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未来の縁
5☆友との約束
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「橘ーーっ!威津那ーっ!」
咲羅子は地面を叩いてカラスの嘴に飲まれた二人の名前を何度も叫ぶ。
ただ洞窟の中に咲羅子の叫ぶ声が響くだけだった。
「うぇ…なんで、私たち何も役に立たないのぉ……」
無力な咲羅子は涙をポロポロ流して泣きじゃくる。
「咲羅子は泣き虫だな…」
季節はあきれてそう言った。
咲羅子はキッと瞳を鋭くして季節に向き直り、
「季節は心配じゃないのっ⁉︎」
八つ当たりにするように責める。
「心配だが…無事に絶対に帰ってくると確信してる。」
季節は迷いなくそう言う。
「だから、泣かなくていい。お前に泣かれると俺は一番辛い…」
そう言って胸の中に抱きしめて背中をポンポン叩いてあやす。
「私、赤ちゃんじゃないもーーーーん!うわーーん!」
(結局、泣くのか……女は難しい)
と、季節は苦笑し二人が消えた事より途方に暮れる。
「信じて待つしかないだけなんて、ほんともどかしいな…ね、高良くん。」
槐寿は心のうちを口にする。
傍目からイチャイチャしてる二人をよそに、じっと固まって真剣な顔をしている高良にそう話しかけた。
「そうですね…なんとか自然を辿ってこの空間と繋がっていそうなのですが…」
高良は二人が消えた瞬間から思念を辿っていた。
高良の能力は人の思い、心が聴こえるのだから……
下にいるのは確かだ。
かすかに思念が感じられるのだが、次元の違う空間にも感じる。
まるで異界のようだ。
「晴綛様がいらっしゃってくださったら……」
と、呟いたら。
「そう言う事になると思って、流花に宮中を任せてきてやったぞいっ♪」
晴綛は何もない空間から這い出るように出てきた。
「は、晴綛さまっ⁉︎」
四人は突然の陰陽寮長の晴綛が現れた事にびっくりする。
「橘と威津那は八那果に捉えられてしまったか……」
晴綛は明るい雰囲気を収めて溜息を吐く。
(まぁ、それも計算のうちだがの……)
「晴綛様は全てを知っているのですか?」
高良は晴綛の心を聞いて不審げにたずねる。
(まぁな……)
高良には嘘は効かないので、心でそう答える。
(詳しくは知らんが、あやつが正気の時に約束したのを果たすだけじゃ。
それは親友としての約束。
『息子を頼む』といわれてな…)
ついにそんな日が来てしまったことを思い出せば約束そのものも心に強く思い、高良に聴かせてしまう。
二人でテレパシーで通じ合っていたら、突然、咲羅子に鞘で腹を打たれた。
「ぐふぉっ!」
「晴綛さ~ぁま~ぁ?そんな能力あるなら、カラスに乗るよりも橘を助けに行く事できたんじゃないんですか⁉︎」
咲羅子は長身の晴綛の襟元を掴んで引き寄せてキレる。
晴綛はお腹を抑えて耳を下げて震えて恐ろしい形相の咲羅子を見て青ざめる。
「威津那がここまで道筋を立ててくれたから、わかったんじゃ!」
晴綛は激烈な痛みに抗議するように理由を言う。
「橘は大変な目にあったんですよっ!」
「………」
晴綛は眉根を寄せて黙る。
晴綛は父として不甲斐なく今にも泣きそうで辛そうで咲羅子もその表情に釣られて、涙を零す。
もう白狐になって綺麗な体になったとしてもあの姿を思い出すと辛くなるし放置したような晴綛に泣きながら憤る。
「わしだって…できれば白狐にさせたくはなかった……」
(それは本心だな)
と、高良は晴綛を尊敬し心を見るよりも容疑者の一人として無意識に晴綛の、心をのぞいて嘘が本当か確かめてしまった。
「それで、晴綛様がいらっしゃったと言うことは、異界を開いて二人の元に行けるということですか?」
槐寿は先に話を進めるために促すが、
「わしがわざわざここまで来たのは、奴を封じるためだ」
「封じる?」
「橘たちがまだこの地下にいるかもしれないのに⁉︎」
咲羅子はまた鞘を構える。
さらにカチッと唾を弾く。
「あの二人は助けるから!もう年寄りをいじめないでくれぇっ!」
晴綛の怯えは本物だった。
昔本気であやかし退治と称して容赦なく幼い咲羅子にやられたことを思い出して本気で怯える。
「でも封印するって、どうやって…」
「一度、奴が作り出した異界の道を開けて、封印する…四神の力を借りてな」
高良の考える顔を見てニヤリと笑う。
「あっ、だからこのメンバーだったのですね!」
「麺婆?」
高良以外はそう漢字変換して首を傾げる。
「く、組み合わせだったのですね!」
高良は顔を赤くして言い換えた。
「確かに、四神の依代になれとか言ってたわよね」
「実際どうすればいい?」
「神誓いするんですか?」
高良は興奮冷めやらぬ表情で、
「普通の人間の体のみだと体に支障がきたすため、一度四神のあやかしを体に入れて四神宿します。」
と頬を染めて興奮して答えた。
「い、いいけど、実際にはどうやって?」
「これです!」
高良は懐から袋を出し四つの勾玉のペンダントを取り出した。
色は赤、青、黒、白、色の勾玉だった。
「あやかしの四神の力を込めた勾玉です。これを首にかけるとあやかしの四神の依代になります。」
玄武の槐寿は黒。
朱雀の咲羅子は赤
青龍の季節は青
白虎の白い勾玉を高良はじっと観る。
本来ならば紺太のための勾玉だ。
元々あやかしの四神の西の方位を守る役割をしているので、いらなかったのだが、お揃いが欲しいと言うので作った。
そして『四神のあやかし』としての力を込めてくれた。
「高良が、西の四神をやるか?」
「えっ。せっかく封印の修行したので……」
自分の力を見せつけてやりたいという気持ちもあったが、紺太の笑顔を思い出す。
紺太も付き合ってくれたことを思うと涙が勾玉に落ちた。
「しかた、ないですね…紺太の代わりをさせてください。」
そう言って勾玉を握った。
ぽんぽんと晴綛は高良の背中を優しく叩いた。
「わしが八那果を封じる…全身全霊かけてもな……皆わしの命令に従うようにな。」
四人は真剣に頷いた。
「あやつは更なる力を得たら奇門遁甲を使って逃げるだろう…それを四神の方位で封じるのだ」
「陰陽……両義、四象、八卦…八卦よりも拡大に大きい範囲で包囲を囲むということですね」
「そうだ。隣の国から作られた概念だが、中つ国の我が国は縦に広がる概念だ。そこから二人を引き上げる。ハルの神は陽。八那果は陰…揃えば理は叶う。」
陰陽師二人は理解できるが、三人は首を傾げつもこの状況から進展することに胸が熱くなった。
咲羅子は地面を叩いてカラスの嘴に飲まれた二人の名前を何度も叫ぶ。
ただ洞窟の中に咲羅子の叫ぶ声が響くだけだった。
「うぇ…なんで、私たち何も役に立たないのぉ……」
無力な咲羅子は涙をポロポロ流して泣きじゃくる。
「咲羅子は泣き虫だな…」
季節はあきれてそう言った。
咲羅子はキッと瞳を鋭くして季節に向き直り、
「季節は心配じゃないのっ⁉︎」
八つ当たりにするように責める。
「心配だが…無事に絶対に帰ってくると確信してる。」
季節は迷いなくそう言う。
「だから、泣かなくていい。お前に泣かれると俺は一番辛い…」
そう言って胸の中に抱きしめて背中をポンポン叩いてあやす。
「私、赤ちゃんじゃないもーーーーん!うわーーん!」
(結局、泣くのか……女は難しい)
と、季節は苦笑し二人が消えた事より途方に暮れる。
「信じて待つしかないだけなんて、ほんともどかしいな…ね、高良くん。」
槐寿は心のうちを口にする。
傍目からイチャイチャしてる二人をよそに、じっと固まって真剣な顔をしている高良にそう話しかけた。
「そうですね…なんとか自然を辿ってこの空間と繋がっていそうなのですが…」
高良は二人が消えた瞬間から思念を辿っていた。
高良の能力は人の思い、心が聴こえるのだから……
下にいるのは確かだ。
かすかに思念が感じられるのだが、次元の違う空間にも感じる。
まるで異界のようだ。
「晴綛様がいらっしゃってくださったら……」
と、呟いたら。
「そう言う事になると思って、流花に宮中を任せてきてやったぞいっ♪」
晴綛は何もない空間から這い出るように出てきた。
「は、晴綛さまっ⁉︎」
四人は突然の陰陽寮長の晴綛が現れた事にびっくりする。
「橘と威津那は八那果に捉えられてしまったか……」
晴綛は明るい雰囲気を収めて溜息を吐く。
(まぁ、それも計算のうちだがの……)
「晴綛様は全てを知っているのですか?」
高良は晴綛の心を聞いて不審げにたずねる。
(まぁな……)
高良には嘘は効かないので、心でそう答える。
(詳しくは知らんが、あやつが正気の時に約束したのを果たすだけじゃ。
それは親友としての約束。
『息子を頼む』といわれてな…)
ついにそんな日が来てしまったことを思い出せば約束そのものも心に強く思い、高良に聴かせてしまう。
二人でテレパシーで通じ合っていたら、突然、咲羅子に鞘で腹を打たれた。
「ぐふぉっ!」
「晴綛さ~ぁま~ぁ?そんな能力あるなら、カラスに乗るよりも橘を助けに行く事できたんじゃないんですか⁉︎」
咲羅子は長身の晴綛の襟元を掴んで引き寄せてキレる。
晴綛はお腹を抑えて耳を下げて震えて恐ろしい形相の咲羅子を見て青ざめる。
「威津那がここまで道筋を立ててくれたから、わかったんじゃ!」
晴綛は激烈な痛みに抗議するように理由を言う。
「橘は大変な目にあったんですよっ!」
「………」
晴綛は眉根を寄せて黙る。
晴綛は父として不甲斐なく今にも泣きそうで辛そうで咲羅子もその表情に釣られて、涙を零す。
もう白狐になって綺麗な体になったとしてもあの姿を思い出すと辛くなるし放置したような晴綛に泣きながら憤る。
「わしだって…できれば白狐にさせたくはなかった……」
(それは本心だな)
と、高良は晴綛を尊敬し心を見るよりも容疑者の一人として無意識に晴綛の、心をのぞいて嘘が本当か確かめてしまった。
「それで、晴綛様がいらっしゃったと言うことは、異界を開いて二人の元に行けるということですか?」
槐寿は先に話を進めるために促すが、
「わしがわざわざここまで来たのは、奴を封じるためだ」
「封じる?」
「橘たちがまだこの地下にいるかもしれないのに⁉︎」
咲羅子はまた鞘を構える。
さらにカチッと唾を弾く。
「あの二人は助けるから!もう年寄りをいじめないでくれぇっ!」
晴綛の怯えは本物だった。
昔本気であやかし退治と称して容赦なく幼い咲羅子にやられたことを思い出して本気で怯える。
「でも封印するって、どうやって…」
「一度、奴が作り出した異界の道を開けて、封印する…四神の力を借りてな」
高良の考える顔を見てニヤリと笑う。
「あっ、だからこのメンバーだったのですね!」
「麺婆?」
高良以外はそう漢字変換して首を傾げる。
「く、組み合わせだったのですね!」
高良は顔を赤くして言い換えた。
「確かに、四神の依代になれとか言ってたわよね」
「実際どうすればいい?」
「神誓いするんですか?」
高良は興奮冷めやらぬ表情で、
「普通の人間の体のみだと体に支障がきたすため、一度四神のあやかしを体に入れて四神宿します。」
と頬を染めて興奮して答えた。
「い、いいけど、実際にはどうやって?」
「これです!」
高良は懐から袋を出し四つの勾玉のペンダントを取り出した。
色は赤、青、黒、白、色の勾玉だった。
「あやかしの四神の力を込めた勾玉です。これを首にかけるとあやかしの四神の依代になります。」
玄武の槐寿は黒。
朱雀の咲羅子は赤
青龍の季節は青
白虎の白い勾玉を高良はじっと観る。
本来ならば紺太のための勾玉だ。
元々あやかしの四神の西の方位を守る役割をしているので、いらなかったのだが、お揃いが欲しいと言うので作った。
そして『四神のあやかし』としての力を込めてくれた。
「高良が、西の四神をやるか?」
「えっ。せっかく封印の修行したので……」
自分の力を見せつけてやりたいという気持ちもあったが、紺太の笑顔を思い出す。
紺太も付き合ってくれたことを思うと涙が勾玉に落ちた。
「しかた、ないですね…紺太の代わりをさせてください。」
そう言って勾玉を握った。
ぽんぽんと晴綛は高良の背中を優しく叩いた。
「わしが八那果を封じる…全身全霊かけてもな……皆わしの命令に従うようにな。」
四人は真剣に頷いた。
「あやつは更なる力を得たら奇門遁甲を使って逃げるだろう…それを四神の方位で封じるのだ」
「陰陽……両義、四象、八卦…八卦よりも拡大に大きい範囲で包囲を囲むということですね」
「そうだ。隣の国から作られた概念だが、中つ国の我が国は縦に広がる概念だ。そこから二人を引き上げる。ハルの神は陽。八那果は陰…揃えば理は叶う。」
陰陽師二人は理解できるが、三人は首を傾げつもこの状況から進展することに胸が熱くなった。
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