あやかしと神様のジジ様の物語

花咲蝶ちょ

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思い募る

4♡固い晴綛攻める流花

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「はぁ…はぁ…」
 流花は八尾比丘尼に、用意された個室で着物を緩めて火照る体を慰める。
「あの女…なんてものを飲ませるのよ……」
酒飲み対決で媚薬を盛られてしまったらしい……
 あやかしの頭領の晴綛に使うための媚薬は我慢できないほどの催淫作用が来ることがわかっていたのか個室に閉じ込めてくれたと思ったのに……
「流花!ここか!迎えにきたぞ!」
「!」
 突然襖を開けて入ってきた晴綛と目があって霰もない姿を見られ時間が止まる。
「きゃっ!」
 流花は慌てて背中を向く。
「す、すまぬ!」
 晴綛もあわてて後ろを向いて襖を閉じる。

「うう……こんな恥ずかしいことをしているところを見られたら…屋敷に帰れません……恥ずかしくて、もう、出家して尼になります!」
 本気の覚悟を滲ませた涙声音で言う。

 八尾比丘尼に女に恥をかかすなと言われたのはこういうことだ。

「何、バカなこと言ってんじゃ!」
 晴綛は慌てて流花のそばに寄り瞳を合わす。

「……尼になるくらいなら、このまま、わしと結ばれろ……そうすれば恥ずかしくない…だろ?」
 晴綛は優しい声音で諭す。
 言っていて夫婦になろうとも告白したようなものだが、この機に言ったら本気と思われないかもしれないとも思いと流花の返事にドキドキする。
 流花は瞳を輝かせて晴綛を見る。
「………それは…私を妻に望むということでございますか?」
「ああ…わしはずっと前から流花が好きだ。この気持ちは明綛に負けないぞ…!」
 真摯な瞳で秘めていた言霊を告げる。
「晴綛……」
 流花は肩に触れられる晴綛の手の感覚に理性よりも本能で男の愛おしい手に体が痺れる。
 もう、その事しか頭に考えられない……
 流花は晴綛のその手を取り、ふくよかな自らの胸に押し当てた。
 首を傾げて瞳を潤ませて微笑む。
「その言葉を待ってたの……」
 ほてった顔に息の荒い吐息の色気に男としてぞくりとそそられてしまうが……冷静に流花の状況を分析する。

「流花…?まさか媚薬盛られたのか?」
 酒の匂いに混ざって人を誘うような匂いが体から匂う。
「はい……あなたに、盛るはずだった薬…だった…ようです…」
 言葉を吐くのも息も絶え絶えだ。
「そりゃ、流花にとって猛毒も同じじゃろ!」
 火照った体をどうにかして欲しいと言う気持ちの方が強い……
 瞳を潤ませて晴綛を見つめる。
 晴綛の告白はとても嬉しいけれどそれよりも肉体で応えて欲しいとすら絶対に言葉に出来ない望みを叶えてもらいたい……
 一度も男を知らなければこんなに求めなかったはず……
 流花は晴綛に己の手を重ねて遠慮する手を離させない。
「や、やめるのだ。今は……はしたない…ぞ……」
 晴綛は顔を背けてなんとか拒否をする。
 流花は絶望の顔して涙が溢れる。
「晴綛の好きは家族としてのことなの?」
 胸が痛くて抉られて辛い。
 流花は酒と媚薬で理性が効かない…

 晴綛が欲しいのは家族であって私自身ではなかったと体を拒否されてそう思ってしまうと恥ずかしいのと辛いのが苦しいどうしようもなくて涙が出てきた。

 もう、どうでもいい…この辛い気持ちはさらに酒に溺れるしか道はない……
 晴綛が己を冷静に保つためにそっぽを向いている間に、流花はなぜか手元にあった盃を飲んだ。
「流花が正常な時に改めて…そういうことをし……」
 流花は晴綛の首腕をしなれ抱きつく。
「晴綛さんは、真面目なんらから…」
「更に酒回ってきてないか?しかも、ウカ様印の酒か?」
 晴綛はさらにすっごく冷静になってる。いや冷静を装っている。
(明綛のように情熱の感情に流されない……)
「そういう真面目なところも好き……」
 晴綛の狐の耳元に色っぽい吐息で囁く。
 もう…流花は自制心が効かない、むしろ酔いが覚めたら記憶すら失っていそうだ。
 そして、晴綛が無理やり襲ったと勘違いされて嫌われたら……
(わしの方が絶望するぞ……)
 晴綛は冷静を保つために未来を考える。
 もっと先の未来は絶望だ……

「脱げ!」

 流花は突然バリっと晴綛の衣をビリビリ引きちぎった。
「な、な、何を!」
 細身のか弱い印象とは程遠いことをされて晴綛はびびり上がる。
 いろいろ考えて冷静になるどころじゃない驚くことが起きて固まる。
「もう、限界…私にあなたを抱かせて……」
 そう言って流花は晴綛を襲う。
 体中に口付けされ、生気溢れる男根を遠慮なく触られる。
「本来なら、わしの、セリフだぞ……?」
 晴綛は戸惑いながら、いや興奮し思案しながら根性で理性を何とかギリギリ留める。
(確かに私に飲ませた媚薬くらい強くなくては落ちないですわね……)
「もっと私の全てを知って…もっと触れてほしい……」
 流花は体重をかけて晴綛を押し倒す。
 豊かな乳房から谷間から腹から秘所まで覗けて晴綛は凝視して喉がなる。
 男は女の体に反応するように出来ている特に好きな女には抗えない。
「もう限界……好きにしてくれ…だけど、わ、わしは初めてだから…上手くはないぞ……」
 耳を下げてうるうる目でこちらを見る。
 長身の筋肉ムキムキの狐のあやかしなのに、乙女のように怯えていて可愛く思う。
「うふふ、可愛い…」
 晴綛は目が合うと、顔を真っ赤にして戸惑う。
 理性をギリギリ離さない……のに体は正直……
 強力な媚薬で獣状態になった流花にはもう理性がなかった……

 晴綛も流花から漂う媚薬の香りに理性をなくして流花の体に溺れた。
 互いに何年も本能を我慢して、さらに両思いということが快楽に拍車をかけた……

 晴綛は正直に思う。
 いろいろ冷静になるように装っていたが、晴綛の本心は好きな女をがっかりさせたくない……

 明綛と比べて欲しくないという強い矜持だった……

 初めての男性を女性の方から手取り足取り教えられ凌辱し流花は晴綛の初めてを奪えたことにも快楽に楽しさを見出してしまった。

(明綛はなぜか手慣れていた気がするけれど……)
 よぎったが詮無いことだと思い忘れることにした。
 媚薬と酒のせいだとしても愛を確かめ合えた事に、とてつもない幸せを感じるのだった。
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