祈り姫

花咲蝶ちょ

文字の大きさ
上 下
8 / 79

8☆憲法Q条

しおりを挟む
 いつもは生徒しかいない教室は大人たちが背後にずらりと並び終わり授業参観が始まった。

 発表はグループで調べた戦争と平和についてのレポートと研究発表だ。

 いつもの授業とは違う雰囲気と親が見ているという緊張感と恥ずかしさのなか発表する。

「戦争は人殺しの行為で絶対やっては行けません」

「うちのおばあちゃんのおばあちゃんはその時の戦争で死んでしまいました」

「武器があるから戦争になるのです。武器さえなければ戦争はやってこないのです」

 そのグループが調べたことには、

 ある島の物語で、コメ軍が上陸した時に島民は非武装だったので一人も殺されなかった逸話を紹介した。
 それで人は誰一人殺されなかった。

「だから武器を持つ戦争はいけないのです」

 真のある揺るがない言葉や戦争はいけないという決意を込めた発表はクラスメイトや大人たちの心を掴み盛大な拍手をもらった。


 他国と戦争にならないために今の憲法Q条は必要なこととか。
 Q条は戦争をしないための憲法で平和には必要不可欠でこの憲法があるから戦争はなく平和に暮らせていると力説するグループ。

 そして法子を目の敵の如くに苛めたリーダ格の木金(こがね)は祝皇と戦争というテーマを掲げたポスターを黒板に張り付けた。
 それは子供が書いただけではなく大人に手伝ってもらったような大作だった。
 過去には祝皇が戦争を指導したという内容で同盟組んでいたドクツのアドルフと同等の殺戮者だという発表だった。

「だから殺戮の血筋たる戦争犯罪者の祝皇族などいらないのです。
戦犯の祝皇がいること自体、世界の悪の根源がまだ続いている証拠です!」

 法子を睨めつけながらいいきる木金さん。

 先生青くなってオロオロするばかり。
 父兄参観の親たちもザワザワしている。
 けれど木金さんの親たちは盛大に拍手をする。
木金さんのグループ両親がいても十人くらいなのにクラスの親くらいいる拍手がおこる。
 何事かわからないほかの子の親も拍手をしておく。
 所詮子供の発表会なのだからお愛想の拍手だ。

 警護たちは不穏な発表に皇室に悪意を感じで今にも静かに法子を守るため身構える。

 法子は黙って椅子から立ち上がる。



「では私の番だな」

 法子は黒板の前に立つと西洋のプリンセスのようにスカートの裾を持ちお辞儀をする。

 そして毅然と顔を上げると

「私はさきの戦争の意義を間違ってないと思います」
 そう開口一番言い切った。

 父兄たちはざわついた。
そのざわつきが収まった頃、法子は再び口を開く。
 ゆっくりはっきり自分の意思を持って言葉を紡ぐように心かけながら

「先の戦争は日和国の威信をかけて国民の命財産を守るための防衛の戦争だからです。」


しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

寝室から喘ぎ声が聞こえてきて震える私・・・ベッドの上で激しく絡む浮気女に復讐したい

白崎アイド
大衆娯楽
カチャッ。 私は静かに玄関のドアを開けて、足音を立てずに夫が寝ている寝室に向かって入っていく。 「あの人、私が

校長室のソファの染みを知っていますか?

フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。 しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。 座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る

JKがいつもしていること

フルーツパフェ
大衆娯楽
平凡な女子高生達の日常を描く日常の叙事詩。 挿絵から御察しの通り、それ以外、言いようがありません。

僕の家族は母様と母様の子供の弟妹達と使い魔達だけだよ?

闇夜の現し人(ヤミヨノウツシビト)
ファンタジー
ー 母さんは、「絶世の美女」と呼ばれるほど美しく、国の中で最も権力の強い貴族と呼ばれる公爵様の寵姫だった。 しかし、それをよく思わない正妻やその親戚たちに毒を盛られてしまった。 幸い発熱だけですんだがお腹に子が出来てしまった以上ここにいては危険だと判断し、仲の良かった侍女数名に「ここを離れる」と言い残し公爵家を後にした。 お母さん大好きっ子な主人公は、毒を盛られるという失態をおかした父親や毒を盛った親戚たちを嫌悪するがお母さんが日々、「家族で暮らしたい」と話していたため、ある出来事をきっかけに一緒に暮らし始めた。 しかし、自分が家族だと認めた者がいれば初めて見た者は跪くと言われる程の華の顔(カンバセ)を綻ばせ笑うが、家族がいなければ心底どうでもいいというような表情をしていて、人形の方がまだ表情があると言われていた。 『無能で無価値の稚拙な愚父共が僕の家族を名乗る資格なんて無いんだよ?』 さぁ、ここに超絶チートを持つ自分が認めた家族以外の生き物全てを嫌う主人公の物語が始まる。 〈念の為〉 稚拙→ちせつ 愚父→ぐふ ⚠︎注意⚠︎ 不定期更新です。作者の妄想をつぎ込んだ作品です。

【短編】冤罪が判明した令嬢は

砂礫レキ
ファンタジー
王太子エルシドの婚約者として有名な公爵令嬢ジュスティーヌ。彼女はある日王太子の姉シルヴィアに冤罪で陥れられた。彼女と二人きりのお茶会、その密室空間の中でシルヴィアは突然フォークで自らを傷つけたのだ。そしてそれをジュスティーヌにやられたと大騒ぎした。ろくな調査もされず自白を強要されたジュスティーヌは実家に幽閉されることになった。彼女を公爵家の恥晒しと憎む父によって地下牢に監禁され暴行を受ける日々。しかしそれは二年後終わりを告げる、第一王女シルヴィアが嘘だと自白したのだ。けれど彼女はジュスティーヌがそれを知る頃には亡くなっていた。王家は醜聞を上書きする為再度ジュスティーヌを王太子の婚約者へ強引に戻す。 そして一年後、王太子とジュスティーヌの結婚式が盛大に行われた。

性欲排泄欲処理系メイド 〜三大欲求、全部満たします〜

mm
ファンタジー
私はメイドのさおり。今日からある男性のメイドをすることになったんだけど…業務内容は「全般のお世話」。トイレもお風呂も、性欲も!? ※スカトロ表現多数あり ※作者が描きたいことを書いてるだけなので同じような内容が続くことがあります

マッサージ師にそれっぽい理由をつけられて、乳首とクリトリスをいっぱい弄られた後、ちゃっかり手マンされていっぱい潮吹きしながらイッちゃう女の子

ちひろ
恋愛
マッサージ師にそれっぽい理由をつけられて、乳首とクリトリスをいっぱい弄られた後、ちゃっかり手マンされていっぱい潮吹きしながらイッちゃう女の子の話。 Fantiaでは他にもえっちなお話を書いてます。よかったら遊びに来てね。

お嬢様、お仕置の時間です。

moa
恋愛
私は御門 凛(みかど りん)、御門財閥の長女として産まれた。 両親は跡継ぎの息子が欲しかったようで女として産まれた私のことをよく思っていなかった。 私の世話は執事とメイド達がしてくれていた。 私が2歳になったとき、弟の御門 新(みかど あらた)が産まれた。 両親は念願の息子が産まれたことで私を執事とメイド達に渡し、新を連れて家を出ていってしまった。 新しい屋敷を建ててそこで暮らしているそうだが、必要な費用を送ってくれている以外は何も教えてくれてくれなかった。 私が小さい頃から執事としてずっと一緒にいる氷川 海(ひかわ かい)が身の回りの世話や勉強など色々してくれていた。 海は普段は優しくなんでもこなしてしまう完璧な執事。 しかし厳しいときは厳しくて怒らせるとすごく怖い。 海は執事としてずっと一緒にいると思っていたのにある日、私の中で何か特別な感情がある事に気付く。 しかし、愛を知らずに育ってきた私が愛と知るのは、まだ先の話。

処理中です...