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あやかしと神様の恋の枷
9☆好きだと気づく仲直り
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目が覚めると延々と障子に仕切られた廊下で葛葉子は瑠香に抱かれて倒れてた。
守られるように頭を抱きしめられてた…
久しぶりに近づけて、しばらくこのままでも…と思ったけれど、
「んっ……」
瑠香の意識が戻り、葛葉子は、ハッとして、ドキドキと瑠香から離れる。
怖いからではなく、なぜだかドキドキして止まらない。
顔が赤いのを感じる。
「葛葉子、無事だったか?」
東より葛葉子を心配するなんて護衛として失格だなと苦笑する。
「わ、私のことより東殿下をさがさなきゃ!」
葛葉子に注意される。
瑠香は少し黙って目を閉じて
「椿の香りを辿ろう…」
「は?どうやって?」
葛葉子は首を傾げる。
「あの、あやかしの匂いを覚えた。」
椿の中でも海の匂いがする、不思議な香りだ。
「犬みたいだな。」
「狐にいわれたくない。」
にやりと意地悪く言う。
「お、狼のくせに…っ!」
売り言葉に買い言葉だ。
「また…っ……」
襲ってやろうか!とつい、買い言葉がつきそうになるが口を抑えて言葉を噤む。久しぶりに会話できたのにまた出来なくなるのは嫌だ。
瑠香のキリリとした眉かさがる。
そして、改めて葛葉子を見る。
「葛葉子、本当にごめん…
怖い思いをさせて…」
申し訳なさで、どうしても謝りたくて、けれど、会話できなくて、謝らせてくれなかった分をいま本気で謝りたい…
「瑠香……」
久々にまともに瑠香と顔を合わせられた。
泣きそうな顔してる瑠香を見ると胸が痛む。
さっきも怒らないで優しく抱きしめてくれて、
やっぱり、嫌いになれなくて…
嫌いじゃなくて…
好きだから意識してしまう。
そう気づく。
(私は瑠香を好きなんだ…
瑠香が私のことを好きなように…私も好きになってた…)
ただ誰もが好きではなく、
瑠香だから好き…
東殿下に手を握られていても、瑠香に触れられるドキドキはない。
瑠香にだけドキドキするし、キスされていつも戸惑う…
「瑠香、もう、いい…
瑠香とこんなふうに話せないほうが辛いから…」
葛葉子は、泣きそうな笑顔でそう言い、瑠香の両手を掴んだ。
そして見つめ合う。
瑠香は、少し戸惑ったようだった。
「喧嘩しないで、一緒にいられたなら、東殿下をお守りできたと思う。
そんな私たちに東殿下は気を使って瑠香と一緒にしてくれなかった…」
個人の事情はあまり考慮しない東が気を使ったのは確かだった。
だから、わざと、ふたてに分けた行動をした。
「これは私の悪い癖だから…」
葛葉子は暗い顔をする。
後悔してる。
「人だった時、巫女仲間とも話し合い、コミュニケーションができてなかったから…今度こそ正そうと思ってたのに…」
それが悔いでもあることを瑠香も知っている。
「だけど、今回のことはオレが悪い。ゴメン…」
瑠香は葛葉子を、遠慮がちに抱きしめた。
葛葉子はドキドキと胸がなる。
意識してなかった時はこんなんじゃなかったのに。
ドキドキどころではなく心がいつもよりフワフワしてくる…
「まったく……手荒な意地悪をして、もうあんなこと、しないと二度としないと、誓えるか?」
瑠香は少し考え
「無理。またアレ以上なことする。したい。」
つい、正直に答えてしまったが、嘘はつけない。
今度は時が来たら怖がらせないで優しくするつもりだ。それが反省というものだと思ったら、
「アレ以上なことがあるのか!?」
「………」
アレ以上なことやったら絶対に嫌われる。
と瑠香は困った。
ごほんと咳払いをして
「とにかく、なにかあったらオレを呼べ。
助けるし、助けになるから……」
狐耳の生えた葛葉子の頭を撫で目を合わせる。
「うん!」
やっと、仲直りできたことが嬉しくて涙が零れた。
その涙を瑠香はやさしくそっと、唇で触れてぬぐった。
「仲直りの証だ。」
瑠香も久々に微笑む。
調子に乗って今度は唇にキスをしようとしたら……
「お前らだけの世界になってるところ悪いけど、東殿下を助けに急ごうよ………」
臣が顔を真っ赤にしてバツが悪そうにしていた。
臣がいた事を知らなかった。
臣は空気を消すのがうまい。
「お、臣もコミュニケーションとろうな!」
葛葉子は、フォローするが、
「二人の間に入るのは至難の業だよ」
と素直に笑った。
「とにかく、東殿下を早く探そう!」
三人は気を引き締めて、障子だらけの廊下を瑠香の先導で進む。
守られるように頭を抱きしめられてた…
久しぶりに近づけて、しばらくこのままでも…と思ったけれど、
「んっ……」
瑠香の意識が戻り、葛葉子は、ハッとして、ドキドキと瑠香から離れる。
怖いからではなく、なぜだかドキドキして止まらない。
顔が赤いのを感じる。
「葛葉子、無事だったか?」
東より葛葉子を心配するなんて護衛として失格だなと苦笑する。
「わ、私のことより東殿下をさがさなきゃ!」
葛葉子に注意される。
瑠香は少し黙って目を閉じて
「椿の香りを辿ろう…」
「は?どうやって?」
葛葉子は首を傾げる。
「あの、あやかしの匂いを覚えた。」
椿の中でも海の匂いがする、不思議な香りだ。
「犬みたいだな。」
「狐にいわれたくない。」
にやりと意地悪く言う。
「お、狼のくせに…っ!」
売り言葉に買い言葉だ。
「また…っ……」
襲ってやろうか!とつい、買い言葉がつきそうになるが口を抑えて言葉を噤む。久しぶりに会話できたのにまた出来なくなるのは嫌だ。
瑠香のキリリとした眉かさがる。
そして、改めて葛葉子を見る。
「葛葉子、本当にごめん…
怖い思いをさせて…」
申し訳なさで、どうしても謝りたくて、けれど、会話できなくて、謝らせてくれなかった分をいま本気で謝りたい…
「瑠香……」
久々にまともに瑠香と顔を合わせられた。
泣きそうな顔してる瑠香を見ると胸が痛む。
さっきも怒らないで優しく抱きしめてくれて、
やっぱり、嫌いになれなくて…
嫌いじゃなくて…
好きだから意識してしまう。
そう気づく。
(私は瑠香を好きなんだ…
瑠香が私のことを好きなように…私も好きになってた…)
ただ誰もが好きではなく、
瑠香だから好き…
東殿下に手を握られていても、瑠香に触れられるドキドキはない。
瑠香にだけドキドキするし、キスされていつも戸惑う…
「瑠香、もう、いい…
瑠香とこんなふうに話せないほうが辛いから…」
葛葉子は、泣きそうな笑顔でそう言い、瑠香の両手を掴んだ。
そして見つめ合う。
瑠香は、少し戸惑ったようだった。
「喧嘩しないで、一緒にいられたなら、東殿下をお守りできたと思う。
そんな私たちに東殿下は気を使って瑠香と一緒にしてくれなかった…」
個人の事情はあまり考慮しない東が気を使ったのは確かだった。
だから、わざと、ふたてに分けた行動をした。
「これは私の悪い癖だから…」
葛葉子は暗い顔をする。
後悔してる。
「人だった時、巫女仲間とも話し合い、コミュニケーションができてなかったから…今度こそ正そうと思ってたのに…」
それが悔いでもあることを瑠香も知っている。
「だけど、今回のことはオレが悪い。ゴメン…」
瑠香は葛葉子を、遠慮がちに抱きしめた。
葛葉子はドキドキと胸がなる。
意識してなかった時はこんなんじゃなかったのに。
ドキドキどころではなく心がいつもよりフワフワしてくる…
「まったく……手荒な意地悪をして、もうあんなこと、しないと二度としないと、誓えるか?」
瑠香は少し考え
「無理。またアレ以上なことする。したい。」
つい、正直に答えてしまったが、嘘はつけない。
今度は時が来たら怖がらせないで優しくするつもりだ。それが反省というものだと思ったら、
「アレ以上なことがあるのか!?」
「………」
アレ以上なことやったら絶対に嫌われる。
と瑠香は困った。
ごほんと咳払いをして
「とにかく、なにかあったらオレを呼べ。
助けるし、助けになるから……」
狐耳の生えた葛葉子の頭を撫で目を合わせる。
「うん!」
やっと、仲直りできたことが嬉しくて涙が零れた。
その涙を瑠香はやさしくそっと、唇で触れてぬぐった。
「仲直りの証だ。」
瑠香も久々に微笑む。
調子に乗って今度は唇にキスをしようとしたら……
「お前らだけの世界になってるところ悪いけど、東殿下を助けに急ごうよ………」
臣が顔を真っ赤にしてバツが悪そうにしていた。
臣がいた事を知らなかった。
臣は空気を消すのがうまい。
「お、臣もコミュニケーションとろうな!」
葛葉子は、フォローするが、
「二人の間に入るのは至難の業だよ」
と素直に笑った。
「とにかく、東殿下を早く探そう!」
三人は気を引き締めて、障子だらけの廊下を瑠香の先導で進む。
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