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九尾の復活
4☆ハルの神の依代
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威津那のカーちゃんでたどり着いた場所は光もささぬ瘴気溢れた異界と現世の狭間のような樹海だった。
その中の尚更に大きな岩の祠があった。
「まるで、昔話の鬼ヶ島みたい……」
咲羅子は正直な感想を言った。
「そこが黒御足家の本拠地なのか?」
季節は威津那に尋ねる。
「本拠地というよりか入り口だね…そこからは異界と同じで目的がなきゃたどり着くことは難しい…」
威津那は橘の髪を食べているのでどこに橘がいるかわかる。
「それに本拠地は動くんだ…だから本来なら僕ですら見つけられないくらいなんだ。」
まだ本拠地を作ったのは十年前ほどだ。
「もし、一族が本拠地に集まっているなら、後々めんどくさいから全滅させちゃおう」
橘を危険な目に遭わした一族など滅びてしまえと容赦なく思っていることを高良は覗いて、
「そういう…ところ兄弟だよな……」
と、つぶやいた。
「なら早く橘を救わなくちゃだ……」
似ていると言われては双子だから仕方ないとは思っている。
だが、焔の場合は即死させるような優しいやつじゃない……苦しみを与えることを嬉々とする……
そのことを思うと橘の事がとても心配だ。
カラスの足跡のような血を紙に書いた矢が飛んできた。
槐寿は硬い木の盾を作り四人を守る。
さらに、高良があやかしの四神を依代として力を貸すように命じているので玄武の象徴の力を得た槐寿の能力は増している。
弓矢には呪詛がかけられて、特殊な能力がなかったらなんらかの呪いがかかって即死するよりも長く苦しむ呪いがかけられていると威津那がサラリと言うとみんな青ざめる。
「大変な場所にきたな……」
季節は正直な感想を漏らすが、半年前はこんなゲリラ戦は日常茶飯でその時の血湧き肉躍る覚えがよみがえる。
カーちゃんに呪いの弓矢が当たるとそこからキラキラと弓矢は沙銀の如く消えた。
威津那は手に黒い瘴気を吸い取るように集めて、力を蓄えようとしたが、黒い瘴気がキラキラと光り、白い光に変わる。
ハルの神の力で瘴気は浄化されている。
「瘴気が消えていく、うちなる力は吸い取ろうとしてるのに……」
威津那は今までの力の使い方とは感覚が違くて焦る。
「それじゃ、力使えないんじゃ…」
高良は心配する。
威津那の力の元は呪詛だ。
相殺して力ある能力も消えてしまうのではないだろうか?
「だけど、それは消えてないんだ…」
真剣な声で困った顔をする。
「おい、大丈夫か?」
季節も心配して言う。
「見て!島の瘴気の霧が消えて入口が見えてきたわ」
咲羅子は黒い鳥居とそこに数十人の黒い人間が丸わかりだ。
「も、げん、かい……」
威津那の手の上の浄化したものを数十匹のカラスに姿を変えて呪詛返しするように投げつけると、カラスの嘴に触れた人間は光の粒子となって消えていった。
そして、地面にカラスが到着すると瘴気溢れた黒い土地は光に食べられるようにキラキラとした埃を立てて普通の土地に戻る。
それは能力ある四人だからわかるのだ。
「すごいね…神様の力って…」
威津那は自分自身の力の異様さにびっくりして、みんなに同意を求める。
「ほんっとにな……」
四人同時に頷く。
この力はハルの神のそのものが降りてきて力を貸したと言う感覚だった。
だからこそ、『依代』なのだろう。
威津那自身が操るような感覚とは違うが、カラスに変えたのはその力を上手く依代の力と合わせて使えと言う感覚だった。
ハルの神は武神でもあるので荒々しい力を持っていると神夢のことはすっかり忘れてしまったが魂の奥で覚えている忘れかけた傷のようだ。
カーちゃんからみんな降りて、岩祠の扉の前に立つ。
威津那は呪詛の効果がなくなった矢の先端で指を切って扉に黒御足の呪詛の証の三本指でカラスの足跡の血を塗ると扉はゴゴゴという音を立てて開いた。
黒御足の血筋のものしか扉を開けることはできないようだった。
扉から下は地下に続く階段になっていた。
松明が転々と永遠に続くように深い場所に繋がっていると思う。
橘がいると,まだ生きているとさらに確信する。
「橘……」
威津那は胸が潰れそうなほどの不安を抱えながら地下を降りていく。
そして、辿り着いた場所は禍々しい気配色濃く感じる呪詛の祭壇にだどりついた。
そこは呪詛を作るための拷問室とも言える禁忌な場所でもあった…
その中の尚更に大きな岩の祠があった。
「まるで、昔話の鬼ヶ島みたい……」
咲羅子は正直な感想を言った。
「そこが黒御足家の本拠地なのか?」
季節は威津那に尋ねる。
「本拠地というよりか入り口だね…そこからは異界と同じで目的がなきゃたどり着くことは難しい…」
威津那は橘の髪を食べているのでどこに橘がいるかわかる。
「それに本拠地は動くんだ…だから本来なら僕ですら見つけられないくらいなんだ。」
まだ本拠地を作ったのは十年前ほどだ。
「もし、一族が本拠地に集まっているなら、後々めんどくさいから全滅させちゃおう」
橘を危険な目に遭わした一族など滅びてしまえと容赦なく思っていることを高良は覗いて、
「そういう…ところ兄弟だよな……」
と、つぶやいた。
「なら早く橘を救わなくちゃだ……」
似ていると言われては双子だから仕方ないとは思っている。
だが、焔の場合は即死させるような優しいやつじゃない……苦しみを与えることを嬉々とする……
そのことを思うと橘の事がとても心配だ。
カラスの足跡のような血を紙に書いた矢が飛んできた。
槐寿は硬い木の盾を作り四人を守る。
さらに、高良があやかしの四神を依代として力を貸すように命じているので玄武の象徴の力を得た槐寿の能力は増している。
弓矢には呪詛がかけられて、特殊な能力がなかったらなんらかの呪いがかかって即死するよりも長く苦しむ呪いがかけられていると威津那がサラリと言うとみんな青ざめる。
「大変な場所にきたな……」
季節は正直な感想を漏らすが、半年前はこんなゲリラ戦は日常茶飯でその時の血湧き肉躍る覚えがよみがえる。
カーちゃんに呪いの弓矢が当たるとそこからキラキラと弓矢は沙銀の如く消えた。
威津那は手に黒い瘴気を吸い取るように集めて、力を蓄えようとしたが、黒い瘴気がキラキラと光り、白い光に変わる。
ハルの神の力で瘴気は浄化されている。
「瘴気が消えていく、うちなる力は吸い取ろうとしてるのに……」
威津那は今までの力の使い方とは感覚が違くて焦る。
「それじゃ、力使えないんじゃ…」
高良は心配する。
威津那の力の元は呪詛だ。
相殺して力ある能力も消えてしまうのではないだろうか?
「だけど、それは消えてないんだ…」
真剣な声で困った顔をする。
「おい、大丈夫か?」
季節も心配して言う。
「見て!島の瘴気の霧が消えて入口が見えてきたわ」
咲羅子は黒い鳥居とそこに数十人の黒い人間が丸わかりだ。
「も、げん、かい……」
威津那の手の上の浄化したものを数十匹のカラスに姿を変えて呪詛返しするように投げつけると、カラスの嘴に触れた人間は光の粒子となって消えていった。
そして、地面にカラスが到着すると瘴気溢れた黒い土地は光に食べられるようにキラキラとした埃を立てて普通の土地に戻る。
それは能力ある四人だからわかるのだ。
「すごいね…神様の力って…」
威津那は自分自身の力の異様さにびっくりして、みんなに同意を求める。
「ほんっとにな……」
四人同時に頷く。
この力はハルの神のそのものが降りてきて力を貸したと言う感覚だった。
だからこそ、『依代』なのだろう。
威津那自身が操るような感覚とは違うが、カラスに変えたのはその力を上手く依代の力と合わせて使えと言う感覚だった。
ハルの神は武神でもあるので荒々しい力を持っていると神夢のことはすっかり忘れてしまったが魂の奥で覚えている忘れかけた傷のようだ。
カーちゃんからみんな降りて、岩祠の扉の前に立つ。
威津那は呪詛の効果がなくなった矢の先端で指を切って扉に黒御足の呪詛の証の三本指でカラスの足跡の血を塗ると扉はゴゴゴという音を立てて開いた。
黒御足の血筋のものしか扉を開けることはできないようだった。
扉から下は地下に続く階段になっていた。
松明が転々と永遠に続くように深い場所に繋がっていると思う。
橘がいると,まだ生きているとさらに確信する。
「橘……」
威津那は胸が潰れそうなほどの不安を抱えながら地下を降りていく。
そして、辿り着いた場所は禍々しい気配色濃く感じる呪詛の祭壇にだどりついた。
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