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あやかしと神様の恋縁(こいえにし)

17☆契るための誓(うけい)☆エンド☆

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 香茂に帰ると瑠香の部屋に行く。
 香茂の人たちは出かけていていなかった。
 親戚の家を回る予定だった。
 葛葉子は父の言葉を思い出して再び憤る。
 よく考えれば考えるほど思い出せば思い出すほど怒りが湧く。
 
 葛葉子の思っている事を覗けば瑠香も憤る。

 瑠香が葛葉子を殺すことになる…
 そんな言葉信じたくない。
 舅として嫌がらせか?とも思う…

(オレならやる。)

 根性の悪さも同じならいいのにと瑠香は思う。
 そうベットに座りため息を吐いた。
 一日で緊張もしたし、力も使ったしで、家に帰ればやっと落ち着いた気分になった。

「とりあえず、目的は果たせてよかっ…」

 葛葉子の様子をみると、突然、ブラウスのボタンをはずして、姉から買ってもらった可愛いブラジャーを顕にして、瑠香の手をとって胸に押し当てる。
 瞳は潤んで、頬を染めている。
 触る胸はドキドキと鼓動が早い。

「瑠香…
 私を瑠香のものにして……
 阿倍野に帰れないように今すぐ妻にして…」
 さらに、手を胸に押し付ける。
 涙で訴えられる。
 必死なほど切羽詰まった感じだ。
 とても、そそられるけれど…

 だけど…

 瑠香は胸から手を離し葛葉子の、肩に手を置き腕の長さ分距離を取る。

「ダメだ。それは、父親に対しての反抗だろ?」
「うっ…」
 図星を刺され黙る。

 けれど、瞳に溜めていた涙と共に言葉が溢れる。

「不安で仕方ないのに…
 今すぐ結ばれれば父様に言われたことが嘘だと思えるのに…」
 涙をポロポロこぼして瑠香に訴える。
 その涙を瑠香は優しく拭う。

「でも瑠香の言う通り、父への反抗には変わりないよね…」

 そんな葛葉子をぎゅっと抱きしめる。
 このままベッドに横になって既成事実を作ってしまってもいいけれど、作りたいけれど…

 瑠香は葛葉子の肩を抱き考え悩んで結論を出し葛葉子と瞳を合わせる。

「……決めた。
 次に阿倍野殿と対峙するまで葛葉子に手を出さない。
 妻にするのはおあずけにする。」
「え?」

 突然の宣言に葛葉子は目を丸くして瑠香を見る。
 そんな葛葉子をみてフッと笑って、葛葉子の小指に小指を絡ませ指切りをする。

「これはうけいだ。
 阿倍野殿に勝つまで手を出さない。夫婦のちぎりを交わさない。
 そして、阿倍野殿に勝ったらお前を怖がらせてでも、メチャクチャに抱いてやる!」
 最後の方は真剣に熱を込めて宣言する。

「め、メチャクチャってどんなことするつもりだっ!」
 葛葉子はそのセリフに恥ずかしくなりながらドキドキするし期待をする。

「絶対に逃さないから覚悟しておいて。」
 軽くおでこにキスをする。
「これは葛葉子に誓だからな。覚えておいてくれ」
「うん。」
 葛葉子はやっと笑顔になった。

「父様に勝ったらメチャクチャにするほど、瑠香のものにしてね。」
「ああ…ほんとは今すぐにオレのものにしたいけど、我慢することが誓の力になるから…」

 誓は神に誓いをたて良し悪しを【懸ける占い】だ。
 しかも、かけに勝利すれば阿倍野殿の呪いのような未来は回避されることになる。
 葛葉子の不安を根本的に無くすのはこれしかないと瑠香は思った。

「絶対に勝って葛葉子を妻にするから…」
「瑠香を信じてる。」
そう言うとどちらともなく唇を重ねる。
 葛葉子の頭をささえて、深いキスをする。
 葛葉子の魂に眠る神狐で九尾の狐、ココにも誓いを込めて…
 深いキスを繰り返しても葛葉子は狐になることはなかった。
 まだ阿倍野殿にかけられた呪いのようなものに、縛られているのだと思う…

「んっ…んっ…はぅ…んんっ!」

 その縛りに少し感謝しながらも開放されるように祈りながらキスをするが、瑠香は無意識に葛葉子の胸を揉む。

 ブラの内側に手を入れて敏感なところを触った瞬間その手の甲を葛葉子はギュッとつねる。

「うけい…しただろ?」
 怖い笑顔。

「ごめん。止まらなくて…」

 狐にならないからと調子にのって誓いを破られても困るし、瑠香を信じられなくなる。
 葛葉子は案をひらめいて、
 誓の懸けに負けた時の条件として、

「誓を守れなかったら将来のジジ様のような姿のスケベ爺になることを覚悟しておけ!
 これは白狐の呪になるからな!」
 指を瑠香の胸に突きさして宣言にする。
 瑠香は想像してゾッと…する。
 妖怪禿頭顎髭子泣き爺はイヤだ!
 熱くなった体も冷める。

「絶対それだけは勘弁だ!」
 青ざめて叫ぶ。

「キス以外は禁止!」
「わ、わかった。絶対に阿倍野殿に勝ってやる!」

 葛葉子の父と早く対決して絶対に勝たなくてはいけない条件が一つ追加された。
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