あやかしと神様のジジ様の物語

花咲蝶ちょ

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雪女とナマハゲ

14☆小屋に二人きり

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「流花!大丈夫か⁉︎」
 流花の上半身を大おこしてパチパチと頬を叩く。
「ん…晴綛…さん?」

 流花につけていた式神でどこにいるのかすぐわかった。
「はぁ……よかった…どこか痛いところはないか?」
「たぶん…大丈夫…です。」
 すくっと立ち上がって手足をぶらぶらしてみせる。
「かなり積もった雪の上に仰向けで落ちてたからの、衝撃から多少は和らいだとしても油断はダメだな…さっさと宿に帰ろう……」

 ぶぁああああ!と、突然目の前が真っ白になる程吹雪いてきた。
「ううっ、すごく…さむい」
 流花はさらに体をガタガタと震え出した。
 女将の宿は上に登って行けば…と流花を抱えて妖力で飛翔して上がろうとしたが力が出ない。
《ここはもう雪山の異界だよ…雪女がずっと罠を張ってたんだ》
 と、流花の神が告げる。
「なんだと……?」
 見境なく魂を狙っていると言うことか……そのため罠を張った。
 雪女はかなり切迫詰まっている。
 もしかして、流花の体が冷えに弱くなっているのは山神が流花を雪女にさせるためなのか……?
 と、嫌な予感がする。
 目の前に灯りのついた小屋がポツンと白い雪の空間の中で現れた。
「流石に罠だと思うが…この状態よりマシかの…」
(いざとなったら、雪女がだろうが山神だろうが流花の命を守れるならば本気出す……!)
 そう決意をして小屋の中に入る。
 中に狐火を灯り代わりに室内を照らす。
 綺麗に掃除されていて布団まである。
 雪女の家なのかもしれない。
 中は囲炉裏、裏にかわやも設置されていた。
 流花はガタガタと尋常じゃないほど震えている。
 濡れている着物のせいでさらに体が冷えるのだ。

 わしの服の方がまだ濡れてなくて暖かい。
「流花、着物を脱げ。」
 わしは真剣な顔で流花に言う。
「えっ…や、いやです!」
 流花は顔を真っ赤にして慌てる。
 わしは帯を解いて中の着物を二枚流花に渡す。
「わしの着物を着ろ、四枚着込んでおるからな。余裕だし、蓑もかぶるしの」
「は…はい…」
 流花は変な想像したことを恥じる。
 囲炉裏に狐火で火を焚いて流花の着物を乾かしながら自分たちも日にあたる。
 ここは雪女の異界の小屋の中、警戒は解かないが流花はわしに警戒して二人分離れる。
「そのままでは寒いままだろうがこっちに来い。」
「だ、だって…」
 流花は顔が真っ赤なまま戸惑う。
「は、はっくっくしゃん!」
 ずべと手に鼻水がついた。
「や、やだ、どうじまじょう。は、くしょん!」
 流花は情けないことに戸惑って涙目だ。
「言わんことではないな…遠慮なくその裾で拭っていいから、こっちにこい」
 わしは無理やり戸惑う流花手を引き狐尻尾を座布団にした胡座に乗せて冷えた体を上掛けを体に巻いて足先を囲炉裏に向けさせて抱きしめた。
 
 本来だったら一つ布団一緒に寝てしまう方があったかいかもしれないが…警戒心はさらに解けなくなるし理性を保つのが難しいと思う。
「うう、娘たちの言うとおりになってしまう……はっ!」
 流花はあまりの寒さと戸惑いのせいで本音が口に出てしまって顔を真っ赤にして口元に手を添えてつぐむ。
「ふっ…わしを襲うつもりか?その細身で?さらに風邪をひいて子供みたいなか弱い女子がか?」
 と、フンと鼻を鳴らしわざとバカにしてやった。
「そ、そうですわよね。私ったら…」
 流花は少し悲しげな顔をして苦笑した。
「私一人で変な事考えててどうかしてましたわ、ふふ…」
 という流花を間近で見る。
 とても美しい…可愛い…愛おしい…
 一番に守りたい存在だ。
 なかなかない距離にドキドキと心臓がなる。
(お主ばかりがおかしな妄想をしているわけではない)  
 と本心を口にしてしまったら本気で警戒されるし、両思いを確かめてしまいそうだ。
 そんな思いを隠すため、どんなふざけた言葉で誤魔化そうか考えていたら、
「すーすー…」
 流花は一瞬で眠りについた。
 急な寒さから暖かさに包まれて眠ってしまったようだ。
「無防備な……」
 流花の異様な氷のように冷たい体がだんだん暖かくなってきた。
 わしが妖力放ってルカの神が流花を雪女にしないために神気を張っているせいもある。
 抱いている流花の温もりの暖かさで、わしもうとうとして眠ってしまった。
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