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雪女とナマハゲ
4☆おませ三姉妹
しおりを挟む晴綛は阿部野家と香茂家と繋ぐ橋の下の異界の入り口に家族と手を繋いで鬼女将の宿に行く。
厚着を着込んで準備万端だ。
異界に入る前に、子供達にちゃんと注意事項を教えねばならない。
「しっかり手を繋いでおくように。手を離してはいけないぞ!」
「おじさまと母様がおてて繋ぐ?」
「そうしちゃいなよ!」
「手を繋ぐと赤ちゃん生まれるっていうし!」
「はぁ!?」
わしと流花は顔を真っ赤にして素っ頓狂な声をあげてしまった。
アキ、ミキ、サキが煽るがちょっとズレてる。
「手を握っただけじゃ子供はできんのじゃぞ…」
わしはそう訂正した。
「じゃ、どうすれば、妹生まれるの?」
何故だか、妹と断定しているようだ。
「男女一つの部屋にいるとできるんじゃ。お前たちも男の子と一緒の部屋にいてはダメだぞ。わしたちと三人一緒なら大丈夫だがな」
子供の頃は変なことは起こらぬと思うが年頃になった時の対処法を柔らかく教えておいても良いだろう。
「じゃ、旅館でおじさんと母様二人っきりにしたら妹できるの?」
三姉妹はどうしても妹が欲しいらしい。
流花はすかさず三姉妹にゲンコツをかました。
「うぇー…いたいよ」
「当たり前です。わからないことを口にしてはいけません!恥ずかしいことですよ!あまりのおませさんはお仕置きです!」
「はーい…」
三姉妹は少し反省して返事をした。
流花はわしの方を振り向いて、
「旅館の部屋も家族一緒のお部屋ですよ。ね?」
「それでいいなら…だが、わし一人別部屋でもいいのだぞ?」
流花と三姉妹はいつも一緒だが、わしはいつも一人部屋だ。
それなのに一緒の部屋でいいとは複雑な気持ちになる。
「はっ…!か、家族だし、男女二人きりというわけではないですし!だ、大丈夫、ね?」
流花は顔を真っ赤にしてしどろもどろになる。
そんな母をじどーと見つめてニヤニヤし始めた。本当に三姉妹はませている。
「と、とりあえず、現地に行きましょう!」
わしは鬼女将へのお土産と、流花と子供達の荷物を風呂敷に背負い、アキの手とミキの手を握り、その手を流花が握りサキの手を握る。
途中、子供を狙おうとする妖怪どもに襲われそうになるが、妖の統領たるわしと、あやかしに容赦ないルカの神の依代の流花が睨みを効かせると手出しをしようとはしなかった。
子供達は無邪気にきゃっきゃと家族旅行への道のりを楽しんだ。
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