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あやかしと神様になる前の話など

瑠香と葛葉子の誘拐事件☆1

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「忘れ物はないか?宿題持ったか?」
 と瑠香は学校に登校する前の長男の桂に確認する。
「持ったー!じゃいってくる!」
 瑠香は過保護だ。
 自分のことよりも妻や子供が一番だ。
 葛葉子も口うるさい母親気質でもあるが瑠香が率先してそういう事を先に言う。
 桂を見送ってから、瑠香は薫に向き直り目線を合わせるためにしゃがむ。
 そして、ムッとした表情を作って、
「変なおじさんやおばさんやお姉さんやお兄さんにくっついて行くなよ?
 お菓子とか貰ったからって言うこと聞いたらダメだからな」
 と、薫に注意する。
「もう、こりごりだからしないよ!」
 薫はそう宣言したが、一週間前にそんな事件を起こしてから毎日のように両親に注意されてほんとにこりごりだ。
「注意される事に懲り懲りじゃだめだ。ちゃんと事件に関わるのを懲り懲りと思え」
 瑠香は薫の思ってることを覗いて真剣に薫に言い聞かせる。
 しつこい父に薫はムッとして、葛葉子のほうに駆け寄る。
「かーさん!たすけて!とーさんウザイ!」
 薫はぎゅっと葛葉子の足に絡む。
「ウザくないでしょ?
 もう心配かけないようにします!て、言ってかーさんももっとウザクしちゃうよ。」
(それはもっと勘弁だ!)
 と心底、薫は思う。
「もう、知らない人について行きません!お菓子もらってもついていきません!これでいいだろ!」
 薫は叫ぶようにそう言った。
「まぁ、それで許してやろう……さぁ、お父さんが今日は幼稚園に連れて行ってやるぞ」
 瑠香は有給を取って絵本作りを手伝いながら葛葉子と夫婦水入らずを楽しむ気満々だ。
 瑠香は薫の手を取って幼稚園に出かけて行った。
 二人を見送った葛葉子は制作ラストスパートをかけるために腕捲りをして作品に取り掛かった。
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