155 / 161
未来の縁
7☆先見の絶望
しおりを挟む
威津那は夢のようなあやふやの世界に落とされたことを理解する。
そして、体を動かせる感覚がない。
己の存在自体不安定に感じる。
体を父さんに奪われているせいだからか……?
気持ちの焦りだけが剥き出しになっている……
《お前に絶望の宿命の、未来を見せてやる》
父さんの声が暗闇の中で聞こえる。
暗闇から灯りがついて、その明かりに橘が映る。
とても幸せそうな微笑み。
その胸の中には小さな可愛い赤ちゃんがこちらを見て微笑む。
心がすごく暖かくなり、狂おしいほど守りたい存在だと、未来のことなのに『今』に伝心する。
橘と娘との幸せなときが過ぎて、娘が十四歳を過ぎた頃…橘にまた新しい命が宿る。
とても可愛い…とても誰にもやりたくないほど……
娘たちが唯一の心の支えになる……
心の支えとしてこの先ずっと生きていかなくてはならない……
……それは……
……橘は亡くなってしまうから……
ああっ!
胸が裂かれるほど辛いっ!苦しいっ…想像するだけでも苦しいのに…!
見せないでくれ!見たくない!見たくない!
橘が亡くなる事も考える事ですら絶望と悲しみに胸が痛い、苦しい………
そんな、悲しい未来など想像もしたくないほどだったのに、未来に起こる出来事なんか尚更だ!
《この先、お前を支える娘たちも早くに亡くなっていく……》
それは、一族全員の呪いのせいのようだ……
まざまざと見せられて、感情だけ揺さぶられて苦しい、感情だけが強く渦巻く。
《そして、お前は、忠誠を誓う陛下を……裏切る….》
そんな、恐ろしい未来など来てはならない!それは父さんの願望だ!
《いや、お前自ら、陛下を憎むのだ……大切な子供を皇のために命を奪われるからだ……》
娘が死ぬ……
二人とも…宮中で…穢れとして……
ぁああああああああああっ!
その時の絶望する感覚は今すぐ精神が壊れるほどの衝撃を受けることが、『今現在』の僕に苦しい思いを伝えてくる。
《お前は将来確実に、そうなる事………私の気持ちがわかるほどに、いやそれ以上に日和を…陛下を憎み、破壊するのだ…!》
九尾を使い宮中を破壊している映像が映り、そのことに僕は満足し、その傍らに九尾になった娘が微笑んでいる。
その映像は、菊に見せられた未来そのもの……
……この未来は確定しているようだ……
陛下や日和を憎み壊す気持ちは父とは違うのか父の気持ちに怒りを感じる。
父は日和を戻したいのに、未来の僕は日和を破壊する気持ちだ…
そこに相反する思いも伝わる……
…だが、父と未来の計画は一緒なのだ……やろうとしていることに変わりはない……
《わかっているのだろう……?》
わかっていたはずだ……
希望の光は、手に入れたら…すぐに消える儚いものだと……
何度も未来を確認して見てきていた……
その日が来る事を楽しみにしていた…
橘と出会った当初までは分かっていた…知っていた…希望を失う未来を……
知っていた……覚悟していたんだ……
その時は愛おしいという感覚は夢のような想像でしかなかったからわからなかった……
けれど、実際に知ってしまった。
出会い、心通わせ、守りたいと思った……
祝皇を共に愛し忠誠を誓うことは、橘と穏やかに祝皇の祝福のもと平和に暮らす事を叶えたいと強く思うからだ。
幸せな未来を共に生きていこうと決めたのに……
それら全てを失う未来が宿命だなんて……苦しい…辛すぎる……!
《大切なものを全て失うことがお前の宿命だ……》
わかっている…わかっているから……!
「失いたくない!失いたくない!失いたくない……!怖いっ!怖いんだ!どうしたらいいんだ…っ!」
あまりの心の張り裂けように言霊が出た。
瞳から涙が溢れて止まらない……
まるで幼子に返った感覚だった。
《ならば、私に体を委ねろ…私がお前になり宿命を変えてやろう…宿命の時がすぎるまで…私がお前になり守ってやる……なぁ、愛おしい我が息子よ…》
優しい父さんの声は癒しに聞こえる……
不安を安心に変えてくれる……
僕は弱い…と正直に自覚してしまう…認めてしまえば、楽になり気が抜けた…
「それも…いいかも……」
そう言霊に出した途端、急激に闇に落ちる感覚がした。
「!」
それも奈落の底に落ちる感覚。
……ただ暗い暗い世界に落ちるのみ……
それは自分の今後の将来のようだ……
そして、体を動かせる感覚がない。
己の存在自体不安定に感じる。
体を父さんに奪われているせいだからか……?
気持ちの焦りだけが剥き出しになっている……
《お前に絶望の宿命の、未来を見せてやる》
父さんの声が暗闇の中で聞こえる。
暗闇から灯りがついて、その明かりに橘が映る。
とても幸せそうな微笑み。
その胸の中には小さな可愛い赤ちゃんがこちらを見て微笑む。
心がすごく暖かくなり、狂おしいほど守りたい存在だと、未来のことなのに『今』に伝心する。
橘と娘との幸せなときが過ぎて、娘が十四歳を過ぎた頃…橘にまた新しい命が宿る。
とても可愛い…とても誰にもやりたくないほど……
娘たちが唯一の心の支えになる……
心の支えとしてこの先ずっと生きていかなくてはならない……
……それは……
……橘は亡くなってしまうから……
ああっ!
胸が裂かれるほど辛いっ!苦しいっ…想像するだけでも苦しいのに…!
見せないでくれ!見たくない!見たくない!
橘が亡くなる事も考える事ですら絶望と悲しみに胸が痛い、苦しい………
そんな、悲しい未来など想像もしたくないほどだったのに、未来に起こる出来事なんか尚更だ!
《この先、お前を支える娘たちも早くに亡くなっていく……》
それは、一族全員の呪いのせいのようだ……
まざまざと見せられて、感情だけ揺さぶられて苦しい、感情だけが強く渦巻く。
《そして、お前は、忠誠を誓う陛下を……裏切る….》
そんな、恐ろしい未来など来てはならない!それは父さんの願望だ!
《いや、お前自ら、陛下を憎むのだ……大切な子供を皇のために命を奪われるからだ……》
娘が死ぬ……
二人とも…宮中で…穢れとして……
ぁああああああああああっ!
その時の絶望する感覚は今すぐ精神が壊れるほどの衝撃を受けることが、『今現在』の僕に苦しい思いを伝えてくる。
《お前は将来確実に、そうなる事………私の気持ちがわかるほどに、いやそれ以上に日和を…陛下を憎み、破壊するのだ…!》
九尾を使い宮中を破壊している映像が映り、そのことに僕は満足し、その傍らに九尾になった娘が微笑んでいる。
その映像は、菊に見せられた未来そのもの……
……この未来は確定しているようだ……
陛下や日和を憎み壊す気持ちは父とは違うのか父の気持ちに怒りを感じる。
父は日和を戻したいのに、未来の僕は日和を破壊する気持ちだ…
そこに相反する思いも伝わる……
…だが、父と未来の計画は一緒なのだ……やろうとしていることに変わりはない……
《わかっているのだろう……?》
わかっていたはずだ……
希望の光は、手に入れたら…すぐに消える儚いものだと……
何度も未来を確認して見てきていた……
その日が来る事を楽しみにしていた…
橘と出会った当初までは分かっていた…知っていた…希望を失う未来を……
知っていた……覚悟していたんだ……
その時は愛おしいという感覚は夢のような想像でしかなかったからわからなかった……
けれど、実際に知ってしまった。
出会い、心通わせ、守りたいと思った……
祝皇を共に愛し忠誠を誓うことは、橘と穏やかに祝皇の祝福のもと平和に暮らす事を叶えたいと強く思うからだ。
幸せな未来を共に生きていこうと決めたのに……
それら全てを失う未来が宿命だなんて……苦しい…辛すぎる……!
《大切なものを全て失うことがお前の宿命だ……》
わかっている…わかっているから……!
「失いたくない!失いたくない!失いたくない……!怖いっ!怖いんだ!どうしたらいいんだ…っ!」
あまりの心の張り裂けように言霊が出た。
瞳から涙が溢れて止まらない……
まるで幼子に返った感覚だった。
《ならば、私に体を委ねろ…私がお前になり宿命を変えてやろう…宿命の時がすぎるまで…私がお前になり守ってやる……なぁ、愛おしい我が息子よ…》
優しい父さんの声は癒しに聞こえる……
不安を安心に変えてくれる……
僕は弱い…と正直に自覚してしまう…認めてしまえば、楽になり気が抜けた…
「それも…いいかも……」
そう言霊に出した途端、急激に闇に落ちる感覚がした。
「!」
それも奈落の底に落ちる感覚。
……ただ暗い暗い世界に落ちるのみ……
それは自分の今後の将来のようだ……
0
お気に入りに追加
10
あなたにおすすめの小説
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
甲斐ノ副将、八幡原ニテ散……ラズ
朽縄咲良
歴史・時代
【第8回歴史時代小説大賞奨励賞受賞作品】
戦国の雄武田信玄の次弟にして、“稀代の副将”として、同時代の戦国武将たちはもちろん、後代の歴史家の間でも評価の高い武将、武田典厩信繁。
永禄四年、武田信玄と強敵上杉輝虎とが雌雄を決する“第四次川中島合戦”に於いて討ち死にするはずだった彼は、家臣の必死の奮闘により、その命を拾う。
信繁の生存によって、甲斐武田家と日本が辿るべき歴史の流れは徐々にずれてゆく――。
この作品は、武田信繁というひとりの武将の生存によって、史実とは異なっていく戦国時代を書いた、大河if戦記である。
*ノベルアッププラス・小説家になろうにも、同内容の作品を掲載しております(一部差異あり)。
【完結】イケメンイスラエル大使館員と古代ユダヤの「アーク探し」の5日間の某国特殊部隊相手の大激戦!なっちゃん恋愛小説シリーズ第1弾!』
あらお☆ひろ
キャラ文芸
「なつ&陽菜コンビ」にニコニコ商店街・ニコニコプロレスのメンバーが再集結の第1弾!
もちろん、「なっちゃん」の恋愛小説シリーズ第1弾でもあります!
ニコニコ商店街・ニコニコポロレスのメンバーが再集結。
稀世・三郎夫婦に3歳になったひまわりに直とまりあ。
もちろん夏子&陽菜のコンビも健在。
今作の主人公は「夏子」?
淡路島イザナギ神社で知り合ったイケメン大使館員の「MK」も加わり10人の旅が始まる。
ホテルの庭で偶然拾った二つの「古代ユダヤ支族の紋章の入った指輪」をきっかけに、古来ユダヤの巫女と化した夏子は「部屋荒らし」、「ひったくり」そして「追跡」と謎の外人に追われる!
古代ユダヤの支族が日本に持ち込んだとされる「ソロモンの秘宝」と「アーク(聖櫃)」に入れられた「三種の神器」の隠し場所を夏子のお告げと客観的歴史事実を基に淡路、徳島、京都、長野、能登、伊勢とアークの追跡が始まる。
もちろん最後はお決まりの「ドンパチ」の格闘戦!
アークと夏子とMKの恋の行方をお時間のある人はゆるーく一緒に見守ってあげてください!
では、よろひこー (⋈◍>◡<◍)。✧♡!
隠れドS上司をうっかり襲ったら、独占愛で縛られました
加地アヤメ
恋愛
商品企画部で働く三十歳の春陽は、周囲の怒涛の結婚ラッシュに財布と心を痛める日々。結婚相手どころか何年も恋人すらいない自分は、このまま一生独り身かも――と盛大に凹んでいたある日、酔った勢いでクールな上司・千木良を押し倒してしまった!? 幸か不幸か何も覚えていない春陽に、全てなかったことにしてくれた千木良。だけど、不意打ちのように甘やかしてくる彼の思わせぶりな言動に、どうしようもなく心と体が疼いてしまい……。「どうやら私は、かなり独占欲が強い、嫉妬深い男のようだよ」クールな隠れドS上司をうっかりその気にさせてしまったアラサー女子の、甘すぎる受難!
あさきゆめみし
八神真哉
歴史・時代
山賊に襲われた、わけありの美貌の姫君。
それを助ける正体不明の若き男。
その法力に敵う者なしと謳われる、鬼の法師、酒呑童子。
三者が交わるとき、封印された過去と十種神宝が蘇る。
毎週金曜日更新

(学園 + アイドル ÷ 未成年)× オッサン ≠ いちゃらぶ生活
まみ夜
キャラ文芸
年の差ラブコメ X 学園モノ X オッサン頭脳
様々な分野の専門家、様々な年齢を集め、それぞれ一芸をもっている学生が講師も務めて教え合う教育特区の学園へ出向した五十歳オッサンが、十七歳現役アイドルと同級生に。
子役出身の女優、芸能事務所社長、元セクシー女優なども登場し、学園の日常はハーレム展開?
第二巻は、ホラー風味です。
【ご注意ください】
※物語のキーワードとして、摂食障害が出てきます
※ヒロインの少女には、ストーカー気質があります
※主人公はいい年してるくせに、ぐちぐち悩みます
【連載中】は、短時間で読めるように短い文節ごとでの公開になります。
(お気に入り登録いただけると通知が行き、便利かもです)
その後、誤字脱字修正や辻褄合わせが行われて、合成された1話分にタイトルをつけ再公開されます。
(その前に、仮まとめ版が出る場合もある、かも、しれない、可能性)
物語の細部は連載時と変わることが多いので、二度読むのが通です。
表紙イラストはAI作成です。
(セミロング女性アイドルが彼氏の腕を抱く 茶色ブレザー制服 アニメ)
題名が「(同級生+アイドル÷未成年)×オッサン≠いちゃらぶ」から変更されております
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる