あやかしと神様のジジ様の物語

花咲蝶ちょ

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孫に、当時を思い出し語る。

序章☆昔話思い馳せる語る

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「ジジ様はどうやってババ様と出会ったの?」
 孫の葛葉子はワクワクした可愛い顔をして詰め寄って聞いてきた。
「オレも聞きたい。オレにそっくりなババ様ってどんな性格だったんだ?」
 孫の婿でわしの姪の孫である瑠香くんも興味津々だ。

 二人は結婚したとしてもまだまだ赤子のように可愛く愛おしい。
 わしは煙管を吸って、二人の顔にかからないように後ろを向いて煙を吐いてから、少し照れた表情わざとをして

「横恋慕…じゃったな…」
 当時のことを思い出してしみじみと言う。
「宮中で仕事をしていた垣間見た巫女に恋をしたのだ…兄と共にな。」
 それは、宮中で再開した葛葉子と瑠香君のようでもあるとも思う。
「宮中は恋愛の場ではなく神の声を聞き陛下に神の世、あやかしの世の様子を御進捗遊ばす特殊な仕事なのだが、兄はそのような事も忘れて巫女に手を出してしまったのだ」
「瑠香より手が早かったんだね」
「流石に、その日にってわけではないだろ?恋愛の段階もあったはず」
 瑠香は自分たちの恋愛は三ヶ月で結婚してしまうと言うかなりスピード恋愛の結婚でもあったけれど、なかなか忘れられない大切な思い出だ。
 瑠香はそう思っていたが、ジジ様は真剣な顔をして煙管を左右に振り否定する。
「その夜に二人駆け落ちして手を出して二人とも宮中追い出された。
 流花は巫女で神の依代として重宝されておったな。
 兄の明綛は巫覡気質で神を宿しやすい男だった。
 不穏な世の中、神を身を宿し陛下、日和を守るものが増える事は祝福としても都合がよかったし、粗相を無かった事にしようと色々職員で画策したのだが、あやつは神隠しでいまだにこの世に戻って来んしな……」
 ため息を煙管を吸って吹いた。
 瑠香はわしの考えをテレパシーで過去のことを覗きながら話を聞いてくれる。
 瑠香君がもし明綛を知っていてくれたら奴の手助けになるとも思う。

「ババ様まで……宮中で粗相をしていたなんて……私はババ様の似だったのか…」
 葛葉子は青ざめそこに衝撃を受けていた。
「たしかに、外見は瑠香くんで中身は葛葉子という感じじゃな。
 まぁ、ルカの神の依代として宿命付けられてるからの。宿命というよりか、分祠か。」
「分祠って…神社みたい。」
 と、葛葉子は思ったことを言う。
「まぁ、靖国神社の御霊を別れさせろと反日左翼どもが騒いで、もし分けさせても、その神社そのもので分身みたいなものだからな」
 だから、ルカの神の力を貸してもらえるし、依代にもなれるし、神の化身なのだ。
 それはハルの神の化身の晴房もそうであり、わしもハルの神の依代であり分身でもある。
 阿部野の血筋はハルの神に好かれている。
「二人は相思相愛で、阿倍野屋敷にルカを連れ帰った後も二人の世界で居た堪れなかったが…憧れも嫉妬もあったんじゃ」
 わしは懐かしくて、フフと自然に笑いが漏れる。
「しかも、すぐに妊娠しておってな、ワシは大慌てだった。夫である明綛は神誓いを果たせなく神隠しにあって、わししか奴のことは知はなくなってしまったの……」
 人生はいろんなことがあってもあっという間だと思う。
 だが、語り出すと長くなるほど思い出が溢れ出す。

「明綛の代わりに流花を守らなくてはいけないと思ってから恋心がさらに強くなっていったのぉ……」

 さらにその時のことを、その後の事思い出してしまう。
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