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あやかしと神様の修学旅行
9☆瑠香の危機
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吹雪く山は想像以上に危険だった。
先にあるものすら白い世界にさせて、吹雪く雪が痛く冷たい。
足も積もった雪に捉えられるどころか、吹雪く雪に体ごと
雪にうもらされてしまう。
歩きづらいうえに風力に敵わない。
こんな状態になってから瑠香は後悔した。
きちんと防寒をしてくればよかったと……
寒いので中には着込んでいたが制服にコートくらいでは、雪山を歩くのは不向きだった。体も冷えて力が出ない。
誰かに頼れば、葛葉子がもどるまで待たなくてはいけない。
雪女に囚われたというのなら、なおさら普通の人間に頼むわけにはいかない。
それより何より葛葉子をたすけると約束をした。
葛葉子が助けを求めているのに飛び出さないわけには行かなかった。
《神の化身といえど人の身だ。
間違った行動をすれば死んでしまうよ…》
と、冷静になった瑠香にルカの神は語りかける。
妻のことになると見境のない仕方のない己の化身に苦笑をする。
陛下のために神誓いしたはずなのに妻命な瑠香をルカの神は十五年という期間で諦めているらしい。
その間、神の化身として、人として成長して祝皇に使えることを望んだからだ。
そのため、陛下のためだけに使うはずの能力も使わせてくれる。
だが、こういう人生の危機には助けてくれない。
いや、瑠香を試している…だが、今の状態はほんとに命の危機だ…
もうどこから来たのかすらわからない。
わかるのは眷属で妻である葛葉子の気配。
呼ぶ方向…
いや、方向すら惑わすように目の前の真っ白さに絶望感が襲う。
寒さで体が動かない、雪に体も埋もれて…
「くず、はこ…まってろ…」
愛しい妻を思う気力だけはまだ衰えない。
この思いだけが瑠香を奮い立たせていたけれど、人の体にはこの寒さは耐えられなかった。
一瞬気を失い倒い、雪に埋もれそうになったが、急に包み込まれるような暖かさを感じる。
その暖かさにホッとする。
ふさふさのもさもさ…?
「ウホウホっ!」
「イェ…ティ…」
イエティが本来の体の大きさよりさらに大きくなって、瑠香を抱きかかえていた。
言葉はわからないが、瑠香のいきたい場所に連れて行ってくれるつもりらしい。
つつみこむ優しく抱き抱える腕とフカフカの毛は暖かく冷えた瑠香の体を温めた。
「ありがとう…たのむ、オレの妻のもとへ連れて行ってくれ」
瑠香は心からイエティに感謝する。
瑠香の感謝の心が伝わって嬉しく
「ウホウホっ!」
と、嬉しそうに返事をして、吹雪く雪山を普通に歩くように、いや、少し早足で瑠香が示す葛葉子の方へ向かってくれた。
先にあるものすら白い世界にさせて、吹雪く雪が痛く冷たい。
足も積もった雪に捉えられるどころか、吹雪く雪に体ごと
雪にうもらされてしまう。
歩きづらいうえに風力に敵わない。
こんな状態になってから瑠香は後悔した。
きちんと防寒をしてくればよかったと……
寒いので中には着込んでいたが制服にコートくらいでは、雪山を歩くのは不向きだった。体も冷えて力が出ない。
誰かに頼れば、葛葉子がもどるまで待たなくてはいけない。
雪女に囚われたというのなら、なおさら普通の人間に頼むわけにはいかない。
それより何より葛葉子をたすけると約束をした。
葛葉子が助けを求めているのに飛び出さないわけには行かなかった。
《神の化身といえど人の身だ。
間違った行動をすれば死んでしまうよ…》
と、冷静になった瑠香にルカの神は語りかける。
妻のことになると見境のない仕方のない己の化身に苦笑をする。
陛下のために神誓いしたはずなのに妻命な瑠香をルカの神は十五年という期間で諦めているらしい。
その間、神の化身として、人として成長して祝皇に使えることを望んだからだ。
そのため、陛下のためだけに使うはずの能力も使わせてくれる。
だが、こういう人生の危機には助けてくれない。
いや、瑠香を試している…だが、今の状態はほんとに命の危機だ…
もうどこから来たのかすらわからない。
わかるのは眷属で妻である葛葉子の気配。
呼ぶ方向…
いや、方向すら惑わすように目の前の真っ白さに絶望感が襲う。
寒さで体が動かない、雪に体も埋もれて…
「くず、はこ…まってろ…」
愛しい妻を思う気力だけはまだ衰えない。
この思いだけが瑠香を奮い立たせていたけれど、人の体にはこの寒さは耐えられなかった。
一瞬気を失い倒い、雪に埋もれそうになったが、急に包み込まれるような暖かさを感じる。
その暖かさにホッとする。
ふさふさのもさもさ…?
「ウホウホっ!」
「イェ…ティ…」
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言葉はわからないが、瑠香のいきたい場所に連れて行ってくれるつもりらしい。
つつみこむ優しく抱き抱える腕とフカフカの毛は暖かく冷えた瑠香の体を温めた。
「ありがとう…たのむ、オレの妻のもとへ連れて行ってくれ」
瑠香は心からイエティに感謝する。
瑠香の感謝の心が伝わって嬉しく
「ウホウホっ!」
と、嬉しそうに返事をして、吹雪く雪山を普通に歩くように、いや、少し早足で瑠香が示す葛葉子の方へ向かってくれた。
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