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あやかしと神様の嫁修業
幸せの約束の宣言
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神の化身である瑠香の言霊の宣言はほとんど叶う。
有言実行?と思うほど。
いつの間にか願いが叶ってしまうらしい。
「だから言霊には気をつけているんだけどな。」
と言いながら意識はあまりしてなかった。
よく考えてみれば本気で手に入れたい、叶えたい事を言霊にして今、葛葉子と幸せを築きている…
そのための努力はあったけれど乗り越えたのも宣言したおかげかな?と今更思った。
「私も神の化身みたいなものだから、宣言すれば願いは叶うのかな?」
もうすぐ出産時期を迎えお腹の大きい葛葉子は愛おしそうにお腹をなでてそう言った。
宣言は祈りとは違う。
祈りは心で強く思うものだが、宣言は言いふらして、それに叶うように努力が必要なものだ。
できなければ嘘になる。
言霊を大切にするなら嘘はいけないと、幼い頃父に言われた。
なので、嘘はつかないことはないけれど、意地悪はたくさん言う根性悪になったな…と今更ながら自らを反省した。
《お前たちはもう神に近いから、自らの言霊は叶ってしまうよ、宿命に定められたもの以外はね》
とルカの神が瑠香の体に降りてそう告げた。
葛葉子の短い寿命は宿命になってしまったので変えられない…とも瑠香に伝えて離れた。
そのため悲しげな瑠香に葛葉子はぎゅっと手を握りお腹を撫でさせる。
「…じゃあ、子供二人かわいい元気な子が生まれて、優しくて犯罪侵さない子供になる!瑠香みたいに頭が良くて何でも出来て…親より長く生きて親思いで、香茂と阿倍野を存続させてくれるの。」
「それは願いではなく葛葉子の望みだろ?」
「瑠香も!」
お腹に手を当てされて、
「元気で優しくて家族思いの子供が授かる」
お腹を擦る。
うふふっと喜ぶ葛葉子だけど、
「苦しくなったらいって、すぐに病院……」
そう言って、顔を見ると葛葉子は青ざめていた。
「は、破水したかも………」
出産までずっと手を握って離さない瑠香に、
「出産は穢を伴うから一緒に来ちゃダメ!」
「いいんだよ!これは神としてではなくオレと葛葉子の子供なんだから、神の子みたいなもので穢なんかないよ!」と、お腹を指差して宣言する!
瑠香は半分混乱して無理やりな宣言だ。
《…まあ、大丈夫だよ。
新たな命のほうが皇にとって喜ばしいことだからね。
今日この日に生まれる命を毎日、祝いでくれているよ。》
「へ、へいかぁぁあっ!」
二人して感動して泣いてる弟夫婦を呆れながら、真陽は急かす。
「早く、病院急ぐわよ!」
車を飛ばして病院へ連れて行く。
☆
力んで苦しそうな葛葉子の手を握って離さない。
「若いお父さんなのに立派ねー。」
「まだ十八歳なのでしょう?」
でも涙目なのはまだ子供っぽいとは思うが誰もが二人の愛は強いと感じる。
子供を引き出すところは見ないで葛葉子の苦しそうな表情を心配する。
妊婦で大変な葛葉子を甲斐甲斐しく世話をしたのも瑠香だ。
瑠香のお母さんが流石に手伝いに来てくれたけれどその様子を覚えてなるべく瑠香が世話をした。
一心同体のようだ。
力身の叫びとともに生まれるとき瑠香の手を跡がつくほど、痛さを伝えるほど握りしめて、桂の鳴き声が聞こえて、気が抜けた顔したあと、汗も涙も、拭いてくれたのも瑠香だった。
葛葉子が赤ちゃんを先に対面かと思ったら瑠香に先に取られた。
「かわいいー…ちいさいな…かわいいオレの赤ちゃん」
まだ生まれたばかりで本当に赤ちゃんだけど愛おしく感じる。男なのに父親なのに母性が芽生える感じがした。
そしてルカの神が見せた幸せなイメージを思い出す。
あの幸せを実現させるためには必要な存在…命だ…
「お前が生まれる幸せのために葛葉子と結ばれる宿命を選んだ…幸せのための約束の子供だよ。」
祝福の宣言を瑠香は言霊を発する。
「る、瑠香、いい加減私に見せてよ…」
周りの看護婦たちが苦笑する。
「はじめまして…桂…
短いかもしれないけど幸せな時間を過ごそうね…」
やっと会えた幸せに愛の結晶の我が子に嬉し涙が溢れる葛葉子だった。
有言実行?と思うほど。
いつの間にか願いが叶ってしまうらしい。
「だから言霊には気をつけているんだけどな。」
と言いながら意識はあまりしてなかった。
よく考えてみれば本気で手に入れたい、叶えたい事を言霊にして今、葛葉子と幸せを築きている…
そのための努力はあったけれど乗り越えたのも宣言したおかげかな?と今更思った。
「私も神の化身みたいなものだから、宣言すれば願いは叶うのかな?」
もうすぐ出産時期を迎えお腹の大きい葛葉子は愛おしそうにお腹をなでてそう言った。
宣言は祈りとは違う。
祈りは心で強く思うものだが、宣言は言いふらして、それに叶うように努力が必要なものだ。
できなければ嘘になる。
言霊を大切にするなら嘘はいけないと、幼い頃父に言われた。
なので、嘘はつかないことはないけれど、意地悪はたくさん言う根性悪になったな…と今更ながら自らを反省した。
《お前たちはもう神に近いから、自らの言霊は叶ってしまうよ、宿命に定められたもの以外はね》
とルカの神が瑠香の体に降りてそう告げた。
葛葉子の短い寿命は宿命になってしまったので変えられない…とも瑠香に伝えて離れた。
そのため悲しげな瑠香に葛葉子はぎゅっと手を握りお腹を撫でさせる。
「…じゃあ、子供二人かわいい元気な子が生まれて、優しくて犯罪侵さない子供になる!瑠香みたいに頭が良くて何でも出来て…親より長く生きて親思いで、香茂と阿倍野を存続させてくれるの。」
「それは願いではなく葛葉子の望みだろ?」
「瑠香も!」
お腹に手を当てされて、
「元気で優しくて家族思いの子供が授かる」
お腹を擦る。
うふふっと喜ぶ葛葉子だけど、
「苦しくなったらいって、すぐに病院……」
そう言って、顔を見ると葛葉子は青ざめていた。
「は、破水したかも………」
出産までずっと手を握って離さない瑠香に、
「出産は穢を伴うから一緒に来ちゃダメ!」
「いいんだよ!これは神としてではなくオレと葛葉子の子供なんだから、神の子みたいなもので穢なんかないよ!」と、お腹を指差して宣言する!
瑠香は半分混乱して無理やりな宣言だ。
《…まあ、大丈夫だよ。
新たな命のほうが皇にとって喜ばしいことだからね。
今日この日に生まれる命を毎日、祝いでくれているよ。》
「へ、へいかぁぁあっ!」
二人して感動して泣いてる弟夫婦を呆れながら、真陽は急かす。
「早く、病院急ぐわよ!」
車を飛ばして病院へ連れて行く。
☆
力んで苦しそうな葛葉子の手を握って離さない。
「若いお父さんなのに立派ねー。」
「まだ十八歳なのでしょう?」
でも涙目なのはまだ子供っぽいとは思うが誰もが二人の愛は強いと感じる。
子供を引き出すところは見ないで葛葉子の苦しそうな表情を心配する。
妊婦で大変な葛葉子を甲斐甲斐しく世話をしたのも瑠香だ。
瑠香のお母さんが流石に手伝いに来てくれたけれどその様子を覚えてなるべく瑠香が世話をした。
一心同体のようだ。
力身の叫びとともに生まれるとき瑠香の手を跡がつくほど、痛さを伝えるほど握りしめて、桂の鳴き声が聞こえて、気が抜けた顔したあと、汗も涙も、拭いてくれたのも瑠香だった。
葛葉子が赤ちゃんを先に対面かと思ったら瑠香に先に取られた。
「かわいいー…ちいさいな…かわいいオレの赤ちゃん」
まだ生まれたばかりで本当に赤ちゃんだけど愛おしく感じる。男なのに父親なのに母性が芽生える感じがした。
そしてルカの神が見せた幸せなイメージを思い出す。
あの幸せを実現させるためには必要な存在…命だ…
「お前が生まれる幸せのために葛葉子と結ばれる宿命を選んだ…幸せのための約束の子供だよ。」
祝福の宣言を瑠香は言霊を発する。
「る、瑠香、いい加減私に見せてよ…」
周りの看護婦たちが苦笑する。
「はじめまして…桂…
短いかもしれないけど幸せな時間を過ごそうね…」
やっと会えた幸せに愛の結晶の我が子に嬉し涙が溢れる葛葉子だった。
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