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あやかしと神様の恋縁(こいえにし)
3☆白狐の正体
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「葛葉子を生き返らせてるのは大妖怪九尾の狐とお見受けしますわ。」
八尾比丘尼はなんの事もなく言う。
「ええっ!?」
葛葉子と瑠香は同時に叫ぶ。
「なんでわかる?」
「何百年生きてるとおおもいで?
それに、ここは、私の異界。
なんでも筒抜けですよ。」
八尾比丘尼は葛葉子を救うために、永らえさせているあやかしの正体を見抜いた。
ここは、八尾比丘尼の異界。
過去を見せることに長けているらしい。
単なる西を守る白狐だとは思ってなかったから、納得がいく。
葛葉子を眷属にした時に体力全て持って行かれるような強さを持っていた。
さらに、狐の異界での白狐は神というより、力あるあやかしだった。
納得がいく…
「大妖怪九尾の狐とは関係ないっ!ていったけど…関係あったんだな。」
と納得いって肩の力が抜ける。
でも…
「九尾の狐ならまた、陛下を狙おうと悪いことしないか?」
九尾の狐は帝をたぶらかし、封印された大妖怪と言うことは誰でも聞いたことがあるほど有名な話だ。
詳しくは知らなくても、国家転覆を目論んだくらいはわかる。
『バカを言うな!
もうその心は捨ててある…
今ある我は、皇室を守る神狐だ。
ルカの神やハルの神より格は下だがな。』
葛葉子の口から白狐がしゃべる。
『陛下から寿ぎを貰えれば、格が上がる。
そうすれば、葛葉子を人に戻すことができるということよ…』
「なんだ、そうだったのか。」
良かった…心底ほっとする。
瑠香もほっとする。
狐を操るという葛葉子の父に操られているかもしれないとどこかで思ってたから…
「異界だと、魂に入った狐はしゃべることができるのですね。」
『あやかしの領域だからな。
まだ神としても未熟…よりしろの葛葉子も…』
「大妖怪と言われてたお方ですからね。あやかしのほうが強いのでしょう。」
『八尾比丘尼殿に言われる程ではない。』
皮肉げに笑った。
「なら、ルカの神の眷属になればいい。ほんとの神使になれるぞ。」
そうすればあやかしではなく、さらに、神に近くなる。
『陛下の眷属以外なりたくない。』
プイッと瑠香に顔を背ける。
「頑固だな。」
『恋心だ。』
「その心が神誓いした白狐神と、なりえるのでしょうね」
『そうだ。だから、忘れるな。
陛下を愛する心を…
私が宿る限り陛下を愛せ…』
白狐は葛葉子の魂のなかに潜っていった。
「うん。わかってるよ。
陛下が一番だ…」
ふぅ、と一息ついた葛葉子はまた眠りに落ちる。
葛葉子が無事で白狐の事で引っかかっていた事も分かり、ほっと、安心した瑠香も倒れるように眠る。
「安心して、おやすみなさいな」
八尾比丘尼は二人の頭を優しく撫でて異界独特の癒やしを与えた。
八尾比丘尼はなんの事もなく言う。
「ええっ!?」
葛葉子と瑠香は同時に叫ぶ。
「なんでわかる?」
「何百年生きてるとおおもいで?
それに、ここは、私の異界。
なんでも筒抜けですよ。」
八尾比丘尼は葛葉子を救うために、永らえさせているあやかしの正体を見抜いた。
ここは、八尾比丘尼の異界。
過去を見せることに長けているらしい。
単なる西を守る白狐だとは思ってなかったから、納得がいく。
葛葉子を眷属にした時に体力全て持って行かれるような強さを持っていた。
さらに、狐の異界での白狐は神というより、力あるあやかしだった。
納得がいく…
「大妖怪九尾の狐とは関係ないっ!ていったけど…関係あったんだな。」
と納得いって肩の力が抜ける。
でも…
「九尾の狐ならまた、陛下を狙おうと悪いことしないか?」
九尾の狐は帝をたぶらかし、封印された大妖怪と言うことは誰でも聞いたことがあるほど有名な話だ。
詳しくは知らなくても、国家転覆を目論んだくらいはわかる。
『バカを言うな!
もうその心は捨ててある…
今ある我は、皇室を守る神狐だ。
ルカの神やハルの神より格は下だがな。』
葛葉子の口から白狐がしゃべる。
『陛下から寿ぎを貰えれば、格が上がる。
そうすれば、葛葉子を人に戻すことができるということよ…』
「なんだ、そうだったのか。」
良かった…心底ほっとする。
瑠香もほっとする。
狐を操るという葛葉子の父に操られているかもしれないとどこかで思ってたから…
「異界だと、魂に入った狐はしゃべることができるのですね。」
『あやかしの領域だからな。
まだ神としても未熟…よりしろの葛葉子も…』
「大妖怪と言われてたお方ですからね。あやかしのほうが強いのでしょう。」
『八尾比丘尼殿に言われる程ではない。』
皮肉げに笑った。
「なら、ルカの神の眷属になればいい。ほんとの神使になれるぞ。」
そうすればあやかしではなく、さらに、神に近くなる。
『陛下の眷属以外なりたくない。』
プイッと瑠香に顔を背ける。
「頑固だな。」
『恋心だ。』
「その心が神誓いした白狐神と、なりえるのでしょうね」
『そうだ。だから、忘れるな。
陛下を愛する心を…
私が宿る限り陛下を愛せ…』
白狐は葛葉子の魂のなかに潜っていった。
「うん。わかってるよ。
陛下が一番だ…」
ふぅ、と一息ついた葛葉子はまた眠りに落ちる。
葛葉子が無事で白狐の事で引っかかっていた事も分かり、ほっと、安心した瑠香も倒れるように眠る。
「安心して、おやすみなさいな」
八尾比丘尼は二人の頭を優しく撫でて異界独特の癒やしを与えた。
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