントを取り出し晴房に手渡す。
晴房はプリントではなく雪の左手首をつかむ。
「もし…私のことを知りたいなら、明日もこの時間に会う約束だ」
そうして手の甲にキスをした。
今日初めて会ったのに、情熱的に攻められると悪い気はしない…
また会わなくてはいけない気がしてしまう。
なんだか夢のようで現実に思えない。
三十路を過ぎて恋に夢見ごちになるなんて……
また、ぼーっと相良を見ながら考えてしまったためか、相良が勘違いしたことに雪は気が付かなかった。
「は、はい!」
手の甲をじっと見つめて考え込んでいた雪を呼んだ男の人を見上げる。
「手の甲でも怪我をしたのですか?」
男らしい笑顔と、汗をタオルで拭いながら、心配そうに聞いてきた。
「相良さん、そんな事はないですよ。心配してくださってありがとうございます」
雪は笑顔を相楽に向けると、左手の甲を右手の平手で覆った。
「そうですか、なんか、今日はぼーっとしてるなぁと思って」
相良さんは特に積極的に雪に話しかけてくる。
最近入った入門者だ。
だから、いつもより丁寧に接する。
相良は背がモデル並みに高くガタイが良く男らしい。
顔も悪くはない。
男らしさ輝くいい男だ。
歯もキラリと白い。
常連の門下生の人に、
「雪さん目当てでこの道場に変えた色魔だから気をつけて」
と言われた。
そんなあからさまな悪口を真に受けるほど、相良のことをしらなければ、真に受けない雪とだった。
自分の目で真実を見るまでは噂しかないと雪はそう芯通っている。
けれど、色魔とは言わないまでも、色々好意をアピールしてくるわね…とは思う。
お義父さんからは、まだ若いのだから恋愛でもしろと言われているけれど、息子もいる、この家に骨を埋める覚悟だ。
もう結婚しないつもりでいる……
それに相良は男らし過ぎて好みじゃない。
そんな相良と晴房を無意識に比べてしまう。
晴房に一目惚れしたんだと思う。
男らしいけれど何処か、神秘的で、きれいで………面白い人。
私を笑わせてくれた人。
純粋な子供みたいな人。
昨日あったばかりなのに、なぜか、頭に彼のことしか浮かばない。
☆昨日の会話☆
皇居近くの公園のベンチまで晴房に誘われて晴房がどのような立場なのかを知ることになった。
「李流の上司だったのですか!?これは失礼な言い方をしていて申し訳ないです」
晴房が李流の上司だったことに驚く。
突然、李流の母らしく深々とおじぎをされて、晴房は苦笑いをする。
「いやはや、素晴らしい息子さんですな。飲み込みが早くて、何よりあの歳で国のことや陛下を心から心酔する若者はすくないですからな……」
ははは、と作り笑いをして、大人の礼儀としての心からの言葉をいうが、このままの雰囲気だと、一生このまま、部下の母と上司の関係になってしまうと晴房は考え、
「なので、雪さんと第二の李流君を作りたいなぁ……」
わざとでも、本気な言葉を李流にかこつけて、上司と部下の母の関係を壊しに入った。
雪は笑顔で固まってる。
「………」
しばらくそのまま無言の時が過ぎると、晴房は顔を両手で覆った。
「すまん、本気なんだけど、李流を絡めるべきではなかったな…」
本気で晴房は反省する。
そして、何故か恥ずかしく顔を赤らめているのを見せたくないようだった。
しくしく泣いている様な仕草が可愛くて、面白くて、
「ふふ。なんだか、かわいい…」
つい口に出してしまった。大人の男性に失礼とは思いつつも自分よりも年下っぽいし、自分はもうおばさんだからかまわないかと思って謝らない。
晴房は雪の方を指の隙間から恐る恐る見ると、歳のわりには若く可愛く微笑んでいる。
笑顔が輝いて見てる。
これが恋がなせるエフェクトというやつか、本当に雪は若作りなのか、分からないが、どちらでもいい、雪が可愛く愛おしい。
晴房は思わず、雪の肩を抱いてしまった。
「雪のほうが可愛い…」
「可愛いと言われる歳は過ぎてるから言われるとはずかしいんだけど…」
若い人から言われると困惑する。
かわいいといわれてうれしくないわけではないけれど……
それに肩を遠慮無くではなく優しく抱かれてドキドキが増す。
「でも私にとって、出会った時から雪は美しく可愛いと思ってるよ」
雪は顔を真っ赤にして、何を反論したらいいのかわからなくなってしまった。
「雪は私のこと好きか?」
「…好きかも…」
つい、正直に言葉に出してしまった。
会ったばかりなのに何故か、ここちの良い人だと思って……
「かも?」
「息子の上司というだけでもハードル高いのに…」
李流にバレたら母を軽蔑するかもしれない。
上司である晴房をも軽蔑の目で見るだろう。
「も、もうお義父さんが心配するのでお暇させていただきますね。
李流のことよろしくお願いいたします。
あとこのプリントも渡してください。」
雪はバックからプリントを取り出し晴房に手渡す。
晴房はプリントではなく雪の左手首をつかむ。
「もし…私のことを知りたいなら、明日もこの時間に会う約束だ」
そうして手の甲にキスをした。
今日初めて会ったのに、情熱的に攻められると悪い気はしない…
また会わなくてはいけない気がしてしまう。
なんだか夢のようで現実に思えない。
三十路を過ぎて恋に夢見ごちになるなんて……
また、ぼーっと相良を見ながら考えてしまったためか、相良が勘違いしたことに雪は気が付かなかった。
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