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あやかしと神様の学園ライフ

11☆疑心暗鬼

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 葛葉子はとりあえず着替えるために体育館の更衣室のロッカーに行くと、制服がボロボロにされていた。
 狐の耳がしゅんと折れる。
 どうして、こんなことするんだ?
 誰がやったんだろう…
 なんの目的で?
 クラスの女子みんな?
 疑る。
 疑心暗鬼に陥る。
 涙が悲しみでこぼれそうになった時、

「葛葉子、着替えた?」

 東が遠慮がちに聞いていた。

「いえ、それが……」
(制服をイタズラされて着れない……)

 葛葉子の頭を覗き瑠香が遠慮無く女子更衣室に入って、脱いだシャツを無言で葛葉子に着せる。
 瑠香自身は中にもう一枚Tシャツ着ているから問題ない。

「ありがとう……」

 葛葉子は、ホッとする。
なんとなく、裸のような気分になっていたから瑠香の気遣いに感謝する。

 瑠香に意識させられた事だとしても……
 大きめなシャツ一枚でも目立たなくなった。

 瑠香的には東にも臣にも見せたくない、それだけだったけれど……

「とりあえず、体育館に来てくれ、決着をつけよう」

 東は真剣な顔をして言った。
 更衣室から出て、すぐの体育館の入り口にはいると、周りを生徒に囲まれていることにびっくりする。

 体育館に悪霊に操られた生徒は集まる。
 黒い瘴気が頭上から出ているのがわかる。

 臣は木刀を十字に振る。
 振るだけで黒い瘴気が祓われているのがわかる。
 そしてそれ以上、操られた生徒は近づけない。

「なんでこんなことになってんだ?」
 瘴気が体育館に充満し気持ち悪く感じる。

「ちょっと刺激しちゃった。」

 東はテヘッとふざけた感じで舌を出し、和ませようとした。
でも、あまりのことに和めなかった。

「葛葉子も雷で狐になってるだろ?東殿下が雷を呼び出したんだ」
「東殿下が?」

 信じられなくてめが丸くなるが、

「僕は仏の力と皇族特有のシラス(知らす)力とで、悪を暴く力を持つ雷を召喚することができるんだ。」

 そのことを聞いた葛葉子は、瞳を輝かせ、

「最強だな!さすが!皇族です!」
「僕ぐらいしかできないよ。
 でも、祈り姫も質は違うが似たようなことは出来るらしいけどね」

 いや、陛下もすごかった。
 存在自体であやかしを消す。

 神の化身の瑠香や晴房はお手を患わせないために存在するのだが形無しだと瑠香は思ってしまう。

 だからこそ、多少は安心でもあっても、切磋琢磨せねばと思う。
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