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雪女とナマハゲ
11☆微妙な関係
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流花は一瞬わしを見て一瞥する。
それがすっごく気まずくてわしは居心地が悪くなる。
「アテにしてもらえたなんて嬉しいですわ!」
そう言って八尾比丘尼はわしの腹に抱きつく。
「残念ながらあなたのようなアテはもう用済みなのですわ!もう仕事は終わらせてしまいました!」
流花は殺気を背後に漂わせながら言う。
その背後のルカの神はただ穏やかに笑っているだけなので流花自身から滲み出るものなのだろう…
三姉妹が言っていた般若手前だ。
「まぁ……まぁ、残念ですわ…」
八尾比丘尼はそんな流花の雰囲気など気に返さずとても残念そうにしゅんとする。
「すまんな、遠くまで足を運ばせてあとはなんとかなるから帰って……」
「でもっ!仕事が終わったならばわたくしと愛を添い遂げましょう。」
そう言って、八尾比丘尼はわしを押し倒し上で逃がさないように腹の上にまたがる。
「はやく、永遠にわたくしと添い遂げましょう……」
尼僧とは思えぬはしたなさだが、女の色気に勝てぬ男の身が嘆かわしくなる。
八尾比丘尼のわざと露出させる胸の谷間についついくぎつげになってしまう。
「痛っ!」
胸の谷間にかくしていた小瓶がわしの額にこっんと当たる。
それは八尾比丘尼の血が入ったものだった。
「この小瓶をいつでも飲んでくださいませ。」
そう言ってそのまま顔に胸を押し付けてくる。
「やめろ、わしは一生女とは交わらぬのだ!誰も嫁にする気もない!」
あまりの窒息するほどの接触にわしは八尾比丘尼を力づくで退かす。
「一度死んだものを生き返らせる力を持つ我が血…確かめさせようと思いましたのに……」
窒息死させてその薬を飲ませようとする強引さだった。
人間と違って本能からの容赦がない。
「まだ、本仕事も終わっておらん!お主の力では無く、流花の力が必要なのだ。な!流花?あれ?どこにいった?」
「見てられない…といって外に出ていってしまいましたわ」
鬼女将はため息を吐いてそう告げる。
「とりあえず、八尾比丘尼様には宿の手伝いをしてもらいますよ?」
八尾比丘尼の襟首をむんずと掴んで引きずる。
そして、猫の首を持ち上げるように殺気だった目を向けて、
「ここは私の異界勝手に入ったからには誓約違いを償わなければなりませんよ?」
角隠しをしている女将の角は角隠しから突き破るほどに怒りを溜めていた。
「まぁ、晴綛様のお世話ができるなら喜んで!」
八尾比丘尼はそんな女将を意に返さない。
「いえ、スキー選手たちのお世話をしていただきます。阿部野家にはお触り禁止!」
それは八尾比丘尼にとって罰であった。
「そんなーー!……でも、若い人間の男との恋もいいですわね…」
そんな飢えている八尾比丘尼に、
「本命は他にいるのであろうよ、その者が生まれるまで恋をするには誰でもよかろうて…わしにこだわるのは永遠を生きていけるあやかしの血が恋からであろう…」
わしは、八尾比丘尼の本心を言霊に出すと、彼女は少し悲しげにほほ笑む。
「そう言う本心を見透かすところも、好意をもつのですよ。」
長い年月持て余す時間少しぐらいはめを外しても良いとわしは思いながらも、恋に素直な八尾比丘尼が羨ましくなった。
とにかく、雪女の情報を奴に聞かなくてはな……それにしても流花はすぐに戻ってきてくれるかの……」
鬼女将以上の怒りを秘めていた流花を心配するが、触れない方がいいと判断してほっておいてしまった。
家族であるが、恋人でも夫婦でもない、微妙な関係なのだから……
それがすっごく気まずくてわしは居心地が悪くなる。
「アテにしてもらえたなんて嬉しいですわ!」
そう言って八尾比丘尼はわしの腹に抱きつく。
「残念ながらあなたのようなアテはもう用済みなのですわ!もう仕事は終わらせてしまいました!」
流花は殺気を背後に漂わせながら言う。
その背後のルカの神はただ穏やかに笑っているだけなので流花自身から滲み出るものなのだろう…
三姉妹が言っていた般若手前だ。
「まぁ……まぁ、残念ですわ…」
八尾比丘尼はそんな流花の雰囲気など気に返さずとても残念そうにしゅんとする。
「すまんな、遠くまで足を運ばせてあとはなんとかなるから帰って……」
「でもっ!仕事が終わったならばわたくしと愛を添い遂げましょう。」
そう言って、八尾比丘尼はわしを押し倒し上で逃がさないように腹の上にまたがる。
「はやく、永遠にわたくしと添い遂げましょう……」
尼僧とは思えぬはしたなさだが、女の色気に勝てぬ男の身が嘆かわしくなる。
八尾比丘尼のわざと露出させる胸の谷間についついくぎつげになってしまう。
「痛っ!」
胸の谷間にかくしていた小瓶がわしの額にこっんと当たる。
それは八尾比丘尼の血が入ったものだった。
「この小瓶をいつでも飲んでくださいませ。」
そう言ってそのまま顔に胸を押し付けてくる。
「やめろ、わしは一生女とは交わらぬのだ!誰も嫁にする気もない!」
あまりの窒息するほどの接触にわしは八尾比丘尼を力づくで退かす。
「一度死んだものを生き返らせる力を持つ我が血…確かめさせようと思いましたのに……」
窒息死させてその薬を飲ませようとする強引さだった。
人間と違って本能からの容赦がない。
「まだ、本仕事も終わっておらん!お主の力では無く、流花の力が必要なのだ。な!流花?あれ?どこにいった?」
「見てられない…といって外に出ていってしまいましたわ」
鬼女将はため息を吐いてそう告げる。
「とりあえず、八尾比丘尼様には宿の手伝いをしてもらいますよ?」
八尾比丘尼の襟首をむんずと掴んで引きずる。
そして、猫の首を持ち上げるように殺気だった目を向けて、
「ここは私の異界勝手に入ったからには誓約違いを償わなければなりませんよ?」
角隠しをしている女将の角は角隠しから突き破るほどに怒りを溜めていた。
「まぁ、晴綛様のお世話ができるなら喜んで!」
八尾比丘尼はそんな女将を意に返さない。
「いえ、スキー選手たちのお世話をしていただきます。阿部野家にはお触り禁止!」
それは八尾比丘尼にとって罰であった。
「そんなーー!……でも、若い人間の男との恋もいいですわね…」
そんな飢えている八尾比丘尼に、
「本命は他にいるのであろうよ、その者が生まれるまで恋をするには誰でもよかろうて…わしにこだわるのは永遠を生きていけるあやかしの血が恋からであろう…」
わしは、八尾比丘尼の本心を言霊に出すと、彼女は少し悲しげにほほ笑む。
「そう言う本心を見透かすところも、好意をもつのですよ。」
長い年月持て余す時間少しぐらいはめを外しても良いとわしは思いながらも、恋に素直な八尾比丘尼が羨ましくなった。
とにかく、雪女の情報を奴に聞かなくてはな……それにしても流花はすぐに戻ってきてくれるかの……」
鬼女将以上の怒りを秘めていた流花を心配するが、触れない方がいいと判断してほっておいてしまった。
家族であるが、恋人でも夫婦でもない、微妙な関係なのだから……
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