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あやかしと神様の嫁修業

2☆あやかしのままの理由

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 まだ、初夜を迎える一ヶ月前のこと。

「なんで、陛下にキスをしたのに半妖ないんだ?」

 月のもの期間が過ぎて、葛葉子はまだ、あやかしだった。

 陛下の祝ぎ(口づけ)を貰えば人に戻れるはずだったのに、未だに、あやかしで白狐でついでに瑠香の眷属だ。
 そして、陰陽寮長が占った、一ヶ月後の良き日に初夜を迎えて妻になる予定だ。

「それまで、まだ、清く正しい恋人でいようよ!」
 と葛葉子は提案した。

 瑠香は、とても、とても、とても、とてもっ!不服だったけれど、かわいい葛葉子がプラトニックな恋人期間が欲しいというなら仕方ない…

「その期間が終わったらメチャクチャ抱いてやるからなっ!」
 葛葉子に指をビシッ!と、指し、瑠香は泣きながら宣言した。

 そして、あやかしのままの理由は、
「うーん…陛下から、貰わないとダメみたい。私からしちゃったから『あやかし』のままなんだよ。」
 しかもココの望みは叶っていない。
 だから、この世に戻ってこれたようだ。
《それだけじゃない。半妖の体だから寿命を契約できているのだ》
 と、魂に入り込んだ菊がそういった。
「そうか…納得した。」
 まだまだ、菊の望みが叶うまで阿倍野の片割れの魂を救う事をするのかもしれない……
 もしかするとそれは永遠に続くことになる…
 そして、【貰う】と、【して貰う】では違う。攻めと受けみたいなものか。

《まあ、ルカの神とも契約してしまったからな。葛葉子はこのままだよ。》

 白狐の菊は葛葉子の体を突然乗っ取り、耳と尻尾をわざと出す。

《不都合でもあるか?》
 意地悪く菊は笑い瑠香を見る。

「……ないよ。」
 天狐のあやかしのままだから、葛葉子の命も永らえさせてもらっていると思うと感謝しかない…
 ホントはもっともっと寿命があればいいのにと切実に思う……
 そして、葛葉子の顎をわざと優しくなでて狐耳を触るようになでると、菊は気持ちよさそうに微笑む。
 もう、葛葉子に意識を戻しているようだが、葛葉子もやはり気持ち良いと感じるらしい。

「もふもふは好きだし。かわいいし。こんなの葛葉子以外ありえないしな」
「瑠香がイヤじゃなかったら、このままで私もいいよ!ちゃんとした人間に戻れなくてもね!」

 あやかしの自分を受け入れてもらえて、えへへっと、幸せそうな笑顔をされると瑠香も幸せな気分になる。
 そのまま、顎を持ち上げてキスを繰り返す。
 止まらなくなって、胸に手を伸ばそうとしたら、

バンっ!

 とふすまを開けられ二人だけの幸せな世界をぶち壊された。

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