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伝統の縁(でんとうのえにし)
7☆陰陽寮
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「オレも桜庭と同じ陰陽寮職員と伝統衛士やりたい!」
瞳をきらめかせて薫は言う。
しかも李流の制服の裾を引っ張って、
「だめか?」
キリリとした眉をシュンとさせて首を傾げる。
「親友の李流と離れたくないし…」
ほんとに、子犬みたいだと思ってしまう。
薫は狐のあやかしだけど…
そんな態度に李流は正直困って
「親友だからって態度かわりすぎだよ…それじゃ甘えん坊だよ」
「にーちゃんにもよく言われる」
ヘヘッと素直に笑う。
兄もそれで何でも薫のいう事聞いてくれたから癖になっていた。
李流はそんな可愛い態度になぜだか甘くなってしまうという事に気づいた。
法子様限定かと思っていたが…
だけど、李流は的確に、
「瑠香様に頼む決意できるなら、簡単に推薦してもらえると思うよ?」
実質実務を任されているのは瑠香だ。
しかも、陰陽寮長副官で、代々長をやっていた家柄で跡継ぎは陰陽寮で陰陽師として幼い頃から仕込まれるのが習わしのはず。
その御曹司の薫なら申し分ないと思うが、親子仲違い中だ。
その仲違えを仲裁しろと晴房から言われていた。
これは命令を実行できるチャンスだけど、
「……瑠香様と…和解できる?」
李流自身は絶対に父親と和解できないから薫を気遣い聞く。
そんな李流の気持ちが伝わって、
「俺の志の前に親父はちっぽけな存在だ!」
と薫は宣言した。
昼休みに李流の話を聞いて考えが改まった。
「陰陽寮にいれてくれ!頼む!」
「わかった、ハル様に伺って来るから待っていてくれ」
そう言い颯爽と職員専用の門に入って、陰陽寮で李流が来ることを待ち伏せしていた晴房に、お前なら出来ると思ったと褒められて、陰陽寮に入る許可証をもらい門衛に見せて、初めて正式に宮中に入った。
そして、薫を宮中奥深い陰陽寮に案内する。
陰陽寮の職場には三つの和風の古い建物があり、ひとつは陰陽寮の上司であられる中務の宮のお住まいと職場である陰陽寮と職員が寝泊まりする建物だ。
陰陽寮は特殊で幼い頃から仕事を手伝い占い全般を覚える陰陽童子がいる。
晴房や瑠香は幼い頃から宮中で仕事をしていたことを聞いたことがある。
瑠香はある大事件の謹慎処分で十五年行事以外宮中にいなかった。なので副官どまりだ。
進学を考えて宮中の住み込みをする愛国神ある若者は少なかった。
国を愛し職を全うする陰陽寮職員の若者を育てねばならぬ晴房は真剣に考えていた。
更に、超能力を持っていたらなお良いらしい。
それを考えると薫は合格点だと思う。
そんな李流の考えを覗いた薫は、ふふんとドヤ顔して、
「一応、俺はサラブレッドだからな!」
「……狐だけどな」
「それは言うなっ!」
ポカリと軽く李流の頭を叩く。
そして、あははと笑いあう。
瑠香は廊下の角を曲がり、李流と薫とばったり出会う。
「あ、瑠香様、お疲れ様です」
と挨拶するが、空気は張り詰めたものになっている。
凍てつく雰囲気を李流は感じる。
じっと時が止まったように息子を見て、
「薫…か?」
「とー…さん…」
約五年ぶりの親子の再開だった。
瑠香はあまり変わらないが四年経て小さな少年から青年に成長した我が子に目を見張る。
薫はグッと拳を作りタッ!と足を踏み出すと、瑠香の顔を殴り飛ばしていた。
瞳をきらめかせて薫は言う。
しかも李流の制服の裾を引っ張って、
「だめか?」
キリリとした眉をシュンとさせて首を傾げる。
「親友の李流と離れたくないし…」
ほんとに、子犬みたいだと思ってしまう。
薫は狐のあやかしだけど…
そんな態度に李流は正直困って
「親友だからって態度かわりすぎだよ…それじゃ甘えん坊だよ」
「にーちゃんにもよく言われる」
ヘヘッと素直に笑う。
兄もそれで何でも薫のいう事聞いてくれたから癖になっていた。
李流はそんな可愛い態度になぜだか甘くなってしまうという事に気づいた。
法子様限定かと思っていたが…
だけど、李流は的確に、
「瑠香様に頼む決意できるなら、簡単に推薦してもらえると思うよ?」
実質実務を任されているのは瑠香だ。
しかも、陰陽寮長副官で、代々長をやっていた家柄で跡継ぎは陰陽寮で陰陽師として幼い頃から仕込まれるのが習わしのはず。
その御曹司の薫なら申し分ないと思うが、親子仲違い中だ。
その仲違えを仲裁しろと晴房から言われていた。
これは命令を実行できるチャンスだけど、
「……瑠香様と…和解できる?」
李流自身は絶対に父親と和解できないから薫を気遣い聞く。
そんな李流の気持ちが伝わって、
「俺の志の前に親父はちっぽけな存在だ!」
と薫は宣言した。
昼休みに李流の話を聞いて考えが改まった。
「陰陽寮にいれてくれ!頼む!」
「わかった、ハル様に伺って来るから待っていてくれ」
そう言い颯爽と職員専用の門に入って、陰陽寮で李流が来ることを待ち伏せしていた晴房に、お前なら出来ると思ったと褒められて、陰陽寮に入る許可証をもらい門衛に見せて、初めて正式に宮中に入った。
そして、薫を宮中奥深い陰陽寮に案内する。
陰陽寮の職場には三つの和風の古い建物があり、ひとつは陰陽寮の上司であられる中務の宮のお住まいと職場である陰陽寮と職員が寝泊まりする建物だ。
陰陽寮は特殊で幼い頃から仕事を手伝い占い全般を覚える陰陽童子がいる。
晴房や瑠香は幼い頃から宮中で仕事をしていたことを聞いたことがある。
瑠香はある大事件の謹慎処分で十五年行事以外宮中にいなかった。なので副官どまりだ。
進学を考えて宮中の住み込みをする愛国神ある若者は少なかった。
国を愛し職を全うする陰陽寮職員の若者を育てねばならぬ晴房は真剣に考えていた。
更に、超能力を持っていたらなお良いらしい。
それを考えると薫は合格点だと思う。
そんな李流の考えを覗いた薫は、ふふんとドヤ顔して、
「一応、俺はサラブレッドだからな!」
「……狐だけどな」
「それは言うなっ!」
ポカリと軽く李流の頭を叩く。
そして、あははと笑いあう。
瑠香は廊下の角を曲がり、李流と薫とばったり出会う。
「あ、瑠香様、お疲れ様です」
と挨拶するが、空気は張り詰めたものになっている。
凍てつく雰囲気を李流は感じる。
じっと時が止まったように息子を見て、
「薫…か?」
「とー…さん…」
約五年ぶりの親子の再開だった。
瑠香はあまり変わらないが四年経て小さな少年から青年に成長した我が子に目を見張る。
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