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雪女とナマハゲ
17☆解決相談
しおりを挟む雪女は晴綛から精気を喰らうという事は、接吻か子作り行為という事を聞いて、
「あんなもの食べなくてほんとよかった」
と雪女は心底ホッとした。
「ふん、わしも自慢のモノを喰われなくて良かったワイっ!」
わしはムッとしてそっぽを向いた。
向いた先に笑いを堪える流花がいた。
「と、とりあえず、無事雪女さんが見つかって良かったですわね。これで寒い季節が終わるという事ですわ」
流花は場の雰囲気を和やかにするためにそういったが、
「じゃが、こやつがちゃんとした雪女にならんとな……」
わしはため息を吐く。
《雪女としての義務を果たすところを山神にみせつけなくてはならない》
と、ルカの神は言った。
男の精気を吸って雪女として覚醒するまでが誓約。
「………やはり接吻するなら颯太じゃなきゃいやじゃの……」
雪女は顔を赤くして顔が少し溶けてる。
「だが颯太を殺してしまうなんてそんなの嫌じゃああぁぁあ!」
うわー!と突っ伏して泣くと室内でも雪が吹き荒んだ。
「だが、颯太の精気を奪えなかったら雪女の方が消滅する。二つに一つじゃが、山神はそなたが可愛いらしいからの、雪女が死ぬ様なら、誓約は成立せぬし、ずっと冬とは言わないが、天候をじゃまするために噴火をするかもしれない…」
わしはため息を吐く。
山神はただそこに季節を色鮮やかに変えながら穏やかに鎮座しているわけではないのだ。
自然の脅威を神の威信として崇めただえ祈り恵みを寿ぐのだ。
そのために陛下のご命令で解決しにきたのだ。
「颯太と共に黄泉の国へ去くことも、叶わぬのか……」
どうにもならない運命にヨヨヨと本気で無く。
そんな雪女に流花は哀れに思う。
颯太以外の男の精気を吸い取る事もできるが、やはり接吻や子作りは颯太以外に考えられないし、そんなことしたら颯太に合わせる顔がないと泣く。
「むしろ溶けて消えてしまいたい……」
「それはダメだからの!絶対!」
わしはすかさず注意する。
「あの、良い策を思いついたのですけど…」
流花はパッと思いついた事を説明する。
《相手もナマハゲの化身…そんじょそこらじゃ精気を奪われても簡単には黄泉にはいかぬ。
ナマハゲの神の依代の化身になれば主人が命尽きるその日まで共にいられるはず……》
と、流花と同時に助言したのはルカの神だ。
「そういう方法もあるのか………ん?」
わしは思案して腕を組み袖に手を入れると、異物の重みを思い出し探ると、八尾比丘尼が無理やり入れた血の小瓶があった。
その小瓶をじっと見て閃く。
「もしかしたら、もしかするかもしれんな……」
微かな希望に頬がニヤリと持ち上がる。
わしはこの八尾比丘尼の血についてどの様な効果があるのか確かめる事と颯太を連れてくることにした。
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