祈り姫

花咲蝶ちょ

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願いと妄想の夢違え

14☆遊びの終わり、筋書きの始まり

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「あーあーつまんない!もういいわ!」
 夜子は怒りを込めてあきらめの言霊を吐いた。
 これで夜子のしかけたゲームは終わりを迎えた。
「せっかく李流君を闇堕ちさせて、私の駒として私が望む誓約成立できそうだったのに……」
 夜子は熟れた唇に指を当てて、李流をツヤっぽく見る。
 夜子はまだ本当は諦めていない。
 次は本格的に李流を狙おうと考えている。
「そんなこと、我が許さぬぞっ!」
 法子は察して李流の前に立ち夜子を睨む。
 その行為に李流は恐れ多いが、とても嬉しく思う。
《私のお気に入りを勝手に駒として使われるのは、気分が良くないな……》
 ハルの神は不敵に笑う。
 そんなハルの神に夜子は瞳を釣り上げて、
「それを、あなたがいうなんてね……あなたは私を駒として使うつもりのくせに……」
 悔しそうに夜子は言う。
 全てはハルの神の掌の上という神のみぞ知る駒にされている事をあやかしであり神でもある夜子は知っている。
 だが、ハルの神の筋書き通りに全ては行かない事は分かる。
 神の掌からこぼれ落ちた存在が夜子の主であるからだ。
 それは、ハルの神の掌を消滅させようとする稀なる御方なのだ。
 ゲームは始まったばかりだと思うと夜子は満足げに艶っぽく口もとが綻ぶ。
「次は負けないわ……ふふ……次も楽しませてあげる……」

《我の駒としてよき働きをする事を楽しみにしておる。》

 ハルの神は腕を組み、夜子を見下し余裕だ。
 瑠香がいたなら、
(またハルの神がなにかを企んでいる……)
 と不審な目を向けていたことだろう……
 瑠香の親神のルカの神は承認しているが、神の化身たちは所詮は人間、現世に体を持っているのでこのことは伏せている。
 上手く筋書き通りに動いてくれると予測して……この夜子のように……
 夜子は思いついたようにニヤッと口をわざと裂けて微笑み。
「だけど、この中途半端なエンディングじゃ、現実の法子様との縁は恋愛はダメになるわね……ご愁傷さま。」
 それは法子と李流の恋愛は破綻すると言うことだと思うと法子はゾッとする。

「こ、降嫁すれば、この夢エンディングには影響ないのじゃ!残念だったな!悪魔狐!」
 と負けず嫌いに言霊に出してあっかんべーをしてやった。
 まだまだ子供の法子だ。
 もう少し祈り姫が、李流も含めて大人だったらエンディングは変わったかもしれない。
 その時にまた仕掛けることが出来たならば……と想像すると楽しくてたまらない。
「あは、ふふっ!またお会いしましょ……私の主が勝てるまで……アハ、アハアハアハア……!」
 と下卑た狐の化け物の顔になり、不吉な言葉と不気味な笑い声を残して夜子は消えた。
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