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威津那と晴綛の対決
晴綛と威津那の対決☆3
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「あなたの娘を白狐の管狐としていただきたかったけど、あなたの方が、かの九尾の狐よりも強そうだね……」
父の八那果が使役にした理由がよく分かる。
伝説のあやかしよりも目の前にいる強力で強いあやかしを操ってみたいと思ってしまう。
人間の姿だから限界があるが、妖狐の姿になったら九尾を凌ぐかもしれない。
だからと言って、娘の橘のことを欲しくなくなったわけではなく、
(父親が自分の物になれば、娘も必然と……)
威津那は想像してほくそ笑む。
「父が使役できたから僕にもできるはず……」
と、つぶやいた。
「出来るものならやってみろっ!」
晴綛は瞬時に威津那の真ん前にいた。
さらに拳を両手で握り威津那の頭に振り落とした。
それは本気で頭を粉砕する渾身の力を込めた物だ。
ぶつけたと思った途端、威津那の体は黒い霧に霧散した。
「わっ!たっ!たっ!た!」
晴綛は体勢を崩し転び一回転してよろめく。
(やはり年じゃな……)
と思い情けなくなる。
「無理しちゃダメですよ」
そこをすかさず黒い縄が晴綛の右腕を捉えて地面に張り付かせる。
「くっ!油断した!」
仰向けでジタバタする晴綛を、威津那は見下ろす。
「形勢逆転?もとからそんなのなかったかな?」
「いつから代わりと入れ替わった…?」
晴綛は転んだ時に見つけた三本血の後がついた紙を見つけて身代わりだと気づいた。
さらに端が焦げていた。
「最初から?まぁ、影も僕自身だし離れられない物だしね使えるよね?」
威津那はなんともないことのように言う。
「…底の知れん奴じゃな……」
晴綛は難しい顔をして威津那の背後を見る。
「………」
威津那は晴綛が負けを認めたくないために黙っているのかと思い心浮き立つのか表情が緩い。
「僕の管狐にして、娘さんをもらっちゃう計画が、こんなに簡単なんてねー…金狐より九尾の方がやっぱり強そうだよね」
晴綛を見下す。
威津那は黒い糸を掌に出した。
「あなたを操るために毛を数本もらうよ…」
威津那は尻尾の毛をぶちとむしり取った。
「痛いわ馬鹿者が!」
自慢の尻尾に円形のハゲができた。
「僕が勝ちでいいんですよね?勝ちを認めてくれなきゃ、手首腐り落ちますよ?」
縛られた手首は異様な煙を立てて毒のような呪詛は脅しではなく本当のようだ。
「わかった…お前の実力は認めてやる」
晴綛は降参したというよう左手をあげため息を吐く。
「よかったー。あなたを管狐にしたら外してあげますよ。腐り落ちる呪詛は解きますけどね」
威津那は瞳は笑わずにわざと明るいほっとした声を出す。
威津那は毛を数本飲み込み、己の掌に出した呪詛の糸を晴綛の首元に縛るように呪詛に命じる。
糸はふよふよと怪しくた漂い晴綛を吟味しているかのようだ。
(いまじゃ!)
晴綛は右手でそれを掴みとり、
『ウカ様の縁の力をお貸しくだされ……』
爪で小指を切り、血を威津那の管狐の呪詛の力に振りかける。
「黒き縛りの呪詛は赤き縁の糸に変わる」
晴綛は青い瞳を煌めかせてそう宣言する。
晴綛は妻が依代としてルカの神を宿しているが、体調すぐれず、夫婦二人で神の依代になった。
そして、神の依代の言霊は絶対だ。
晴綛の首に巻きつくはずの糸は呪詛返しのような形になり威津那の首を喉元を締め上げる。
糸は黒ではなく血の赤に変わり晴綛の左手小指から伸びている。
「うぐ…っ!?」
細い糸は肉に食い込む力が強い。
本気で一気に力を入れれば胴体と離れることになるだろうと晴綛は確信する。
さらに糸を巻きつけ苦しめる。
あまりの苦しさに威津那は膝を折る。
「残念だが、わしの勝ちじゃ…負けを認めろ。」
懐に隠しておいた煙管で手首を縛る呪詛を霧散させ自由になっていた。
「なんで…呪詛を糸に……?」
これは呪詛返し…と理解するが、それと違う力が貸している。
「呪詛返しにウカ様の神呪を乗せておる。ルカの神の言霊で呪詛返しをした。お前の命はわしの手の中じゃ…」
晴綛は少し力を入れると首に糸が食い込み威津那は死を覚悟させられる。
「毎回八那果に、毛を抜かれていれば対策も出来るのじゃ…」
この技は八那果にしてやろうと作戦を立てていてそれを威津那はまんまとハマってくれたと思う。
(ギリギリの、作戦だったがの…)
と言ってため息を吐いた。
「嫌だ…あの子と結ばれるのは僕なんだから……」
威津那は喉を締められ息がしづらく譫言をはく。
「まるで洗脳じゃの…わしに勝たねば娘をやることはまかりならんというか、やる気はないがの。」
ふーやれやれとわざとらしく態度にしてやった。
「あの子は僕の光……あの子は僕の伴侶なんだ……」
威津那は喉に糸が食い込んで息が苦しく意識が飛びそうな中譫言のように希望の言霊を吐き続ける。
父の八那果が使役にした理由がよく分かる。
伝説のあやかしよりも目の前にいる強力で強いあやかしを操ってみたいと思ってしまう。
人間の姿だから限界があるが、妖狐の姿になったら九尾を凌ぐかもしれない。
だからと言って、娘の橘のことを欲しくなくなったわけではなく、
(父親が自分の物になれば、娘も必然と……)
威津那は想像してほくそ笑む。
「父が使役できたから僕にもできるはず……」
と、つぶやいた。
「出来るものならやってみろっ!」
晴綛は瞬時に威津那の真ん前にいた。
さらに拳を両手で握り威津那の頭に振り落とした。
それは本気で頭を粉砕する渾身の力を込めた物だ。
ぶつけたと思った途端、威津那の体は黒い霧に霧散した。
「わっ!たっ!たっ!た!」
晴綛は体勢を崩し転び一回転してよろめく。
(やはり年じゃな……)
と思い情けなくなる。
「無理しちゃダメですよ」
そこをすかさず黒い縄が晴綛の右腕を捉えて地面に張り付かせる。
「くっ!油断した!」
仰向けでジタバタする晴綛を、威津那は見下ろす。
「形勢逆転?もとからそんなのなかったかな?」
「いつから代わりと入れ替わった…?」
晴綛は転んだ時に見つけた三本血の後がついた紙を見つけて身代わりだと気づいた。
さらに端が焦げていた。
「最初から?まぁ、影も僕自身だし離れられない物だしね使えるよね?」
威津那はなんともないことのように言う。
「…底の知れん奴じゃな……」
晴綛は難しい顔をして威津那の背後を見る。
「………」
威津那は晴綛が負けを認めたくないために黙っているのかと思い心浮き立つのか表情が緩い。
「僕の管狐にして、娘さんをもらっちゃう計画が、こんなに簡単なんてねー…金狐より九尾の方がやっぱり強そうだよね」
晴綛を見下す。
威津那は黒い糸を掌に出した。
「あなたを操るために毛を数本もらうよ…」
威津那は尻尾の毛をぶちとむしり取った。
「痛いわ馬鹿者が!」
自慢の尻尾に円形のハゲができた。
「僕が勝ちでいいんですよね?勝ちを認めてくれなきゃ、手首腐り落ちますよ?」
縛られた手首は異様な煙を立てて毒のような呪詛は脅しではなく本当のようだ。
「わかった…お前の実力は認めてやる」
晴綛は降参したというよう左手をあげため息を吐く。
「よかったー。あなたを管狐にしたら外してあげますよ。腐り落ちる呪詛は解きますけどね」
威津那は瞳は笑わずにわざと明るいほっとした声を出す。
威津那は毛を数本飲み込み、己の掌に出した呪詛の糸を晴綛の首元に縛るように呪詛に命じる。
糸はふよふよと怪しくた漂い晴綛を吟味しているかのようだ。
(いまじゃ!)
晴綛は右手でそれを掴みとり、
『ウカ様の縁の力をお貸しくだされ……』
爪で小指を切り、血を威津那の管狐の呪詛の力に振りかける。
「黒き縛りの呪詛は赤き縁の糸に変わる」
晴綛は青い瞳を煌めかせてそう宣言する。
晴綛は妻が依代としてルカの神を宿しているが、体調すぐれず、夫婦二人で神の依代になった。
そして、神の依代の言霊は絶対だ。
晴綛の首に巻きつくはずの糸は呪詛返しのような形になり威津那の首を喉元を締め上げる。
糸は黒ではなく血の赤に変わり晴綛の左手小指から伸びている。
「うぐ…っ!?」
細い糸は肉に食い込む力が強い。
本気で一気に力を入れれば胴体と離れることになるだろうと晴綛は確信する。
さらに糸を巻きつけ苦しめる。
あまりの苦しさに威津那は膝を折る。
「残念だが、わしの勝ちじゃ…負けを認めろ。」
懐に隠しておいた煙管で手首を縛る呪詛を霧散させ自由になっていた。
「なんで…呪詛を糸に……?」
これは呪詛返し…と理解するが、それと違う力が貸している。
「呪詛返しにウカ様の神呪を乗せておる。ルカの神の言霊で呪詛返しをした。お前の命はわしの手の中じゃ…」
晴綛は少し力を入れると首に糸が食い込み威津那は死を覚悟させられる。
「毎回八那果に、毛を抜かれていれば対策も出来るのじゃ…」
この技は八那果にしてやろうと作戦を立てていてそれを威津那はまんまとハマってくれたと思う。
(ギリギリの、作戦だったがの…)
と言ってため息を吐いた。
「嫌だ…あの子と結ばれるのは僕なんだから……」
威津那は喉を締められ息がしづらく譫言をはく。
「まるで洗脳じゃの…わしに勝たねば娘をやることはまかりならんというか、やる気はないがの。」
ふーやれやれとわざとらしく態度にしてやった。
「あの子は僕の光……あの子は僕の伴侶なんだ……」
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