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あやかしと神様の学園ライフ

6☆佐保子

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 その午後の授業から、特に何があるとき以外とりあえず瑠香と東、臣は葛葉子に近づかないことになった。

 自分たちがそばにいるから羨ましがられるということならば……

「佐保子も一緒に食べればよかったのに。」
「そんな!東殿下のお側は恐れ多い!勇気ないし!」
 真っ赤になって遠慮する。
 佐保子は皇室を心から尊くおもっている数少ない友達でもあった。

「久美は来たぞ?すぐに離れたけど……」
 久美の方を見るとそっぽを向かれた。

「葛葉子ちゃんは、前はどこの高校行ってたの?」
「体が弱くて、学校になかなか行けなかったんだ……」

 本当は巫女修行をしていて学校にいかなかった。
 体が弱かった事は確かだけれど……
 白狐になって身体が軽くなって動けることが正直うれしい。

「わたしも、学校なかなか行けなくて、クラスに馴染めなかったんだ……」
 たしかに、佐保子は誰とも話してない気がする。
おとなしいからかと思っていた。
 でも馴染んでいるような…あたらず触らず、そっといる感じだ。

「葛葉子ちゃんは羨ましいな。」
「なんで?」
「すぐにみんなに馴染んで、好かれて」

「それは違うぞ。」
「え?」

 葛葉子は真剣に、

「私がみんなに馴染もうとしたんだ。」

 瑠香に、飽きられるほど、最初っから友達になろうと頑張ったと、葛葉子も思うほど必死だった。

「だけど、今はみんな仲良くしてくれない……」

 葛葉子はしゅんとする。

「それは、私が……いるから……」
 佐保子はかなしげな表情でつぶやく。

「ん?」
「私と一緒にいると友達いなくなるよ?」

 佐保子は腕を後ろに組み。かなしげに微笑みながら言った。

「私が友達じゃ不満か?」
葛葉子も、かなしげに素直に聞く。
「不満じゃないけど……」

 あまりに素直に聞くものだから佐保子は困る。

「じゃ、それでいいじゃないか」
 葛葉子は、二カッと微笑む。

「ほんとに、羨ましい…」
佐保子は嬉しそうに微笑した。
「どこが羨ましいんだ?」

(明るくて、前向きに生きている……)

 佐保子にまで羨ましいとは言われるとは思わなかった、

 羨ましいってなんなんだろうか……
 葛葉子は真剣に腕を組んで考えて、

「じゃあ、わたしは、佐保子の女らしくて可愛いところが羨ましいぞ。優しいし。大好きだ!」
 手を握り目を合わせて素直な気持ちで言う。

「ありがとう……
そう言ってくれる人がそばにいてくれたら私……」

 佐保子は涙をこぼすものだから葛葉子は、慌てて慰める。

「ねぇ、あのこ、一人で何喋ってんのかな?」
「瑠香くんあんな子のせわかわいそー」
「ほんとよねー
だから一緒にいるのかしら優しいわね。」

 そう陰口を叩くと少し気が楽になるし会話が弾む。
 それは、呪いの言霊とも知らずに……
 女子の悪いところだろうか。

 瑠香は腕を組みため息を吐く。
 たしかに、独り言を言っているようだが、霊力の瞳で見ればぼんやりだが女子がいるのがわかる。
 透けていてはっきり見えないのは神を宿すため品が高いから。
 
 だけど、わざと近づかない。
 葛葉子と仲良くしているあの霊を消してしまえば、葛葉子になんていわれるか……
 その事を東殿下に報告すると

「おもしろいね。もう少し詳しく調べてみようか?」
 楽しそうに微笑みそう言った。

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