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あやかしと神様の夏休み(番外編)

14☆サトリ再び

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「山ごもりいって修行してくる。」
 瑠香は朝早く山伏の格好して、リュックを持って、突然そう言った。

「私も行きたい!」
 葛葉子は目を輝かせて、そう言ったが、
 葛葉子の肩を掴んで腕の分距離を取る。
 そして、顔を辛そうにそむける。

「ダメ。これはお前の父に勝つための…いや、オレ自身のための修行だから」
 葛葉子はしゅんとして

「……わかった。怪我しないで帰ってきてね」
「ああ、行ってくる」
 そう言って、頭を引き寄せてくちづけをする。
 葛葉子はとても寂しそうだったが、姉の真陽が元気づけるためにショッピングに連れ出すことになった。


 まだ出会って間も無い葛葉子とともに山ごもりした山に向かう。

 今回、二人きりの山ごもりしたら確実に将来、禿頭の顎鬚の子泣き爺確定だ。
 それだけは嫌だし、触れない分妄想が広がってやばい…無意識に手を出してしまいそうになると思っていたら、山に、あの妖怪がいることを思い出した。

 夏の山は避暑地だ。
 虫や木々が生い茂る。
 人に害をなす虫もいるが、香の力を使えば虫は寄り付かない。

 今日はなんとしてもあいつを見つけ出さなくてはもう、我慢ができそうにない…
 胸枕なんかされたらなおさらだった。
 疲れから起きた時はヤバかった…
 熟睡していた葛葉子に抱き枕のごとく抱きつかれていた。

 瑠香は手を出さないようになんとか我慢した…

 道を外れてでも山を駆け巡り熊をもお香の力で倒して、従わせる。

 そして、

みつけた………

 けむじゃくらの目の大きくて口の小さなあやかしを…

 サトリは一番会いたくない、神の化身の声を聞き取り、ゾクリと体を震わせて瑠香を見ると瞳があってしまった。

「ぎゃぁぁぁぁあ!なんで来たんだぁぁ!」

 だいぶ心が落ち着いて来たのに。
 植え付けられた妄想も全て忘れてきたところなのに…!

 サトリの妖怪は己の異界である森の中に逃げる。

 にやりと笑う瑠香は自慢の脚力で追いかける。


 悟りは必死に逃げる。

「へ、変態が!おいかけてくるう!
 たすけてくれぇええ!」

「新作引っさげてきたんだから、喜んで受けとれええええ!」

 お香の力で縛られて、捕まる。

 そして、ありとあらゆる妄想を叩きつけられた。

「ひ、ひどい、あんまりだぁぁ…!」

 サトリは横になりピクピクして、鼻血と涙を大量にこぼしながら泣く。
 瑠香は、ふーっと満足気なため息を吐く。

「また、近いうちに来るから…
 いや、葛葉子と結ばれたら来ないな。必要ないし…」
 瑠香は、神々しい仏の笑顔でで言い放つ。 
 煩悩という煩悩を叩き込んでスッキリだ。
 これで、禿頭の顎鬚子泣き爺の呪いはしばらく、間逃れる。
 キスも煩悩無しでできるはずだし、あやかしを追い掛け回してお山の力をさらに得た。
 いい事づくしだ。
 
「もう、二度と来るな!
 さっさと狐と結婚してしまえ!」

 一番に…二人を祝福しているのはサトリの妖怪だった…
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