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思い募る
5☆初めての夜伽の後
しおりを挟む「は、はしたないことをしてしまいました~っ!媚薬酒のせいでーー!」
酒と媚薬の効果が切れると、普段以上の冷静さが羞恥心を支配した。
最大の副作用のようだ。
「まさか…わしに告白を迫ったことまで忘れてしまったのか……やられ損か?」
と、わざとヨヨヨと女のセリフを言ってみた。
「それは覚えてます!全て覚えているのではずかしいのですうううぅ…っ」
流花は顔を両手で多い晴綛の腕の中で悶え背を向ける。
「積極的で挑発的な流花も知れてわしは嬉しいぞ……どんな流花だって受け入れてやるし恥ずかしいと思わんでいい…」
ギュッと抱きしめて華奢な背中に口付けをする。
「でも、殿方に対してあんな自ら淫らなことをしてしまうなんて……明綛にもしたことありませんのに……!はっ……!」
流花は青ざめる。
致した後に前夫と比べるなんて失言をしたことに流花は尚更罪悪感が湧く。
優しく抱きしめていた晴綛の手も固まったから罪悪感まで最大限に最悪な初夜の共寝になってしまって胸が痛い……
「明綛と比べてしまうのは失礼ですよね……ごめんなさい!本当にごめんなさい……」
一気に冷めてしまったかと晴綛の様子を恐る恐る伺うように振り向くと満面な笑顔で
「ふふふふ、ははははは!」
晴綛は突然大笑いだし、さらにギュッと流花を抱きしめる。
「そうか、わしにだけ!わしにだけにあんな興奮した流花を見せてくれたということか!」
「はい…媚薬のせいかも知れませんが…………オドオドなさったあなたがとても可愛らしくて…主導権を握ってしまいました……」
妖艶で挑戦的で今までにない流花を思うとドキドキが止まらない……
そんな流花を明綛は知らない。
「わししか知らん流花を知ったことが嬉しいんだ。わしは一生忘れられない初夜になったぞい!また流花から襲われたい!どんな激しい要求も受け止めてやるぞ!!」
晴綛は興奮して絶賛してくれる。
絶望されなくてむしろ喜んでくれて流花はホッとする。
「愛しておるぞ……」
晴綛は流花の耳元で囁いた。
「……私はその言霊は陛下に捧げておりますのでお答え出来ませんけれど……」
だからこそ、晴綛も明綛も平等に心から好きだ……
「それでいいんだ…」
晴綛の囁き声は男らしい艶があり、明綛と、そっくりだ……
晴綛といる限り明綛を忘れることはないと改めて思う…
「流花がわしにも明綛にも言霊で伝えられない分、愛の言霊を流花に捧げたい…だからずっとそばに寄り添って欲しい…」
「あなたも私から離れちゃいやですよ……ずっとそばにいて……」
晴綛は西洋式の愛の伝え方を…唇を流花に重ね伝える。
結ばれて恋人同士夫婦に…何よりも本心を隠さず互いに好きと確信し合える幸せを感じる。
「今度はわしから流花を……」
晴綛は流花に覆い被さった時、
バンっ!と突然襖が開く。
「そろそろお時間ですよ!もうこれ以上は阿倍野屋敷でいちゃついてくださいなねぇ…?」
『そうじゃなぁ?』
八尾比丘尼は幸せを祝福するようにわざと拗ねた感じでいう。
その隣にはウカ様がに満足気な気配を放っていた。
『ついでにこれはわしが作った特別の媚薬じゃ。
『八尾比丘尼殿に仕込ませるために渡しておったが、持って帰って家宝にしておけ。阿部野家はあやかしの家系じゃ、定期的に半妖が生まれるように飲ませるが良いわ』
ウカ様はそう言って、祝福を祝うように流花と晴綛に尻尾をふさふさして帰っていった。
現世の屋敷に帰れば三姉妹の母親として清楚で厳しい姿勢に戻る前に女として晴綛と二人きりの甘い時間を晴綛の作った異界で媚薬酒に溺れて睦み合うのではなく、改めて心から愛し合った。
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