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あやかしと神様の夏休み(番外編)

13☆共寝(阿倍野家の帰省後)

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「あ…」

 葛葉子は、口元に手をおいて青ざめる。

「どうかしたのか?」
 瑠香はあまりの青ざめように心配する。

「母様と姉様のお墓参りするの忘れてた。」
 瑠香もあまりのことに忘れていた。
 せっかくの休みの遠出だったのに。
 瑠香は葛葉子の手を取り、

「彼岸には、葛葉子の父さんと仲良くなって、晴房も特別に連れて墓参りしよう。」

 それまでに決着つけて、イチャイチャしたい。
 キスだけしかできない状態は辛い。

「そういえば、出会って、三ヶ月しかたってないんだよね」
「そうだな。そういえば。」
「なんか、昔から知ってて、傍にいることが当たり前だったみたいに感じるよ。」

 魂から惹かれ合うって、こういうこと言うんだろうなと同時に思う…

「瑠香、ずっとそばにいてね。」
「葛葉子もオレから離れるなよ。」
 ぎゅっと抱きしめようと思って手が止まる。

「抱きしめるのは誓、違いになる?」
「胸とか揉まなければ大丈夫。」
 触る、触れるはOKか。
 と少し救われる。

「むしろ、私から瑠香を抱いてあげる!」
「え?」

 葛葉子は瑠香の肩をトン!と押して瑠香をベッドに倒す。
 そして、瑠香の腹の上にまたがって乗る。


 葛葉子は嬉しいと体で現すことがある。
 だから、嬉しいから伝えたくなったらしい…

 下から眺めるボタンを止め忘れてたブラウスから除くブラと胸のふくよかな谷間が婀娜っぽい。
 瑠香を見つめる葛葉子も色気がある。
 ほつれた髪を耳にかけるしぐさも女らしい…

 あのジジ様に将来絶対になりたくないから、目をそらす。目を瞑る。
 あのジジ様をイメージする。
 ドスケベな自分でもナルシストのほうが勝る。
 あのジジ様が自分になると思うと怖い。
 そんな瑠香にふふっと葛葉子は、笑って、ゆっくり、瑠香の唇めがけて唇を重ねて
くちづけを繰り返す。

 瑠香の体に胸を押し当てる。
 瑠香も葛葉子の、背中に腕を回す。それ以上はしない。
 できない…
 そのまま、ベットに横になる。
 微笑み合う。
 瑠香は苦笑する。

(もしかして、煩悩を試されてるのか?)
と思う……

 瑠香はからはキス以外してはいけない誓い中だから。

 そんな、瑠香に葛葉子は、わざと、瑠香の頭を抱えて胸でぎゅっとゆるく抱きつく。

「だいすき…」

 ぎゅっ、ぎゅっと、自ら瑠香に柔らかさを感じさせる。
 葛葉子はそういう気分になってたけど、初めてでこれが精一杯な行為だった。

「生殺し…だな…」
「…ん?」
「何でもない…」

 されるまま柔らかさを感じる。
 そのまま、疲れたのか二人眠りに落ちた。
 葛葉子の初、胸枕は心地よかった。

 葛葉子をメチャクチャにするための性欲を力に変えて、ガンバってやる。

 それまで、手を出さない。

 あのジジ様に感謝だと思った。



「ワシはあの時、瑠花と誓やぶってこーんなラブリーなすがたになってしまったなぁ!」

 とジジ様はお茶を飲みながら義理の娘にババ様の瑠花と誓破りして橘を生ませた事を告白した。

「そうよねぇ。
二十年前まではダンディだったのに。」
「突然変異よねぇ。誓を破ると怖いわねぇ」
と話題になったことを

 瑠香と葛葉子は知ることはなかった。
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