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7☆闇にうごめく
しおりを挟む夜歩き回った動物たちが眠りに入ろうとする朝になる前の一番暗い世界。
赤い鳥の足跡の紙切れが白く輝き獲物を探す。
仲間たちを殺して取り込む不気味な紙切れに警戒していた霊力ある狸はキッと睨む。
それしかできない抗えられない呪力に体が動かない。
赤い鳥の足のついた紙切れは突然鋭い刃物となって獣の魂を奪った。
アマテラスの神とツキヨミの神が交代する夕暮れ時と夜明け前、得体のしれない目に見えないものが行き来する……
あれから陰陽寮で与えられている部屋に戻ったが瑠香は悶々として眠れなかった。
葛葉子のことを考えてしまう。
人ではなくあやかしになってしまった少女。
晴房をともに探した時、神が見せた、葛葉子と自分の幸せな未来は単なる想像なのだろうか。
あの未来を思い出すと胸が苦しくなるほど、葛葉子に会いたくなる。
『もっとそばにいろ』と、魂が叫ぶ感じがして更に眠れない。
そわそわして仕事にならない瑠香に陰陽寮長の父が落ち着く呪いを無理やりかけるほどだった。
「この呪術は、またいずれその娘と出逢ったならば十倍百倍になって、その娘を恋焦がれるほど苦しくなる呪いだから覚悟しておけ」
と意地悪な笑みをされたことを今思い出したのもそう言う呪術なのだほうか?
いや、呪術なんか、関係ない。
葛葉子がとにかく好きすぎるのだ。
可愛すぎるあの子を自分の手でめちゃくちゃにしたいほどに……
「この思いに父の呪いに、神の未来…フルコンボすぎだろ……」
恋の焦燥感を落ち着かせるために外に出ると、いつもならば朝まで起きない幼児の晴房が寮の庭に出ている。
そして、何かに導かられるように浮遊し空に飛んでいく。
「また、神に操られてるのか?子供の成長に悪影響だろ……」
瑠香は手早く着替えて、晴房の飛んでいった方向に急いでかけていった。
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