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あやかしと神様の愛の契(最終回)

10☆愛してると伝えて…

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 瑠香は不安な半日を過ごす。
 夜になって葛葉子は唇の魔法で瑠香を呼んだ。

 もう夜の八時だ。
 菊の宴は職員たちで続いていて、寮の明かりが夜を照らす。
 呼ばう方向へ足を運ぶ。
「葛葉子、どこだ?」
「る、瑠香…服持ってない?」
 木の影から白いしっぽが光って見える。
 葛葉子の守りのエリアの西ノ森で裸で瑠香を待っていた。
 森のなかでも不審者が見つかるように点々と明かりが灯っていた。
 服は頼まれたとおりに、菊の綿布と共に脇に抱えて持ってきた。
 裸になってるだろうなとは予想はしていた。

「眷属のくせにオレを呼び出すとは立場が逆だな」
 と言ってため息を吐く。

「だって…」
しゅんとして、耳をひしゃげて顔を出す。
 胸がキュンとなるほど可愛い…

「だってじゃない!」
高鳴る胸を抑えてわざと怒ってるふりをする。
「陛下にことほぎをもらった口はこの口かっ!」

 瑠香はそう言って、葛葉子の腕を無理やり引っ張りキスをする。

「んっ…はぅ…」
 あまりにキスをしていなかった触れ合っていなかった分深いキスをして、しまった!と思うが、深いキスをしても狐に変化しない。

「…ココは疲れちゃったみたい…」
 地球を一周すればそれは疲れるだろうなと思う。
「ふーん…」
 瑠香はニヤリと微笑み、葛葉子の首筋にキスをする。
 腰に手を這わせてなめらかで滑らかな肌を手で堪能しながら形の良いお尻を撫でる。
 
 葛葉子はビクッと体を震わせて顔を真っ赤にする。
「や、やだ!やめっ…」
「やめない」
 瑠香ははっきり断る
「ここじゃ、やだっ!誰か来たら恥ずかしいしっ!」
「見せびらかせばいい」
「ばかっ、や、やさしくするっていったじゃないか!」
「メチャクチャにもするって言ったぞ」
「うーっ!」
 葛葉子は、可愛く唸り上目遣いで睨む。
 その反応をニヤニヤしながら楽しむ意地悪を言う。
 また深いキスをして、その場に押し倒す。
 緑の芝生で森まで丁寧に掃除されているため余計な小石やゴミはない。
 背中に冷たい地面と芝生を感じるのみ…
 葛葉子の長い髪が舐めまかしく地面に広がる。

「やっ…はずかしいよ…」

 薄暗いと言っても隠すものがなくて胸を腕で隠し膝を立てて見られないようにしているが逆効果だ。
 そんな葛葉子の姿をじっと見つめる。

「いやらしい女の体してる…」
 わざと意地悪く言う。
 けれど本当のことだ。
 魅了されるほど美しい…オレだけのものにしたい…

「……っはずかしい!見ないで…」
「今さらだよ……」
 そう言ってくちづけを繰り返す。
「もう我慢できない……」
 キスを繰り返しながら、触るのを我慢していた胸をそっと優しく触れて指を動かす。
 柔らかさを堪能する。
「…やっ……」
 ビクリと体を震わす。
 でもあの時のように怖くない…むしろ……
 でも…心の準備が…それにここは外だし…見られるようなことがあったらやだ!
 それにそれに……

「る、瑠香…まって…」
 胸元にある頭に手で抑えて…拒否する。
「まてない」
 その手のを取られ握られる。

「さ、審神者なのに宮中のお庭を穢すことしないで!
 それに父様が今日亡くなったばかりなのに…ううっ、父様…」
 そう思うと葛葉子は悲しくて泣いてしまった。
 心の緊張が緩んであらためて父様が死んでしまったことを思うととてつもない悲しみが襲ってきた。
 その心が伝わって
「うっ…ごめん…葛葉子…泣かないで…」
 行為をやめる。
 起き上がらせて胸で悲しみを吐き出させる。
 頭を優しくポンポンと撫でてなだめる。
 確かにそうだ。
 穢れたことだとは思わないけれど神聖な庭を守る審神者として失格だ。
 だけど、阿倍野殿との誓に勝ったのだから葛葉子を今すぐ妻にしていいはずだ。
 葛葉子と交わした誓も同じだ。
 だけど、不謹慎だと思う心もある……
 えっえっ…と泣く葛葉子が落ち着いた頃、
「…今日は、これ以上しないけど、体拭かせて…」
 菊の綿布で葛葉子の体を拭く。
 首筋から背中を優しく拭いて腕を拭いて柔らかな乳房を拭く、まるで愛撫しているようだなとお互いドキドキが止まらないけれど、祈りを瑠香は込めると下心は消える。
 十五年…それ以上共にいたい…

「お願いだ…長く生きてほしい…」

 切実に祈りを込める。
 とても強く心が苦しいほどに…
 瑠香の辛い気持ちが切なくて、
「うん…出来るだけ…長く生きるよ…んんっ…」
深いキスをする。
 キスをしながら体を拭く手をやめない。
 太ももの方に綿布と手を這わせられて、ビクッとする。
「ゃ、ゃだ、は、はずかしいょ…」

「初夜までとっておくよ…」
 と言いながら、さっと触られて真っ赤になる。

「うーっ…いじわる…」
「どっちの意味で?もっと触ってほしい?」
「す、スケベメッ!もう、いいでしょ?」
「そうだな…オレにも我慢の限界あるし…臣の見回りで葛葉子のかわいい声を聞かすの嫌だし…」
 と考えると今日はお預けでも仕方がないと思う。
 改めて顔を見るとさっきされたことが恥ずかしくなって涙目になる。
 真っ赤になって顔をそらす。

「ゴメン……また無理やりして…」
 瑠香も少し罪悪感が湧いてまゆをしゅんとさげてあやまる。

「外じゃなく中だったらいいょ……あっ!宮中もダメ!」
「どこならいい?」
「瑠香の実家の部屋?」
「姉さんにドヤ顔されるの嫌だな…」
 二人どうしようと、悩む。
 葛葉子も正直早く子作りしたい…
「瑠香…前に二人だけの異界に作ってくれるって言ったよね…そこがいいなぁ…」
 それは二人のマイホームの事だとあとから考えて夢を持った。
 無理を言ってるかな?と思いつつ、
「わかった。そうしてやる。」
「それまで我慢できる?」
「できるよ」
 葛葉子は考える家を建てるのってどのくらいだろう…一年?二年?そう思うといろいろ不安になる。
「葛葉子の良いように異界をつくってやるよ」
 そういって、軽くキスをして葛葉子にテキパキと巫女装束を着せるのを手伝う。
 着せたあとも、胸を揉むのをやめなかった…
 瑠香は誓をしてから、凄く我慢してたのは認めてあげようと葛葉子はなすがまま触れさせてあげた。

 そして、残念ながら翌日に月のものが来てしまい、香茂にお世話になると同時にジジ様や親戚一同はふたりを祝福する。
 ガンと許さない春陽の父を納得させるのは数日かかったけれど、二人の仲に諦めて祝福された。

 その間に二人のために旧香茂屋敷の一角を急いで立て直し二人の寝室にしてしまった。
 後々は屋敷全体リホームする予定だ。

 ついに良き日に初夜を迎えるのにさらに一ヶ月瑠香は我慢することになってしまった…
 さらに、十一月は陰陽寮は宮中行事で忙しくなる…
 葛葉子はお咎め無しと言われても謹慎処分で巫女としては出仕できなかったが、白狐として週に一度見回りの仕事を任された。

 ジジ様もともに暮らす旧香茂屋敷に新築の二人に部屋は真新しい香りがする。

 家具は後でそろえるとして、あからさまにハート柄レースゴテゴテでピンクのダブルベッドがあるだけだった…
 ちょっと趣味が悪いと思いつつも、真陽の贈り物なので文句は言えない…

 ジジ様は気を利かせて、ウカ様と祝の酒を飲みに行ってしまった。

 身を清めてからベッドの上でなぜだか正座をして待つ。
 ドキドキが止まらない…
 瑠香も身を清めて部屋に入ってきた。
 外からジジ様が入ってこないようにガチャリと鍵を占めた。

 瑠香は葛葉子を見つめると微笑んでおでこにキスをする。

「怖くならないおまじないだよ」
 あの時のことをまだ少しトラウマらしいと葛葉子は思う。
 葛葉子は無意識にガチガチに緊張していた。
 今日はアレ以上のことをされると思うとドキドキが止まらなくなる…
 そんな葛葉子にもう一度おでこに優しくキスをして、
「かわいい…」
 耳元で囁かれてぞくぞくと快感が体をシビらせる。
 耳元で囁く声が好き…
 葛葉子は自分から瑠香に軽くキスをしてきた。
 そのまま瑠香に押し倒されて葛葉子が着ていた単を脱がされる。
 中には真陽が初夜の為に、用意をしてくれたかわいいブラジャーとレースのショーツだ。
「かわいい…よく似合うけど…」
 邪魔でしかない…
 胸を隠すブラジャーも外して放り投げる。
 やはり手で胸を隠して瑠香の顔を見れない…恥ずかしい…
 瑠香は葛葉子に覆いかぶさりながら衣を脱いだ。
 葛葉子はドキッとする…
 瑠香は色気があると思うし…美しいと思う…

「すけべめ…」
 と意地悪言われた。
 葛葉子は緊張よりムッとして
「どスケベに言われたくないよ!」
「ドスケベに好かれたからには覚悟して…」
 その反応に微笑み頬にキスをする。
「……もっと色っぽい優しい言葉がほしい…」
「…君の体も綺麗だよ…とても…」
 ゆっくりと体のラインを撫でられる。
「君?…お前じゃなくて…」
「夫婦になる…なら、キミと言ったほうが優しさを感じるだろ…?」
『お前』という乱暴な言葉は使いたくない。
 嫁から妻に呼び名を変えたような感じだ。
 瑠香は変な所にこだわるなと葛葉子はふふっと笑った。
 撫でる手は形の良い豊かな胸に手を添えて指を動かす。

「うん…じゃぁ私は…あなた…って…よんだほうがいい?」
「名前を呼んでほしい…オレもなるべく葛葉子って呼ぶよ…オレのかわいい…葛葉子……」
 また耳元で優しく吐息混じりで言われるとぞくぞくと体に快感が走る。
 それだけじゃなくて…愛撫する手と肌とくちづけと互いの肌に…
ドキドキと同じ鼓動を感じる。

「瑠香も緊張してる?」
「凄く、してるよ……」
 そう言うと指を絡ませる。

「好き…だよ…葛葉子…」
「瑠香…私もすき…ンんっ…!」
 初めてお互いに一糸まとわず肌を重ねる。
「今夜は逃さないから…」
「優しくしてね……」
「優しくするよ……オレを拒否しないで…」
「受け入れるよ…どんなことだって…」

 そう言うと互いに深いキスを繰り返す。
 愛しすぎて涙が止まらない…
 伝えられない、伝えきれない愛しい思いを込めながら…
 愛しているという言葉を体に、魂に刻みつけるように…

 初めての夜は優しくも激しく愛を伝えた忘れられない夜になった……
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