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未来の縁
11☆運命の未来を星空に宿命に愛を告げる☆エンド☆
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「うっ、くっ……!はっ!はぁっ!はぁ!」
威津那はうなされてガバリと起きる。
気がつけば冷や汗がひどい。
「嫌な夢だ……いや…夢ではない…か…」
父の呪いか、一族の呪いのせいでか、悪夢を見た。
八那果や菊が威津那の未来を見せた夢を……
菊との寿命の契約は切れて橘は亡くなり、悲しみのあまり闇に囚われ陛下を裏切り、九尾をあやつり日和を滅ぼす未来………
決してあってはいけない未来だ。
あの時は《宿命》として受け入れたけれど……
『今』ならまだ、『未来』を変えることができる……
威津那は顔を覆って冷静に深く考える……
「ごめん……橘…僕はやっぱり耐えられそうにない……」
寒空に美しい星々がキラキラと輝いて、三日月の細い月が刃物のように光って見える……
(縁を結ぶ月の神が、悪い未来を断ち切ってくれれば良いのに……)
月は縁や未来を図る星だ……
悪い未来など来ないように心底願う…
陛下を守るための力を貸すハルの神はそういう力を貸してくれないのだから….
「行くのか?」
晴綛が計ったように庭で待っていた。
威津那はまだ迷っていて頷くことすら出来なかった。
「晴綛様は全てを知っているのですか?」
黒御足の力を持ってはいなくても未来を予測して動く晴綛に疑問を持っていた。
もう、何も驚くことはない、威津那もだいたいの事は想像はついていた。
晴綛は手にしていた煙管を吸い、間を置いて夜空の星々に煙を吐き、
「お前の父の助けにもなりたくて、全てを見せてもらっていた……」
晴綛は悲しそうに苦笑する。
いつも明るい晴綛の、もう一つの顔だと思う。
「わしの最悪の未来は自分の血族を……娘ならず孫をも犠牲にして日和のために陛下のために審神者としての使命を果たすようだ」
煙管をまた吸い、吐く。
「ま、当然じゃかの」
迷いのない晴綛の覚悟の芯の強さを感じる。
「宿命を覚悟しているのですね…」
威津那はその覚悟が足りない事に不甲斐なさを感じた。
「わしはお前や黒御足のように未来は見えない。
だが、占いで良い方向に導くことができると自負している。」
「陰陽寮長….」
名前ではなく役職名を威津那は敬意を持ってつぶやく。
晴綛なら『出来ると』そうしてくれると信頼できる実力があるからだ。
晴綛はニカっと照れたように笑い、威津那の頭をポンポン撫でる。
「ま、わし一人ごときが運命など変えられるわけないのだがな!」
晴綛は煙管で冴え渡る星空を指し威津那の視線を星の煌めきに集中させて、
「なぜなら、この世はこの星々のように多くの人生があるのだからな、この世は一人のものではないという事だ」
「たしかに……」
威津那は自分一人が陛下にあだなし成功させてしまう事が宿命だと思い込んでいた……
そんな未来を今、変えられるのならばこれは《宿命》ではなく、それは《運命》だ。
将来は変えられるのだ……
「未来を……運命を良い方に変えるのはお前を囲む暖かい縁と、子孫たちの幸せだ…その事を今後考えていけばいいだけじゃ」
晴綛の言の葉でみんなのキラキラした言霊と、橘のキラキラとした瞳を思い夜空の星の美しさに重ねると未来の悪夢の不安は不思議と消えていった。
未来の不安が消えたのもホッとしたのも束の間、後ろから橘にドンっと体当たりするように抱きつかれた。
「そんなに不安なら私があなたをまた抱いてあげるから逃げないでよ!」
怒りとあやかしの力任せに腹を絞める。
「た、橘、苦しい、ちょっと緩めて……お願いっ!」
「やだっ!逃がさないんだからっ!ばかばかばか!嘘つき威津那さんなんか嫌いになっちゃうんだからぁあ!うわーーん!」
橘は、わざと子供のように泣いた。
「ごめん、橘、ちょっと、夜風にあたりに外に散歩しに行っただけだから…」
「うそつけ。」
「晴綛さまっ!」
威津那は大いに慌てる。
逃げてしまおうとしたのも本当だし、やっぱりやめようと思ったのも本当だからだ。
「もう、未来が辛いなら何度も言うわ!あなたが暗い未来を見ると言うなら私がそんな未来無くしてあげる!だからそばにいて!」
橘は威津那の腹に回していた手を離して、威津那を涙目で見て、
「今度こそ私から逃げないで!」
そして正面から体当たりして地面に押し倒された。
「もう…逃げないよ、その代わりもう君は僕から逃げられないんだからね?」
威津那は橘の頬を両手で振れる。
涙を優しく拭うと、橘は微笑み、
「五寸釘と藁人のように?」
橘は、わざとあの時のことを言う。
威津那は、ふふっと楽しげに笑い、
「夫婦としてこれから共に歩んでほしい。
たとへ、黄泉に逝ったとしても僕は君を恋焦がれ続けるよ…どんな未来が待っていようとも、君との縁は想いは永遠なのだから……」
そう言って、誓いのキスをする。
☆☆☆
橘と体を重ねた……
愛おしい気持ちが溢れてつい言葉に出してしまいそうになる。
その度に言葉にできない思いを、互いに抱きしめて魂から一つになりたいほど体があることがもどかしいほど狂おしいほど抱きあった……
一つに溶けあいたい…
溶けてしまいたい……
もう、離れないように……
正直、陛下よりも愛おしく感じ、この先の未来の辛さが増してしまう……
君は将来、僕を置いて先にどうしても逝くのならば……
僕は、宿命を変えない…変えることはないだろう……
必ず訪れる絶望の先に君が待っていてくれると信じているから……
今、この手から溢れ落ちる希望の光を再び取り戻せるのならば……
その時は君に愛を告げるよ
愛してると…何度でも……
威津那はうなされてガバリと起きる。
気がつけば冷や汗がひどい。
「嫌な夢だ……いや…夢ではない…か…」
父の呪いか、一族の呪いのせいでか、悪夢を見た。
八那果や菊が威津那の未来を見せた夢を……
菊との寿命の契約は切れて橘は亡くなり、悲しみのあまり闇に囚われ陛下を裏切り、九尾をあやつり日和を滅ぼす未来………
決してあってはいけない未来だ。
あの時は《宿命》として受け入れたけれど……
『今』ならまだ、『未来』を変えることができる……
威津那は顔を覆って冷静に深く考える……
「ごめん……橘…僕はやっぱり耐えられそうにない……」
寒空に美しい星々がキラキラと輝いて、三日月の細い月が刃物のように光って見える……
(縁を結ぶ月の神が、悪い未来を断ち切ってくれれば良いのに……)
月は縁や未来を図る星だ……
悪い未来など来ないように心底願う…
陛下を守るための力を貸すハルの神はそういう力を貸してくれないのだから….
「行くのか?」
晴綛が計ったように庭で待っていた。
威津那はまだ迷っていて頷くことすら出来なかった。
「晴綛様は全てを知っているのですか?」
黒御足の力を持ってはいなくても未来を予測して動く晴綛に疑問を持っていた。
もう、何も驚くことはない、威津那もだいたいの事は想像はついていた。
晴綛は手にしていた煙管を吸い、間を置いて夜空の星々に煙を吐き、
「お前の父の助けにもなりたくて、全てを見せてもらっていた……」
晴綛は悲しそうに苦笑する。
いつも明るい晴綛の、もう一つの顔だと思う。
「わしの最悪の未来は自分の血族を……娘ならず孫をも犠牲にして日和のために陛下のために審神者としての使命を果たすようだ」
煙管をまた吸い、吐く。
「ま、当然じゃかの」
迷いのない晴綛の覚悟の芯の強さを感じる。
「宿命を覚悟しているのですね…」
威津那はその覚悟が足りない事に不甲斐なさを感じた。
「わしはお前や黒御足のように未来は見えない。
だが、占いで良い方向に導くことができると自負している。」
「陰陽寮長….」
名前ではなく役職名を威津那は敬意を持ってつぶやく。
晴綛なら『出来ると』そうしてくれると信頼できる実力があるからだ。
晴綛はニカっと照れたように笑い、威津那の頭をポンポン撫でる。
「ま、わし一人ごときが運命など変えられるわけないのだがな!」
晴綛は煙管で冴え渡る星空を指し威津那の視線を星の煌めきに集中させて、
「なぜなら、この世はこの星々のように多くの人生があるのだからな、この世は一人のものではないという事だ」
「たしかに……」
威津那は自分一人が陛下にあだなし成功させてしまう事が宿命だと思い込んでいた……
そんな未来を今、変えられるのならばこれは《宿命》ではなく、それは《運命》だ。
将来は変えられるのだ……
「未来を……運命を良い方に変えるのはお前を囲む暖かい縁と、子孫たちの幸せだ…その事を今後考えていけばいいだけじゃ」
晴綛の言の葉でみんなのキラキラした言霊と、橘のキラキラとした瞳を思い夜空の星の美しさに重ねると未来の悪夢の不安は不思議と消えていった。
未来の不安が消えたのもホッとしたのも束の間、後ろから橘にドンっと体当たりするように抱きつかれた。
「そんなに不安なら私があなたをまた抱いてあげるから逃げないでよ!」
怒りとあやかしの力任せに腹を絞める。
「た、橘、苦しい、ちょっと緩めて……お願いっ!」
「やだっ!逃がさないんだからっ!ばかばかばか!嘘つき威津那さんなんか嫌いになっちゃうんだからぁあ!うわーーん!」
橘は、わざと子供のように泣いた。
「ごめん、橘、ちょっと、夜風にあたりに外に散歩しに行っただけだから…」
「うそつけ。」
「晴綛さまっ!」
威津那は大いに慌てる。
逃げてしまおうとしたのも本当だし、やっぱりやめようと思ったのも本当だからだ。
「もう、未来が辛いなら何度も言うわ!あなたが暗い未来を見ると言うなら私がそんな未来無くしてあげる!だからそばにいて!」
橘は威津那の腹に回していた手を離して、威津那を涙目で見て、
「今度こそ私から逃げないで!」
そして正面から体当たりして地面に押し倒された。
「もう…逃げないよ、その代わりもう君は僕から逃げられないんだからね?」
威津那は橘の頬を両手で振れる。
涙を優しく拭うと、橘は微笑み、
「五寸釘と藁人のように?」
橘は、わざとあの時のことを言う。
威津那は、ふふっと楽しげに笑い、
「夫婦としてこれから共に歩んでほしい。
たとへ、黄泉に逝ったとしても僕は君を恋焦がれ続けるよ…どんな未来が待っていようとも、君との縁は想いは永遠なのだから……」
そう言って、誓いのキスをする。
☆☆☆
橘と体を重ねた……
愛おしい気持ちが溢れてつい言葉に出してしまいそうになる。
その度に言葉にできない思いを、互いに抱きしめて魂から一つになりたいほど体があることがもどかしいほど狂おしいほど抱きあった……
一つに溶けあいたい…
溶けてしまいたい……
もう、離れないように……
正直、陛下よりも愛おしく感じ、この先の未来の辛さが増してしまう……
君は将来、僕を置いて先にどうしても逝くのならば……
僕は、宿命を変えない…変えることはないだろう……
必ず訪れる絶望の先に君が待っていてくれると信じているから……
今、この手から溢れ落ちる希望の光を再び取り戻せるのならば……
その時は君に愛を告げるよ
愛してると…何度でも……
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