上 下
46 / 181
あやかしと神様のドキドキ同居

父の許しの理由

しおりを挟む
「なんで、孫つくれって許してくれるんだ?」

 とても疑問に思ったので瑠香は父に尋ねる。
 瑠香そっくりの釣り上がった眉と父特有の、鋭い目つきで瑠香を見て
「最低でも十月十日とつきとうか
お前のことだから身を清くするだろ?」

 愛しい葛葉子が妊娠中は大人しく欲情しないと言いたいらしい。

「それとも、葛葉子以外に女を作る気か?」

 妻が妊娠中に浮気をする男もいる。
 そんな男ども一緒にされては困る。

「とんでもない!オレは葛葉子以外の女は女じゃないとおもってるし!」

 葛葉子を好きになってから瑠香は少し変わってしまったと思う。

 前はこんなに落ち着きがなかったわけではない。
 普通に楚々としていたのに、葛葉子と出会ってから落ち着かなくなったのも事実だった。
 はっきり言って心に余裕がない。
 葛葉子に近づく男は全て敵とすら思ってしまう。

「なら、孫作って大人しくしてろ。」
 ということらしかった。
「跡取りもできて安泰だし。
 憎しみに囚われてる阿倍野殿の気も変わるかもしれない。
 だから、子供作って落ち着けバカ息子。」
 父は現実を先を見ている。
 そんな父を素直に尊敬する。
 だから、父の本心を覗かなかった。
 陰陽寮長は葛葉子の母を知っているからこそ、
(花の命は短いからな……好きなら最後まで愛でてみろ……)
 と、息子がそんなに葛葉子を、愛するなら責任を取らせようとも思っていた……



 
 
しおりを挟む

処理中です...