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ジジ様の最期
ジジ様の最期(後編)⭐︎子孫への祈り
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「お義父さんは貫禄と優しさがみんなの支えでしたからね」
三十代の容姿をした美男子の娘婿の威津那はそう言った。
「父様はみんなのアイドルだったしね。」
二十歳姿の娘の橘は明るくそう言う、
「おじいちゃんは本当すごい半妖だったよ。」
七歳の姿の房菊はそう言って一生を終えたわしを労う。
「阿部野屋敷でモニターのように自分の葬儀を見るとは思わなかったがの。」
わしたちは黄泉の国に行く五〇日の間 現世と黄泉と間にある阿部野屋敷に留まる事にした。
イザナミ様と閻魔様にも日和国に尽くした立派な一生を誉められた。
神道では神としてこの世に名前や存在を忘れられるまでこの世に留まることができ、子孫を見守る神となるのだが…
「まぁ、母様と黄泉の国行く前に家族団欒しましょう…転生したら会えなくなってしまうのだから……」
橘はポロリと涙する。
「お父様もこの空間に残りますか?」
威津那は昔の楽しかった阿倍野家のように過ごしたいと思い誘う。
「いや、来世も流花と夫婦になるんじゃ。明綛に、勝負を挑んでな。」
わしは腕を組んで言う。
「まぁ、来世もわしを選んでくれると思うがな」
「うふふ。」
「わしを選んでくれぃ!選んでくれないとここに留まるぞ!」
「それは生まれ変わってのことでわからないのが楽しいんじゃないですか」
「それもそうだが……夫婦の契りは来世に及ぶぞ…」
「二人に揺れる心も楽しそうですけど…なら私の御霊を分霊させていただきます」
「分霊じゃと?」
「……正直生涯二人を思うのは胸が苦しい時がありました。この間も明綛に再会して尚更そう思いました……」
二人とも愛しているのだ。
「だから来世は一途に一人を愛したいですわ……」
そういって晴綛を見つめる。
「そうか、それも良いかもな。わしが双子に今世生まれたのも、流花と添い遂げる事と現世の日和を守ることじゃったからの……」
元は一つの魂だったとぼんやりと前世の記憶を思い出す。
「明綛はもっと先の未来の日和の再興のために生まれたのだしの…今よりも能力者が少なくなるようだしの…」
死者には未来がわかる…前世の晴綛はそのために分離したのかもと分析するが
「だが、忘れてしまったがの今考えても仕方ない。どうせハルの神のまにまにだしな。」
「お父さんて真面目で楽天的よね」
橘はそう言った。
「そう言うところが好きなのよ」
流花はそう言って晴綛に惚れ直す。
「まぁ、生まれ変わってみなきゃわからないてことだよね!私も生まれ変わったらちゃんと恋愛したい!」
房菊はそういった。
恋愛で一番辛い思いをしたのは房菊だ……
「そうじゃな。お主は来世こそ皇妃になるのじゃぞ。」
わしはわざと言う。
「決めつけはいやー!ちゃんとした恋愛して幸せになるの!」
「ふーちゃんが幸せな恋愛できるように見守ってあげるからね」
威津那はそう言って房菊の頭を撫でる。
「威津那は房菊と相変わらず仲が良いの」
房菊はかなりの父親っ子だった。
葛葉子は橘が亡くなるまでママっ子だった。
そのせいかお母さんという存在に憧れを抱いていた。
「そうなのよ!ヤキモチ妬いちゃう!」
「かー様も好き!おばあさまもおじいさまも好き!」
房菊は子供の姿でみんなに可愛がられて幸せそうだ。
一昔前の阿倍野家の家族団欒で晴綛も流花もこの世にとどまり幸せを噛みしめることにして、そんな幸せが現世を生きる葛葉子の家族と重なって見えて嬉しく思う。
子孫の幸せは、わしらの幸せ…だから祖霊として、ずっと見守っていきたい…
その願いが日和の幸せに繋がり祈り姫の願いに乗って祝皇陛下に祝福されてこの世が…日和が続くのだと改めて思うのだった。
三十代の容姿をした美男子の娘婿の威津那はそう言った。
「父様はみんなのアイドルだったしね。」
二十歳姿の娘の橘は明るくそう言う、
「おじいちゃんは本当すごい半妖だったよ。」
七歳の姿の房菊はそう言って一生を終えたわしを労う。
「阿部野屋敷でモニターのように自分の葬儀を見るとは思わなかったがの。」
わしたちは黄泉の国に行く五〇日の間 現世と黄泉と間にある阿部野屋敷に留まる事にした。
イザナミ様と閻魔様にも日和国に尽くした立派な一生を誉められた。
神道では神としてこの世に名前や存在を忘れられるまでこの世に留まることができ、子孫を見守る神となるのだが…
「まぁ、母様と黄泉の国行く前に家族団欒しましょう…転生したら会えなくなってしまうのだから……」
橘はポロリと涙する。
「お父様もこの空間に残りますか?」
威津那は昔の楽しかった阿倍野家のように過ごしたいと思い誘う。
「いや、来世も流花と夫婦になるんじゃ。明綛に、勝負を挑んでな。」
わしは腕を組んで言う。
「まぁ、来世もわしを選んでくれると思うがな」
「うふふ。」
「わしを選んでくれぃ!選んでくれないとここに留まるぞ!」
「それは生まれ変わってのことでわからないのが楽しいんじゃないですか」
「それもそうだが……夫婦の契りは来世に及ぶぞ…」
「二人に揺れる心も楽しそうですけど…なら私の御霊を分霊させていただきます」
「分霊じゃと?」
「……正直生涯二人を思うのは胸が苦しい時がありました。この間も明綛に再会して尚更そう思いました……」
二人とも愛しているのだ。
「だから来世は一途に一人を愛したいですわ……」
そういって晴綛を見つめる。
「そうか、それも良いかもな。わしが双子に今世生まれたのも、流花と添い遂げる事と現世の日和を守ることじゃったからの……」
元は一つの魂だったとぼんやりと前世の記憶を思い出す。
「明綛はもっと先の未来の日和の再興のために生まれたのだしの…今よりも能力者が少なくなるようだしの…」
死者には未来がわかる…前世の晴綛はそのために分離したのかもと分析するが
「だが、忘れてしまったがの今考えても仕方ない。どうせハルの神のまにまにだしな。」
「お父さんて真面目で楽天的よね」
橘はそう言った。
「そう言うところが好きなのよ」
流花はそう言って晴綛に惚れ直す。
「まぁ、生まれ変わってみなきゃわからないてことだよね!私も生まれ変わったらちゃんと恋愛したい!」
房菊はそういった。
恋愛で一番辛い思いをしたのは房菊だ……
「そうじゃな。お主は来世こそ皇妃になるのじゃぞ。」
わしはわざと言う。
「決めつけはいやー!ちゃんとした恋愛して幸せになるの!」
「ふーちゃんが幸せな恋愛できるように見守ってあげるからね」
威津那はそう言って房菊の頭を撫でる。
「威津那は房菊と相変わらず仲が良いの」
房菊はかなりの父親っ子だった。
葛葉子は橘が亡くなるまでママっ子だった。
そのせいかお母さんという存在に憧れを抱いていた。
「そうなのよ!ヤキモチ妬いちゃう!」
「かー様も好き!おばあさまもおじいさまも好き!」
房菊は子供の姿でみんなに可愛がられて幸せそうだ。
一昔前の阿倍野家の家族団欒で晴綛も流花もこの世にとどまり幸せを噛みしめることにして、そんな幸せが現世を生きる葛葉子の家族と重なって見えて嬉しく思う。
子孫の幸せは、わしらの幸せ…だから祖霊として、ずっと見守っていきたい…
その願いが日和の幸せに繋がり祈り姫の願いに乗って祝皇陛下に祝福されてこの世が…日和が続くのだと改めて思うのだった。
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