8 / 181
8☆晴房
しおりを挟む
葛葉子も眠れなかった。
瑠香にキスされて人に戻れたけれど耳はまだあやかしのままだ。
完璧な人間には戻れてはいない。
キスされたことを思うと恥ずかしいし、陛下にしてもらう予定を狂わされたのもムカつくし、白狐と自分の気持ちが同じなのに二個ある感覚で苦しい。
でも、嫌ではなかった。
瑠香は他の巫女仲間のように意地悪しない。
近づいて耳まで恐れずさわるし更には、キスまでするし。
むしろ好いていてくれることに、嬉しさを感じる。
こんなこと初めてで、どう反応すればいいのかわからなくて、せっかくの話し相手になってくれそうだったのに……次はいつ会えるか分からないと思うと悲しい……
瑠香の顔思い出せば嫌いじゃない。
ゴツくないし、中性的で美形だし、好みだ。
けど、私が好きなのは陛下。
一度だけ陛下に頭を撫ぜられた気持ちが、陛下を恋う。
生き長らえさせてくれる白狐は詳しくは語らないし、おしえてくれないことはおおいけれど、陛下を本気で恋しく思っている。
その気持ちは葛葉子も同じ共通する者だ。
白狐の気持ちは自分の気持ち。
その気持ちと似た思いを瑠香にしていいのか、瑠香の気持ちに答えていいの分からない……
与えられた部屋で悶々ととしているとよく聞こえる狐耳にタヌさんの叫び声が届いた。
ハッとし急いで、狸が住む陛下のお住まい近くの林まで走った。
力は内に封印されようと、走る速さは獣並みにもどっている。
暗闇の中でも獣の瞳ならものが見える。
最後の声が聞こえた場所に行けば真っ暗闇の中、白い水干を着た少年が狸の死体を抱えていた。
(あれはきっと、晴房だ。)
晴房の体から淡くキラキラと輝く光が発する。
狸の死体は中に浮き狸の躰は晴房の光の粒子に触れてさらさらな光に消える。
その光景を息を止めて見ていた葛葉子は綺麗だと思うと同時に背筋に鳥肌が立つ。
動物が消えていたのは、晴房のせいだったかと……
晴房は葛葉子に気づき、ゆっくり振り向く。
子供の無表情は神かがってる。
「死の穢から皇居を守らねば……」
それは、アマテラスの子孫の皇室を守る最強の守護のハルの神の意志が宿っている。
「お前も陛下に仇なす獣か?」
ちがうっ……私は……
あまりの神気に言葉にならない
体中の毛穴がゾクリと総毛立つほど、ビリビリと重圧を感じる。
晴房が指先で円を描くと葛葉子を縛る縄になる。
そして、ぎゅっと蛇のように体に巻きついた。
「皇を汚すものは消えろ….」
締め上げられた皮膚が焼けるように痛い。
今日は締め上げられることばかりだ。
瑠香に香で締め上げられるし、何なんだ今日という日は。
今日は凶ということか?とくだらないダジャレが浮かぶ。
余裕があるのか?いや、ない…むしろ、余裕がないのは長らえさせてくれる白狐の方。
内に眠る狐が外に出ようともがくのを感じる。
光の縄は容赦なくうちに潜む白狐を出さないように電流が走る。
「うっアアッっ!」
光の縄と魂に宿る狐が葛葉子の体を破壊する痛みが半端ない。
このまま死ぬのか、何も望みを叶えないまま……
こんな死に方をするなら、人の時に死んだほうがマシだったかもしれない….
悲しくて悲しくて涙が溢れて、溢れそうになった時、
「葛葉子!」
瑠香が葛葉子を縛る光の縄を触れると縛り付けていた光は消えた。
「る、か?」
力なく地に倒れる葛葉子を抱き支える。
「なんで、葛葉子が縛られてるんだ?….ハル…ハルの神……」
瑠香は幼い晴房をキッと睨む。
それは猫の目のように瞳孔を縦にして神を見極める。
「汚れた獣は消すのが皇を守るためだ」
晴房は当然のように言う。
腰に手をやり、見下し、ニヤリと笑う表情は子供っぽくない。
幼い晴房はハルの神に半分操られてる。
瑠香にキスされて人に戻れたけれど耳はまだあやかしのままだ。
完璧な人間には戻れてはいない。
キスされたことを思うと恥ずかしいし、陛下にしてもらう予定を狂わされたのもムカつくし、白狐と自分の気持ちが同じなのに二個ある感覚で苦しい。
でも、嫌ではなかった。
瑠香は他の巫女仲間のように意地悪しない。
近づいて耳まで恐れずさわるし更には、キスまでするし。
むしろ好いていてくれることに、嬉しさを感じる。
こんなこと初めてで、どう反応すればいいのかわからなくて、せっかくの話し相手になってくれそうだったのに……次はいつ会えるか分からないと思うと悲しい……
瑠香の顔思い出せば嫌いじゃない。
ゴツくないし、中性的で美形だし、好みだ。
けど、私が好きなのは陛下。
一度だけ陛下に頭を撫ぜられた気持ちが、陛下を恋う。
生き長らえさせてくれる白狐は詳しくは語らないし、おしえてくれないことはおおいけれど、陛下を本気で恋しく思っている。
その気持ちは葛葉子も同じ共通する者だ。
白狐の気持ちは自分の気持ち。
その気持ちと似た思いを瑠香にしていいのか、瑠香の気持ちに答えていいの分からない……
与えられた部屋で悶々ととしているとよく聞こえる狐耳にタヌさんの叫び声が届いた。
ハッとし急いで、狸が住む陛下のお住まい近くの林まで走った。
力は内に封印されようと、走る速さは獣並みにもどっている。
暗闇の中でも獣の瞳ならものが見える。
最後の声が聞こえた場所に行けば真っ暗闇の中、白い水干を着た少年が狸の死体を抱えていた。
(あれはきっと、晴房だ。)
晴房の体から淡くキラキラと輝く光が発する。
狸の死体は中に浮き狸の躰は晴房の光の粒子に触れてさらさらな光に消える。
その光景を息を止めて見ていた葛葉子は綺麗だと思うと同時に背筋に鳥肌が立つ。
動物が消えていたのは、晴房のせいだったかと……
晴房は葛葉子に気づき、ゆっくり振り向く。
子供の無表情は神かがってる。
「死の穢から皇居を守らねば……」
それは、アマテラスの子孫の皇室を守る最強の守護のハルの神の意志が宿っている。
「お前も陛下に仇なす獣か?」
ちがうっ……私は……
あまりの神気に言葉にならない
体中の毛穴がゾクリと総毛立つほど、ビリビリと重圧を感じる。
晴房が指先で円を描くと葛葉子を縛る縄になる。
そして、ぎゅっと蛇のように体に巻きついた。
「皇を汚すものは消えろ….」
締め上げられた皮膚が焼けるように痛い。
今日は締め上げられることばかりだ。
瑠香に香で締め上げられるし、何なんだ今日という日は。
今日は凶ということか?とくだらないダジャレが浮かぶ。
余裕があるのか?いや、ない…むしろ、余裕がないのは長らえさせてくれる白狐の方。
内に眠る狐が外に出ようともがくのを感じる。
光の縄は容赦なくうちに潜む白狐を出さないように電流が走る。
「うっアアッっ!」
光の縄と魂に宿る狐が葛葉子の体を破壊する痛みが半端ない。
このまま死ぬのか、何も望みを叶えないまま……
こんな死に方をするなら、人の時に死んだほうがマシだったかもしれない….
悲しくて悲しくて涙が溢れて、溢れそうになった時、
「葛葉子!」
瑠香が葛葉子を縛る光の縄を触れると縛り付けていた光は消えた。
「る、か?」
力なく地に倒れる葛葉子を抱き支える。
「なんで、葛葉子が縛られてるんだ?….ハル…ハルの神……」
瑠香は幼い晴房をキッと睨む。
それは猫の目のように瞳孔を縦にして神を見極める。
「汚れた獣は消すのが皇を守るためだ」
晴房は当然のように言う。
腰に手をやり、見下し、ニヤリと笑う表情は子供っぽくない。
幼い晴房はハルの神に半分操られてる。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
136
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる