あやかしと神様の恋愛成就

あやかしと神様のドキドキ同居

七夕に願い

　天の川の煌めく夜、織姫、彦星は一夜だけ逢える奇跡の夜。

　だけど、今年も雨。
　他の地域なら晴れかもしれないけれど……
　会えない二人は可愛そう……
　葛葉子はそう思った。

　けれど、七夕は願いを短冊に書いて夜空に願いを伝える。

　今年はどんな願いを書く？

【陛下のくちづけ】

　と書いた。

「そうだよな。だけど絶対に無理だからな。かわいい願いだな」
無理と言われて葛葉子はムッとする。
　瑠香は

【共寝したい】

　じとっとスケベな願いを書いた瑠香を睨む。

「だれと？」
「お前と。」

　ビリビリ破かれる。
「スケベが！今年は雨で織姫彦星逢えないのに！そんな願い書くな！」
「お前だって変わらないだろうが……」

　だけど、否定されなかった。
　自分のことより人のことを考えるからか？
　そんなことをふと思った瑠香は懐から短冊をとりだし、
　スペアを飾る。

【陛下のご健康。】

「お前は忠義心がたりないな？」
「そんなことはない！」
「ハルも陛下の為に願い書くぞ！」

　東が陰陽寮に飾られてある七夕を見て苦笑いする。

【陛下の健康。陛下の弥栄。陛下が幸せであるように。】
しかない。

「陛下七夕だな。あの三人らしいけど……」
　東は短冊と筆を取り出し、

【護衛たち、宮中で働く皆の幸せ】
　と書いた短冊を飾った。