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8☆夜の公園
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月は厚い雲に見え隠れして闇が多くなる。
ホテルを出た後、健十郎さんは私の手を握ったまま鼻をひくつかせながら、あたりを見回す。
空気中の匂いをかき分けているように見える。
「まるで、ワンコみたいな仕草ですね」
「ワンコ…せめて、警察犬っていって、可愛すぎでしょこんな図体でかい男にワンコ……って」
健十郎さんは顔を赤くした。
「俺、警察犬並に鋭い鼻をもってるんだ。」
と自慢する。
「じゃ、私めちゃくちゃ臭かった…?」
そう言われると尚更気にしてしまう。
「……むしろ、もう一度嗅ぎたいくらい…癖になるかも…」
「いい香りを、心がけます…」
顔を真っ赤にしてそう答えるしかない。
健十郎さんの鼻は大きな公園に導いた。
道を照らす街灯以外、明かりがなくて暗い。
警備員もいるが、監視カメラがあらゆる所にたくさん仕込まれているらしい。
鏡に映らない私がカメラや動画に映るだろうか?と疑問に思う。
「ここはルイさんを見つけたところだな…」
「まさか、まだ私だと疑ってるのですか?」
私は怒りを込めて言う。
悪いことしてないのに疑われることが一番嫌いなのは本能だ。
「いや、そうじゃなくて、前から、ここらへんは怪しいとは思ってて張り込みしてたんだ……」
「だから私、疑われた?」
それならば納得は行く、それまでの記憶がパッタリと無いのだから…ルイという名前と吸血鬼と、血をいただいたら願いを叶えるということしか基本自分のことはわからない。
健十郎さんは、暗がりの公園を見て警戒するような表情で当たりを見回す姿は警察のようだと思う。
「……実は、五年前ここで集団暴行事件があったんだよ。」
「えっ……」
私は口元に手を置いてびっくりする。
「学校の帰り道、女の子一人が十人の男に暴行されて発見されたんだ。」
私は思わず体を抱く。
想像すると、とても恐ろしいことだ。
記憶などないのに体が震えるほどだ。
「その事件に関わった警察は見て見ぬふりをして助けなかった……
無かったことにされた。
それは、政治家の息子が関わっていた……っていうよくある話だ」
「よくある話なんですか?そんな世の中嫌ですね…」
「だな。」
健十郎はうんうんと頷く。
「ボロボロの服を着たルイさんを見た時そんな事件の被害者がまたでたのかと思ったんだ…」
フッと、苦笑して、
「実は吸血鬼だったなんて、意外でむしろ今騒がしてる犯人側のような存在だったから複雑だったよ」
「だから、疑ってたんですね……」
私は納得がいった。
「……で、なーんとなく、犯人の目的は分かってんだけど……」
健十郎さんは鼻をひくつかせてニヤリと笑う。
私は首を傾げる。
「どういう存在になってんのか気になってるんだ……」
どういう存在…と含みのある言葉が引っかかりを感じる。
「そして、ここの場所ってことで半分確定的になってる……」
健十郎さんは警戒するように辺りを見張っていたが、私の方に向き直り、
「早く犯人捕まえてルイさんとイチャイチャしなくちゃな♡」
そういって、髪に顔を埋めて嗅がれた。
「うん、いい匂い。犯人の匂いをわすれちゃうくらいに…」
いきなり甘えモードになってベタベタしてきた。
「それは、ダメでしょ!もう、真面目に仕事してください!」
さらに抱きしめる健十郎さんの胸を押して仕事を促す。
体をスッポリを隠すほど抱きしめられる。
「……何、いちゃついてんのよ……あんた達も襲われちゃうよ?」
暗がりから、金髪をうさぎのようにツインテールにして、黒いパーカーと制服の短いスカートを穿いた女子高生がガムを膨らませながら現れた。
ホテルを出た後、健十郎さんは私の手を握ったまま鼻をひくつかせながら、あたりを見回す。
空気中の匂いをかき分けているように見える。
「まるで、ワンコみたいな仕草ですね」
「ワンコ…せめて、警察犬っていって、可愛すぎでしょこんな図体でかい男にワンコ……って」
健十郎さんは顔を赤くした。
「俺、警察犬並に鋭い鼻をもってるんだ。」
と自慢する。
「じゃ、私めちゃくちゃ臭かった…?」
そう言われると尚更気にしてしまう。
「……むしろ、もう一度嗅ぎたいくらい…癖になるかも…」
「いい香りを、心がけます…」
顔を真っ赤にしてそう答えるしかない。
健十郎さんの鼻は大きな公園に導いた。
道を照らす街灯以外、明かりがなくて暗い。
警備員もいるが、監視カメラがあらゆる所にたくさん仕込まれているらしい。
鏡に映らない私がカメラや動画に映るだろうか?と疑問に思う。
「ここはルイさんを見つけたところだな…」
「まさか、まだ私だと疑ってるのですか?」
私は怒りを込めて言う。
悪いことしてないのに疑われることが一番嫌いなのは本能だ。
「いや、そうじゃなくて、前から、ここらへんは怪しいとは思ってて張り込みしてたんだ……」
「だから私、疑われた?」
それならば納得は行く、それまでの記憶がパッタリと無いのだから…ルイという名前と吸血鬼と、血をいただいたら願いを叶えるということしか基本自分のことはわからない。
健十郎さんは、暗がりの公園を見て警戒するような表情で当たりを見回す姿は警察のようだと思う。
「……実は、五年前ここで集団暴行事件があったんだよ。」
「えっ……」
私は口元に手を置いてびっくりする。
「学校の帰り道、女の子一人が十人の男に暴行されて発見されたんだ。」
私は思わず体を抱く。
想像すると、とても恐ろしいことだ。
記憶などないのに体が震えるほどだ。
「その事件に関わった警察は見て見ぬふりをして助けなかった……
無かったことにされた。
それは、政治家の息子が関わっていた……っていうよくある話だ」
「よくある話なんですか?そんな世の中嫌ですね…」
「だな。」
健十郎はうんうんと頷く。
「ボロボロの服を着たルイさんを見た時そんな事件の被害者がまたでたのかと思ったんだ…」
フッと、苦笑して、
「実は吸血鬼だったなんて、意外でむしろ今騒がしてる犯人側のような存在だったから複雑だったよ」
「だから、疑ってたんですね……」
私は納得がいった。
「……で、なーんとなく、犯人の目的は分かってんだけど……」
健十郎さんは鼻をひくつかせてニヤリと笑う。
私は首を傾げる。
「どういう存在になってんのか気になってるんだ……」
どういう存在…と含みのある言葉が引っかかりを感じる。
「そして、ここの場所ってことで半分確定的になってる……」
健十郎さんは警戒するように辺りを見張っていたが、私の方に向き直り、
「早く犯人捕まえてルイさんとイチャイチャしなくちゃな♡」
そういって、髪に顔を埋めて嗅がれた。
「うん、いい匂い。犯人の匂いをわすれちゃうくらいに…」
いきなり甘えモードになってベタベタしてきた。
「それは、ダメでしょ!もう、真面目に仕事してください!」
さらに抱きしめる健十郎さんの胸を押して仕事を促す。
体をスッポリを隠すほど抱きしめられる。
「……何、いちゃついてんのよ……あんた達も襲われちゃうよ?」
暗がりから、金髪をうさぎのようにツインテールにして、黒いパーカーと制服の短いスカートを穿いた女子高生がガムを膨らませながら現れた。
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