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雪女とナマハゲ
18☆八尾比丘尼の血の効果
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夜明け前に再び祭壇を整え山神を流花に宿す。
雪女の異界では山神はわしが雪女の糧になるのを見ていた気がするが、神を巫女に下ろし誓約を叶ったことを示すことが大事だ。
「山神よ無事に雪女を連れてきたぞ。
目の前で真の雪女になる様を見るが良い。」
そこには雪女と颯太も同席してもらう。
二人は相思相愛になって意を決し寄り添い手を握り合う。
少し雪女の手が互いの熱で溶けている…
少し時を遡る。
異界から異界を通り無事宿に帰れた。
現世ではすでに夜になっていた。
三姉妹たちも突然消えた母が心配で無事の姿を見た時に抱きついた。
「もう、二人ともどこ行ってたの!」
「いっぱい探したんだからぁあ!」
「いもうとできてなかったら許さないんだからね!!」
「………できてないから」
流花は複雑な表情で娘たちを慰めていた。
わしは山神に作戦をなるべく聞かれたくないため雪女と颯太を八尾比丘尼の異界で引き合わせて改め、颯太の誤解と雪女の事情を話した。
長年あやかしをやっている八尾比丘尼は己の意思で異界を作り出し神の聞き耳も届かぬ異界を作り出すことができる。
晴綛の役に立つことができて嬉しい八尾比丘尼は流花にフッと勝ち誇った顔をしてわしらを誘った。
その時の流花の顔は般若の顔をしていた。
「ほかの男を襲ったことに腹立て雪女を疑って怒鳴ってごめん…」
颯太はあの時のことを謝る。
「颯太……私もすまぬ…本物の雪女になっても颯太と今までのように逢いたかったのじゃ……」
雪女の颯太を見つめる瞳から美しい大粒の涙が溢れる。
それを颯太は優しく拭い、
「俺も雪女と会ってから冬まで会えない日々はつらかった…」
互いに同じ気持ちだったことに尚更感極まる。
「どうか俺を喰らってくれ……
雪女のいない世界なんか価値はない」
颯太の瞳に迷いはなかった。
「もういいのじゃ!颯太の気持ちを知ったなら私は消えてもいいのじゃ……」
「それはダメだぞ。誓約が成り立たん!」
わしはいい雰囲気だとしても注意する。
「死んでも愛する覚悟があるなら今から糧になっても本望ということだな。」
わしは確認する。
「はい。雪女のためにも…死ぬ覚悟です」
「ならば、これを飲んでおけ」
わしは八尾比丘尼の血の入った小瓶を渡す。
雪女はどうしても颯太と人生を過ごしたい。
その願いを叶える方法は長く生きたあやかしの八尾比丘尼の血を飲むこと。
それは一度死んだものを生き返らせる力があるという。
だがそれは確定的な事ではないので一か八かだ。
「私の長年の思いが入った血…あなた方の願いが叶うことを私も祈っておりますわ」
八尾比丘尼は美しく微笑む。
「晴綛様も大事に至る前に飲んでおいて欲しいのですけどね…」
それはわしが死ぬような出来事が起こらぬようにとの配慮もあったのかもしれないが……
「わしは最強の阿倍野殿じゃぞ?そんな出来事など起こらん…たぶん」
最後は八那果に無理やりこき使われることを思うと自信はなかった。
「その時は晴綛様を想う者がいないと血の効果はないですけどね。まぁ、私を奥方にしてくださるなら心配ありませんわーー!」
「晴綛!時間がありません!さっさと仕事をしに行きますよ!」
流花が異界を通ってわしを救いに…連れにきた。
「流花さん。一度さしで勝負いたしましょう…晴綛様をかけて…」
「そんなことする必要はありませんけど、勝負したいというならよろこんで…」
瑠花と八尾比丘尼は昨日からの初対面なのに既に犬猿の仲と言うことにわしは意味がわからず戸惑う。
「と、とりあえず現世にかえるぞ!」
わしは急いで二人を連れて山神の元に急いだのだった。
雪女の異界では山神はわしが雪女の糧になるのを見ていた気がするが、神を巫女に下ろし誓約を叶ったことを示すことが大事だ。
「山神よ無事に雪女を連れてきたぞ。
目の前で真の雪女になる様を見るが良い。」
そこには雪女と颯太も同席してもらう。
二人は相思相愛になって意を決し寄り添い手を握り合う。
少し雪女の手が互いの熱で溶けている…
少し時を遡る。
異界から異界を通り無事宿に帰れた。
現世ではすでに夜になっていた。
三姉妹たちも突然消えた母が心配で無事の姿を見た時に抱きついた。
「もう、二人ともどこ行ってたの!」
「いっぱい探したんだからぁあ!」
「いもうとできてなかったら許さないんだからね!!」
「………できてないから」
流花は複雑な表情で娘たちを慰めていた。
わしは山神に作戦をなるべく聞かれたくないため雪女と颯太を八尾比丘尼の異界で引き合わせて改め、颯太の誤解と雪女の事情を話した。
長年あやかしをやっている八尾比丘尼は己の意思で異界を作り出し神の聞き耳も届かぬ異界を作り出すことができる。
晴綛の役に立つことができて嬉しい八尾比丘尼は流花にフッと勝ち誇った顔をしてわしらを誘った。
その時の流花の顔は般若の顔をしていた。
「ほかの男を襲ったことに腹立て雪女を疑って怒鳴ってごめん…」
颯太はあの時のことを謝る。
「颯太……私もすまぬ…本物の雪女になっても颯太と今までのように逢いたかったのじゃ……」
雪女の颯太を見つめる瞳から美しい大粒の涙が溢れる。
それを颯太は優しく拭い、
「俺も雪女と会ってから冬まで会えない日々はつらかった…」
互いに同じ気持ちだったことに尚更感極まる。
「どうか俺を喰らってくれ……
雪女のいない世界なんか価値はない」
颯太の瞳に迷いはなかった。
「もういいのじゃ!颯太の気持ちを知ったなら私は消えてもいいのじゃ……」
「それはダメだぞ。誓約が成り立たん!」
わしはいい雰囲気だとしても注意する。
「死んでも愛する覚悟があるなら今から糧になっても本望ということだな。」
わしは確認する。
「はい。雪女のためにも…死ぬ覚悟です」
「ならば、これを飲んでおけ」
わしは八尾比丘尼の血の入った小瓶を渡す。
雪女はどうしても颯太と人生を過ごしたい。
その願いを叶える方法は長く生きたあやかしの八尾比丘尼の血を飲むこと。
それは一度死んだものを生き返らせる力があるという。
だがそれは確定的な事ではないので一か八かだ。
「私の長年の思いが入った血…あなた方の願いが叶うことを私も祈っておりますわ」
八尾比丘尼は美しく微笑む。
「晴綛様も大事に至る前に飲んでおいて欲しいのですけどね…」
それはわしが死ぬような出来事が起こらぬようにとの配慮もあったのかもしれないが……
「わしは最強の阿倍野殿じゃぞ?そんな出来事など起こらん…たぶん」
最後は八那果に無理やりこき使われることを思うと自信はなかった。
「その時は晴綛様を想う者がいないと血の効果はないですけどね。まぁ、私を奥方にしてくださるなら心配ありませんわーー!」
「晴綛!時間がありません!さっさと仕事をしに行きますよ!」
流花が異界を通ってわしを救いに…連れにきた。
「流花さん。一度さしで勝負いたしましょう…晴綛様をかけて…」
「そんなことする必要はありませんけど、勝負したいというならよろこんで…」
瑠花と八尾比丘尼は昨日からの初対面なのに既に犬猿の仲と言うことにわしは意味がわからず戸惑う。
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