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九尾の復活
11☆母子
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母はとても美しく優しかった。
二人を平等に愛し育ててくれた。
母を取りっ子するほど互いに独り占めをしたいほどに愛していた。
けれど、焔を庇って亡くなった事を許せなかった威津那は焔の心を傷つけて狂わせた。
母の注意を聞かずに木材の周りで隠れん坊して、倒れてきた木材の下敷きになるのを母にかばわれ母を死なせた事に心を壊した。
「俺はいつ死ぬの?」
と焔は父に訪ねた。
「教えてくれなければ今すぐ母さんのところに逝く……」
と脅した。
けどれど母の御霊は威津那の眷属に宿っている。
ずるい、ずるい、ずるい、威津那はずるい。
いつも母を独り占めする。
けれど、それも母を死なせた罰……
いつになったら母を威津那から取り戻せるかも知った。
「どうせ若く死ぬなら好きなことして死ぬ。」
父に未来を聞かされてからそう決意した。
それに威津那に殺してほしかった……
自分を庇ったせいで母が死に、責められた時から……
そして最期は母に迎えに来てもらえると信じて……
威津那の眷属に御霊を宿す母を奪い返せる希望を信じて……
「…母…さん…やっと……」
焔は母に手を伸ばすと母は焔の手を握る。
シワシワになった焔の瞳に涙がこぼれる。
そしてポロポロと母も涙を流す。
「あなたを置いて逝けなかったの……狂わすほどの心を傷を負わせてごめんなさい……焔の最後の時は一緒に逝くと決めていたの…だから、威津那のカラスに留まっていたの…あなたの最後の宿命を変えるために……兄弟で殺し合いをさせたくなかった」
ただそれだけのために、威津那の眷属に御霊を宿していた。
「威津那はこうなる事を…見たのか?」
焔は威津那の方を見て問う。
知っていたならば威津那はやはり自分と双子だとそっくりだと確信する。
「さぁ……正直忘れていたよ…」
威津那は苦笑した。
本当に忘れていたのだ。
「バカだなぁ…威津那は…」
声音も枯れ果ててきているが、弟に対する親しみの声音だった。
「僕が原因で狂ってしまったならすまなかった……」
初めて兄の苦しみを理解した……
ここまで苦しんでいたなんて、思いもよらなかった。
焔は家族をとても愛していた。
父も母も、弟の威津那の事も…それ以外いらないほどに、家族一人欠けてしまい、焔の心は狂い、ひねくれ、残虐性をもった禍々しい呪詛を身に宿す一族の本性を解き放し今の状態だ。
「だけど、橘にしたことは絶対に許すことはできない……」
威津那は怒りを込めて強く宣言する。
威津那はもっと橘にした事の百倍は残虐に痛めつけてやりたい…という思いはあるが、焔と双子だと思うから、母に止められて、やらなくてよかったと思う。
それは焔と同じ残虐性を解き放つことになったと思う。
実際にレッドスパイにやってきた事は焔とかわらないのだから……
「好き勝手…本能のままにして生きてきたことは後悔などない……威津那は一生俺を恨んで生きろ……それが俺を側に感じてもらえる唯一のことなんだからな……」
死ぬ間際になっても威津那に執着する。
「やっぱり狂ってるな。この男。大妖怪に我に近い考えをもっている」
菊は呆れて感心し焔を評価する。
「もう一度私の中に戻っておいで、そしていつか、今度こそちゃんとした人に生まれ変わろうね……」
母は大カラスのカーちゃんになって焔を飲み命を昇華させた。
母は胸に赤子になった焔を抱き黄泉へ逝くまえに威津那に
「威津那も…ごめんね…それと橘さんと仲良くね…」
「うん…」
「八那果……父さんは…日和国を愛しすぎて狂ってしまった…あなたは未来が見えるからわかるでしょ……?」
未来だけではなく気持ちも痛いほどわかる。
威津那は神誓いを成功させるほどに陛下も日和も愛している……
父は日和を本来の日和に戻したいために狂っているのだ……それは本来ならば正しいことかもしれない……
「だけどそれは、『今』じゃない…僕達は平穏な時がほしいんだ……今平和じゃなきゃ駄目なんだ。そのことが大切だと思うよ……」
威津那は確信して言う。
自分が生きる範囲での未来は見える。未来は不安定だ。
平和さえも…だからその幸せを陛下とともに歩んでいくのが日和国民…神誓いした僕の役目だ。
「だから僕は父を止める…何があろうとも……」
母の御霊は立派な人として大人になった息子に安心したように微笑んで焔を連れて黄泉へ逝った。
二人を平等に愛し育ててくれた。
母を取りっ子するほど互いに独り占めをしたいほどに愛していた。
けれど、焔を庇って亡くなった事を許せなかった威津那は焔の心を傷つけて狂わせた。
母の注意を聞かずに木材の周りで隠れん坊して、倒れてきた木材の下敷きになるのを母にかばわれ母を死なせた事に心を壊した。
「俺はいつ死ぬの?」
と焔は父に訪ねた。
「教えてくれなければ今すぐ母さんのところに逝く……」
と脅した。
けどれど母の御霊は威津那の眷属に宿っている。
ずるい、ずるい、ずるい、威津那はずるい。
いつも母を独り占めする。
けれど、それも母を死なせた罰……
いつになったら母を威津那から取り戻せるかも知った。
「どうせ若く死ぬなら好きなことして死ぬ。」
父に未来を聞かされてからそう決意した。
それに威津那に殺してほしかった……
自分を庇ったせいで母が死に、責められた時から……
そして最期は母に迎えに来てもらえると信じて……
威津那の眷属に御霊を宿す母を奪い返せる希望を信じて……
「…母…さん…やっと……」
焔は母に手を伸ばすと母は焔の手を握る。
シワシワになった焔の瞳に涙がこぼれる。
そしてポロポロと母も涙を流す。
「あなたを置いて逝けなかったの……狂わすほどの心を傷を負わせてごめんなさい……焔の最後の時は一緒に逝くと決めていたの…だから、威津那のカラスに留まっていたの…あなたの最後の宿命を変えるために……兄弟で殺し合いをさせたくなかった」
ただそれだけのために、威津那の眷属に御霊を宿していた。
「威津那はこうなる事を…見たのか?」
焔は威津那の方を見て問う。
知っていたならば威津那はやはり自分と双子だとそっくりだと確信する。
「さぁ……正直忘れていたよ…」
威津那は苦笑した。
本当に忘れていたのだ。
「バカだなぁ…威津那は…」
声音も枯れ果ててきているが、弟に対する親しみの声音だった。
「僕が原因で狂ってしまったならすまなかった……」
初めて兄の苦しみを理解した……
ここまで苦しんでいたなんて、思いもよらなかった。
焔は家族をとても愛していた。
父も母も、弟の威津那の事も…それ以外いらないほどに、家族一人欠けてしまい、焔の心は狂い、ひねくれ、残虐性をもった禍々しい呪詛を身に宿す一族の本性を解き放し今の状態だ。
「だけど、橘にしたことは絶対に許すことはできない……」
威津那は怒りを込めて強く宣言する。
威津那はもっと橘にした事の百倍は残虐に痛めつけてやりたい…という思いはあるが、焔と双子だと思うから、母に止められて、やらなくてよかったと思う。
それは焔と同じ残虐性を解き放つことになったと思う。
実際にレッドスパイにやってきた事は焔とかわらないのだから……
「好き勝手…本能のままにして生きてきたことは後悔などない……威津那は一生俺を恨んで生きろ……それが俺を側に感じてもらえる唯一のことなんだからな……」
死ぬ間際になっても威津那に執着する。
「やっぱり狂ってるな。この男。大妖怪に我に近い考えをもっている」
菊は呆れて感心し焔を評価する。
「もう一度私の中に戻っておいで、そしていつか、今度こそちゃんとした人に生まれ変わろうね……」
母は大カラスのカーちゃんになって焔を飲み命を昇華させた。
母は胸に赤子になった焔を抱き黄泉へ逝くまえに威津那に
「威津那も…ごめんね…それと橘さんと仲良くね…」
「うん…」
「八那果……父さんは…日和国を愛しすぎて狂ってしまった…あなたは未来が見えるからわかるでしょ……?」
未来だけではなく気持ちも痛いほどわかる。
威津那は神誓いを成功させるほどに陛下も日和も愛している……
父は日和を本来の日和に戻したいために狂っているのだ……それは本来ならば正しいことかもしれない……
「だけどそれは、『今』じゃない…僕達は平穏な時がほしいんだ……今平和じゃなきゃ駄目なんだ。そのことが大切だと思うよ……」
威津那は確信して言う。
自分が生きる範囲での未来は見える。未来は不安定だ。
平和さえも…だからその幸せを陛下とともに歩んでいくのが日和国民…神誓いした僕の役目だ。
「だから僕は父を止める…何があろうとも……」
母の御霊は立派な人として大人になった息子に安心したように微笑んで焔を連れて黄泉へ逝った。
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