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雪女とナマハゲ
13☆雪女とナマハゲの淡い恋
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「お前の方が雪女を追いかけ回してたんか!」
「スキーの速さにあわてて逃げる雪女がなんだか面白くて…可愛くて…」
「ガキ……」
「さいあく」
「顔に騙されちゃだめだね」
三姉妹達は辛辣だ。
わしは食事の後ナマハゲの化身、雪山颯太に声をかけ雪女のことについて聞き出した。
「雪女との出会いを人に言ったのは初めてで……これで魂取るために襲ってくるかな……?」
颯太はそう言って複雑な顔で苦笑した。
「今更じゃの。昨晩だって襲われただろ?」
「はい……でも昨日は様子が違っていたんだ……」
雪女の本性を知ってしまって颯太は悩み頭を抱えてしまっていた。
最初に会ったのは五年前。
十五歳のころ。
一面真っ白な雪の中同い年くらいの美しい少女に偶然出会ってしまった。
真っ白い着物に黒髪のおかっぱで風がなびくと白銀に一筋色が輝く神秘的なな少女。
目元と口元の塗られた紅が神秘的で可愛らしい少女だった。
村にはこんな綺麗な少女は見たことがなかった。
(美人なのは姉くらいか?だが雰囲気が人ではない…)
そして、その少女はあやかしものだと気づき、バラす言霊を吐けば魂を取られると言い伝えを思い出し言葉を飲み込む。
「お主…言葉が喋れぬのか?ならばちょうど良い、私の遊び相手になってたもれ」
そう言い雪だるまを作ったり、雪うさぎを作ってそれに吹きかけると動き出す不思議に驚かされた。
「お主が女子だし、言葉が喋れぬから遊んであげるのだ。優しい雪女様に感謝するのだ」
颯太は一瞬首を傾げるが女の子と間違えられたと悟る。
颯太の村では若い女が山に一人で行き帰ってきたら村に祝福がもたらされると言う度胸試しのような変な儀式があった。
帰ってこなかった女子は山神の嫁として雪女となって村に災いをもたらすともされていた。
今回男である颯太が山に来た理由は,姉が高熱で倒れたためである。
掟とはいえ西洋文化を取り入れ始めた村もあやかしや神とは儀式のふれあいとして適当になりつつあり、見た目美少女の颯太に白羽の矢が立った。
ナマハゲの化身の血筋をもっているのだから。
そうであるなら颯太なら何とかなるだろうと言うことだった。
村の役に立つのならばと山に入り今に至った。
『来年も我と遊んでもれ約束を破ったら恐ろしいぞ』
と言われたことを村長に伝えると来年もそうしろと言うことになった。
毎年の事とはいえ大切な女子供を贄のようなことをするのは気が引けていたのだ。
颯太ならば、神に好かれさらにはナマハゲの化身でもあるから大丈夫だろうということに村人全員安心して信頼を得た。
姉は翌日にすっかり元気になり、恋仲の男と結婚して子供を成した。
全てすんなりうまくいったのは神の恵みだと言うことになった。
けれど、成長期、翌年も遊ぼうと約束した颯太は急に背が高く男らしい色気も備わってしまった。
「雪女は騙したなーーー!」と追いかけてきたが、選手になるための修行と板を持っていたために、逃げるふりをして雪女を追いかけて脅した。
さらに魔除けでもあるナマハゲの面をつけて追いかけると尚更怖さ百倍だった。
あまりの怖さに雪女は気絶をした。
雪女を看病したら、雪女という割には生きている人間のようだった。
「まだ本当の雪女ではないのだ…まだ誰の魂も取ってないからの……山神の父に愛されているからこそ中途半端なあやかしのままでいられるのだ…」
「そうだったのか…」
もしかしたら、村の儀式で犠牲になった少女かもしれないし、本当に山神と雪女の子供かもしれない。
特殊な存在だからこそ、歳もとった。
「オレもナマハゲの鬼の血を引く特殊なな人間だからな。だから…お前が気になるのかもな」
「気になる?」
「めんこい思うと言うことだよ」
「め、めんこい…」
雪女は顔を赤くして煙が出る。
いや、水蒸気だった。
「顔溶けてる……」
やはり人間じゃないのだと確信してしまったが雪女が顔を覆うと元に戻った。
「こ、今年はめんこいと言ったから特別に魂は取らんでおく!」
「来年こそ、お前の魂貰って立派な雪女になってやるからな!」
歳を重ねる事、雪女は美しい女性となって、魂を捧げても良いほど惚れていたのだが、お国のためにスキー選手として頑張りたいから魂を雪女にやることはできなかった。
雪女も隙があれば魂を取ることはできたのに、吹雪く夜に忍んできては唇を触れるだけで消えてしまう。
互いに好きと伝えなくても気持ちは同じと感じた。
この淡い関係ができる限り続けられれば良いと思っていたが、昨日の雪女はいつもと違かった。
妖気を放ち他のスキー選手の命を狙った。
颯太一人の前に現れず選手仲間も集まった場所に現れた。
しかも、颯太の魂ではなく、他の男の霊を狙った。
颯太以外の男を触れて口付けをするか如くに顔を近づけ口から吹雪を吐く。
雪女そのものだったが、颯太はとても悲しみと怒りが同時に湧く。
それは密かな恋心の関係を崩した行為……
「おめぇは悪い雪女か!」
颯太はナマハゲの力を使って雪女と男を引き離して、雪女から必死に逃げて追い払った先にこの宿を見つけた。
いや、何かに導かれた感覚だった。
「雪女は所詮あやかしなのだ…心を許してはいけなかった。でも…嫌いになれないし…魂を取るなら俺一人にして欲しかった…」
そう言って颯太は憤る。
ナマハゲの面がなくても怒る表情は美しく迫力があって三姉妹は母親の般若の表情を思い出して震える。
「彼女もかなり悩んでいたのであろうよ、この季節が冬が続いてるのも雪女がお前の魂を奪ってこないせいだからの…」
「え…?」
「雪女として立派に仕事をしなければ雪女は雪となって消えてしまう……冬の季節の山神に見捨てられる。
そうなったら存在自体も消える。
お前以外の魂で代用して来年もずっといたかったんだろうな…」
「………っ」
理由を知ればハッとして瞳を見開き、涙が溢れた。
それは怒りを溶かす後悔の涙。
恋が終わったと思ったら自分が情けなったようだ。
わしはまだ会ったこともない雪女の心を代弁した。
雪女と颯太の関係はなんとなく共感する関係を崩さずにずっと末長く愛しい女のそばにいたいのだ……
「きやあああああああ……!」
わしの狐耳に流花の声が聞こえた。
「流花⁉︎」
流花に何かあったと思い立ち即座に声がする方にかけにいった。
「スキーの速さにあわてて逃げる雪女がなんだか面白くて…可愛くて…」
「ガキ……」
「さいあく」
「顔に騙されちゃだめだね」
三姉妹達は辛辣だ。
わしは食事の後ナマハゲの化身、雪山颯太に声をかけ雪女のことについて聞き出した。
「雪女との出会いを人に言ったのは初めてで……これで魂取るために襲ってくるかな……?」
颯太はそう言って複雑な顔で苦笑した。
「今更じゃの。昨晩だって襲われただろ?」
「はい……でも昨日は様子が違っていたんだ……」
雪女の本性を知ってしまって颯太は悩み頭を抱えてしまっていた。
最初に会ったのは五年前。
十五歳のころ。
一面真っ白な雪の中同い年くらいの美しい少女に偶然出会ってしまった。
真っ白い着物に黒髪のおかっぱで風がなびくと白銀に一筋色が輝く神秘的なな少女。
目元と口元の塗られた紅が神秘的で可愛らしい少女だった。
村にはこんな綺麗な少女は見たことがなかった。
(美人なのは姉くらいか?だが雰囲気が人ではない…)
そして、その少女はあやかしものだと気づき、バラす言霊を吐けば魂を取られると言い伝えを思い出し言葉を飲み込む。
「お主…言葉が喋れぬのか?ならばちょうど良い、私の遊び相手になってたもれ」
そう言い雪だるまを作ったり、雪うさぎを作ってそれに吹きかけると動き出す不思議に驚かされた。
「お主が女子だし、言葉が喋れぬから遊んであげるのだ。優しい雪女様に感謝するのだ」
颯太は一瞬首を傾げるが女の子と間違えられたと悟る。
颯太の村では若い女が山に一人で行き帰ってきたら村に祝福がもたらされると言う度胸試しのような変な儀式があった。
帰ってこなかった女子は山神の嫁として雪女となって村に災いをもたらすともされていた。
今回男である颯太が山に来た理由は,姉が高熱で倒れたためである。
掟とはいえ西洋文化を取り入れ始めた村もあやかしや神とは儀式のふれあいとして適当になりつつあり、見た目美少女の颯太に白羽の矢が立った。
ナマハゲの化身の血筋をもっているのだから。
そうであるなら颯太なら何とかなるだろうと言うことだった。
村の役に立つのならばと山に入り今に至った。
『来年も我と遊んでもれ約束を破ったら恐ろしいぞ』
と言われたことを村長に伝えると来年もそうしろと言うことになった。
毎年の事とはいえ大切な女子供を贄のようなことをするのは気が引けていたのだ。
颯太ならば、神に好かれさらにはナマハゲの化身でもあるから大丈夫だろうということに村人全員安心して信頼を得た。
姉は翌日にすっかり元気になり、恋仲の男と結婚して子供を成した。
全てすんなりうまくいったのは神の恵みだと言うことになった。
けれど、成長期、翌年も遊ぼうと約束した颯太は急に背が高く男らしい色気も備わってしまった。
「雪女は騙したなーーー!」と追いかけてきたが、選手になるための修行と板を持っていたために、逃げるふりをして雪女を追いかけて脅した。
さらに魔除けでもあるナマハゲの面をつけて追いかけると尚更怖さ百倍だった。
あまりの怖さに雪女は気絶をした。
雪女を看病したら、雪女という割には生きている人間のようだった。
「まだ本当の雪女ではないのだ…まだ誰の魂も取ってないからの……山神の父に愛されているからこそ中途半端なあやかしのままでいられるのだ…」
「そうだったのか…」
もしかしたら、村の儀式で犠牲になった少女かもしれないし、本当に山神と雪女の子供かもしれない。
特殊な存在だからこそ、歳もとった。
「オレもナマハゲの鬼の血を引く特殊なな人間だからな。だから…お前が気になるのかもな」
「気になる?」
「めんこい思うと言うことだよ」
「め、めんこい…」
雪女は顔を赤くして煙が出る。
いや、水蒸気だった。
「顔溶けてる……」
やはり人間じゃないのだと確信してしまったが雪女が顔を覆うと元に戻った。
「こ、今年はめんこいと言ったから特別に魂は取らんでおく!」
「来年こそ、お前の魂貰って立派な雪女になってやるからな!」
歳を重ねる事、雪女は美しい女性となって、魂を捧げても良いほど惚れていたのだが、お国のためにスキー選手として頑張りたいから魂を雪女にやることはできなかった。
雪女も隙があれば魂を取ることはできたのに、吹雪く夜に忍んできては唇を触れるだけで消えてしまう。
互いに好きと伝えなくても気持ちは同じと感じた。
この淡い関係ができる限り続けられれば良いと思っていたが、昨日の雪女はいつもと違かった。
妖気を放ち他のスキー選手の命を狙った。
颯太一人の前に現れず選手仲間も集まった場所に現れた。
しかも、颯太の魂ではなく、他の男の霊を狙った。
颯太以外の男を触れて口付けをするか如くに顔を近づけ口から吹雪を吐く。
雪女そのものだったが、颯太はとても悲しみと怒りが同時に湧く。
それは密かな恋心の関係を崩した行為……
「おめぇは悪い雪女か!」
颯太はナマハゲの力を使って雪女と男を引き離して、雪女から必死に逃げて追い払った先にこの宿を見つけた。
いや、何かに導かれた感覚だった。
「雪女は所詮あやかしなのだ…心を許してはいけなかった。でも…嫌いになれないし…魂を取るなら俺一人にして欲しかった…」
そう言って颯太は憤る。
ナマハゲの面がなくても怒る表情は美しく迫力があって三姉妹は母親の般若の表情を思い出して震える。
「彼女もかなり悩んでいたのであろうよ、この季節が冬が続いてるのも雪女がお前の魂を奪ってこないせいだからの…」
「え…?」
「雪女として立派に仕事をしなければ雪女は雪となって消えてしまう……冬の季節の山神に見捨てられる。
そうなったら存在自体も消える。
お前以外の魂で代用して来年もずっといたかったんだろうな…」
「………っ」
理由を知ればハッとして瞳を見開き、涙が溢れた。
それは怒りを溶かす後悔の涙。
恋が終わったと思ったら自分が情けなったようだ。
わしはまだ会ったこともない雪女の心を代弁した。
雪女と颯太の関係はなんとなく共感する関係を崩さずにずっと末長く愛しい女のそばにいたいのだ……
「きやあああああああ……!」
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