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あやかしと神様の黄泉がえり
6☆父と姉の闇堕ち
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『早く降伏していれば死ななくてもいい命もあったはずなのに…』
と思う家族の思いや、負けた無念、さまよう魂がと日和国を漂う頃、不安定な国家を転覆させてやろうとレッドスパイは計画していた。
「命をかけて戦ったのは、我が国を家族を守るために命をかけて散っていったのよ!
その人たちの気持ちもくまないでそんな事言わないで!」
橘はよくそう言って嘆く者達を叱咤していた。
国民は祝皇を神だと本気では思ってはいないが、神々しさのある素晴らしい存在だと理解していた。
そして先帝陛下は歴代の皇のなかでも素晴らしい方の一人だ。
直面すれば頭を下げずにはいられない、威厳と神々しさがあった。
橘との出会いは戦後混乱した中
早く戦争が終われば死なずに済んだと恨む声を利用する、レッドスパイでも特殊な部署に黒御足威津那はいた。
人の悲しみや念を利用して鬼を作り出し、人々に、皇に疑心暗鬼をつくりだしていた。
人に取り憑かせたり、思想を返させていた。
けれど、陛下を守る宮中職員の陰陽師だった橘と桜庭の宮姫のコンビに邪魔され続けられた。
怨嗟の声に対して神職、陰陽師、巫女職員動員して、浄化に当たっていた。
そんな対立するふたりはいつしか恋に落ちた。
威津那の任務は黒御足家が封印されし九尾の狐の封印を解いて日和を世界を支配することだった。
だから、人手不足の陰陽職員になり橘に近づいたのに恋し、元から陛下を慕う心に抗えなかった。
黒御足だけに伝わる九尾の八本の狐の尻尾。
それを阿倍野の橘と融合させれば九尾の狐は復活する。
陛下に忠誠を誓う前の大妖怪が復活する。
しかも、威津那は神であるウカ御霊の化身である千年神狐のウカを従わせる力をも秘めていた。
威津那は橘を狙い操ろうとするレッドスパイを快くは思わず、ハルの神と神誓をして陛下を守りレッドスパイを裏切った。
当時は神誓いをするほど陛下を崇拝していた。
心から神誓いするほどに。
そして、レッドスパイを黒御足家を裏切った。壊滅的なほどに…
黒御足家の裏切りは許されない。
威津那は一族全員に呪いをかけられる。
お前の愛する者たちはすべて死にいく。お前を残してと…
まさに、そうなっていた…
「そんな叔父様に近づいて、封印の解き方を教わったのよ…」
「レッドスパイの姉様を?」
「同じ皇を滅ぼそうとするもの同士、話は通じたわ…」
桔梗は嬉しそうに笑う。
「父様……」
父様がそこまで落ちてしまったとは…絶望しかなくなる。
「それに、房菊も素直で神に愛された気味の悪い子だったわ…」
わざとらしくため息を吐く。
「仲良しだったんじゃないの……?」
もう何も驚かない…だけど…怒りで体が震える。
怒りで体が震えることを初めて知った…
「仲良くしてるふりをしてあげたのよ。あなたに接していたように、ね」
想像はつく。
今までこんな人じゃないと思っていた。
とても甲斐甲斐しくて優しかった。
桔梗は母のように、姉のように接してくれた……
葛葉子が粗相をしたら叱られるのを優しく慰めてくれたり元気づけてくれてもいたから……
「まぁ、房菊は死ぬまで私を信頼していましたけどね…」
桔梗はフッと馬鹿にしたように笑う。
「そんな神に愛される房菊を…男ども数名を集めて強姦させたのは私ですのに……」
更にとんでもないことを聞き、葛葉子は目を見開く。
「その事も知らずに信頼してくださってほんっっとに可愛い人でしたわね」
嬉しそうに告白する。
誰かに言いたくて仕方がなかったように。
レッドスパイに感化されていたというのとは噂になっていた……
実行したのは、させたのは…!!
「房菊姉様を不幸にしたのはお前なのかぁああっ!」
葛葉子は怒りの叫びをあげる。
瞳は怒りに燃えて涙が溢れても怒りは消えない…
葛葉子は爪の伸びた手を振り上げて桔梗に襲いかかるが、桔梗は唇に中指と人差し指を添えて呪文を唱える。
「うっ!」
葛葉子は、腕を振り上げたまま固まる。
動かない!動けない!
蜘蛛の巣に捉えられた蝶のように捉えられてしまう。
葛葉子の憎しみで引き攣る頬をにこやかに優しく撫でて話を続ける。
「まあ、その中の一人に神が降りだった事は予想外でしたけれど…」
さらに語る。
神自ら宿った男…それは桔梗の兄だった。
そして、神の妻に手を出した罰として、その場にいた男は光の粒子となって消えた。
「神は知っていたのですわ…こうなる宿命を…何もかも…」
ハルの神は私に近づき、房菊を守ったならば命は助けてやる…と言った。
だから、そのとおり守ってやりましたわ…
そして、少しずつ狂わせていった。
『狂わすな』
とは言われてませんもの…
大きくなるお腹を術で隠しその日が来るまでかくまった…
そして神殿で晴房を生ませた。
神は仕方なしに房菊を光に導き亡きものにした…
私にも天罰がくだされるかと思って生きた心地はいたしませんでしたけれど……
今の今までこのとおり、何も起こらない…
それほど…神は私を気にかけてはくださらなかった…
巫女は神の妻であるのに……
私も房菊とかわりありませんのに……
レッドスパイに身を置いているが、魂は、流れる血は神を愛している。
「私も神を愛していた……愛されるように努力したのに…」
相反する心に更に苦しみ狂っている…
それが、桔梗の呪力となった。
と思う家族の思いや、負けた無念、さまよう魂がと日和国を漂う頃、不安定な国家を転覆させてやろうとレッドスパイは計画していた。
「命をかけて戦ったのは、我が国を家族を守るために命をかけて散っていったのよ!
その人たちの気持ちもくまないでそんな事言わないで!」
橘はよくそう言って嘆く者達を叱咤していた。
国民は祝皇を神だと本気では思ってはいないが、神々しさのある素晴らしい存在だと理解していた。
そして先帝陛下は歴代の皇のなかでも素晴らしい方の一人だ。
直面すれば頭を下げずにはいられない、威厳と神々しさがあった。
橘との出会いは戦後混乱した中
早く戦争が終われば死なずに済んだと恨む声を利用する、レッドスパイでも特殊な部署に黒御足威津那はいた。
人の悲しみや念を利用して鬼を作り出し、人々に、皇に疑心暗鬼をつくりだしていた。
人に取り憑かせたり、思想を返させていた。
けれど、陛下を守る宮中職員の陰陽師だった橘と桜庭の宮姫のコンビに邪魔され続けられた。
怨嗟の声に対して神職、陰陽師、巫女職員動員して、浄化に当たっていた。
そんな対立するふたりはいつしか恋に落ちた。
威津那の任務は黒御足家が封印されし九尾の狐の封印を解いて日和を世界を支配することだった。
だから、人手不足の陰陽職員になり橘に近づいたのに恋し、元から陛下を慕う心に抗えなかった。
黒御足だけに伝わる九尾の八本の狐の尻尾。
それを阿倍野の橘と融合させれば九尾の狐は復活する。
陛下に忠誠を誓う前の大妖怪が復活する。
しかも、威津那は神であるウカ御霊の化身である千年神狐のウカを従わせる力をも秘めていた。
威津那は橘を狙い操ろうとするレッドスパイを快くは思わず、ハルの神と神誓をして陛下を守りレッドスパイを裏切った。
当時は神誓いをするほど陛下を崇拝していた。
心から神誓いするほどに。
そして、レッドスパイを黒御足家を裏切った。壊滅的なほどに…
黒御足家の裏切りは許されない。
威津那は一族全員に呪いをかけられる。
お前の愛する者たちはすべて死にいく。お前を残してと…
まさに、そうなっていた…
「そんな叔父様に近づいて、封印の解き方を教わったのよ…」
「レッドスパイの姉様を?」
「同じ皇を滅ぼそうとするもの同士、話は通じたわ…」
桔梗は嬉しそうに笑う。
「父様……」
父様がそこまで落ちてしまったとは…絶望しかなくなる。
「それに、房菊も素直で神に愛された気味の悪い子だったわ…」
わざとらしくため息を吐く。
「仲良しだったんじゃないの……?」
もう何も驚かない…だけど…怒りで体が震える。
怒りで体が震えることを初めて知った…
「仲良くしてるふりをしてあげたのよ。あなたに接していたように、ね」
想像はつく。
今までこんな人じゃないと思っていた。
とても甲斐甲斐しくて優しかった。
桔梗は母のように、姉のように接してくれた……
葛葉子が粗相をしたら叱られるのを優しく慰めてくれたり元気づけてくれてもいたから……
「まぁ、房菊は死ぬまで私を信頼していましたけどね…」
桔梗はフッと馬鹿にしたように笑う。
「そんな神に愛される房菊を…男ども数名を集めて強姦させたのは私ですのに……」
更にとんでもないことを聞き、葛葉子は目を見開く。
「その事も知らずに信頼してくださってほんっっとに可愛い人でしたわね」
嬉しそうに告白する。
誰かに言いたくて仕方がなかったように。
レッドスパイに感化されていたというのとは噂になっていた……
実行したのは、させたのは…!!
「房菊姉様を不幸にしたのはお前なのかぁああっ!」
葛葉子は怒りの叫びをあげる。
瞳は怒りに燃えて涙が溢れても怒りは消えない…
葛葉子は爪の伸びた手を振り上げて桔梗に襲いかかるが、桔梗は唇に中指と人差し指を添えて呪文を唱える。
「うっ!」
葛葉子は、腕を振り上げたまま固まる。
動かない!動けない!
蜘蛛の巣に捉えられた蝶のように捉えられてしまう。
葛葉子の憎しみで引き攣る頬をにこやかに優しく撫でて話を続ける。
「まあ、その中の一人に神が降りだった事は予想外でしたけれど…」
さらに語る。
神自ら宿った男…それは桔梗の兄だった。
そして、神の妻に手を出した罰として、その場にいた男は光の粒子となって消えた。
「神は知っていたのですわ…こうなる宿命を…何もかも…」
ハルの神は私に近づき、房菊を守ったならば命は助けてやる…と言った。
だから、そのとおり守ってやりましたわ…
そして、少しずつ狂わせていった。
『狂わすな』
とは言われてませんもの…
大きくなるお腹を術で隠しその日が来るまでかくまった…
そして神殿で晴房を生ませた。
神は仕方なしに房菊を光に導き亡きものにした…
私にも天罰がくだされるかと思って生きた心地はいたしませんでしたけれど……
今の今までこのとおり、何も起こらない…
それほど…神は私を気にかけてはくださらなかった…
巫女は神の妻であるのに……
私も房菊とかわりありませんのに……
レッドスパイに身を置いているが、魂は、流れる血は神を愛している。
「私も神を愛していた……愛されるように努力したのに…」
相反する心に更に苦しみ狂っている…
それが、桔梗の呪力となった。
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