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神誓いの儀式
4☆一族、家族
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楽しい夕食会は終わり、愛しい橘と別れて浄化の部屋に入る。
とても幸せだった分、一人になると寂しさが増す。
他人の気持ちならば共感したが、自らこんな気持ちになるなんて……
「新鮮な気分だ…」
と口に出す。
寂しいのに新鮮……
どれだけ闇に侵され己が己で無くなっていたかを実感する。
他人事…いや、取り込む闇の念が悲しく、辛くて自らの心を守るために傍観していた。
闇の魂の器…という意識はあるけれど、念を受け入れるために自らを空っぽにした。
その分吸収した負の念は力となりこの身に昇華させている。
受け入れることは慣れていると言ってもいいかもしれない。
神誓いは神の力を受け入れることだと……
そして、陛下のために使うものになる。
覚悟はできてる……
陛下に愛の言霊を捧げるほど敬意をもっている。
一番懸念していることは自分自身よりも、橘の未来だ。
橘を白狐にさせないためにはどうしたらいいのだろう……?
白狐の未来ということは橘は死ぬということだ……
(僕の力で彼女を守れないということなのか?)
神誓いして、この力が使えなくなった時に焔があの時のように襲ってきたら?
そこに強い不安を感じた時、
「威津那殿の思念うざい……どうせなら口に出して呟いてくれ」
高良はたくさんの文献書物を弟の三鷹と一緒に持ってきてくれた。
浄化の部屋と言っても、独房の牢屋ではないので気を紛らわせる物を気をつかって持ってきてもらえる。
最初入れられた時は何もなかったために悶々と思念を吐き出していて迷惑だったのかもしれない。
橘がそばにいないと色々深い所まで意識が悶々としてしまうのだ。
そんな自分に改めて気づくきっかけにもなったが……
「いつも、迷惑かけてごめんね。」
威津那は申し訳なくて、正座をして深々と二人に頭を下げる。
「こっちも幼い弟たちの面倒見てもらってるしね、ね?兄さん」
「これは礼だな。」
「いやいや、僕が遊んでもらってる方だから」
威津那はとんでもない発言の照れ隠しを言う。
そんな威津那に兄弟二人は同時にぷっと吹き出して笑う。
威津那は素でボケたこと言ったことを照れて顔を真っ赤にさせる。
「威津那さんは面白い人ですよね…だからいつの間にか人に溶け込むんですね、ゴホッ…」
「大丈夫かい?」
威津那は三鷹を心配する。
「はい、ご心配ありがとうございます」
三鷹は柔和に微笑む。
「威津那殿と三鷹はどことなく似てるな」
高良は思ったことを言う。
「未来のお義兄さん…だからね?」
サキの強引さと堂々とした態度で確信したのもある。
サキは狙った獲物は何があろうと逃がさない性格をしていると橘に教えてもらった。
「ふふ、そうなれるといいですね」
三鷹は少し悲しそうな顔をする。
体が弱くて、大人になれるかと言う不安もあるのだ。
威津那は三鷹の手を取って赤い瞳で未来を見る。
「大丈夫、大人の君の姿が見えたから滋養をつけて健康になるんだよ」
そう言って頭を撫でるのは大人の余裕。
「やっぱり、大人だよな……」
と高良は感心して、憧れる。
威津那は人を魅了する物を持っている。
そのことに本人は無自覚だが…
威津那は頼んでおいた歴史の文献を読む。
それは、『あやかし』についてのこと。
あやかしについての文献にはやはり狐はつきものだと思うのだが、香茂家の文献には九尾の狐について一切伝えられていない。
それほど隠したいものならば、何処かに隠されてる?
いや、親戚に晴綛のようなあやかしが時たま出ていたら、狐の妖のことを書くことは無意味かもしれない…
だが、それでも九尾、白狐について探してしまう。
「知っていれば橘を白狐にしなくて済むかもしれない…でも、知らないほうがいいのか?)
「九尾の狐についての文献ほしいのか?」
高良はおにぎりとお茶を持って潔斎の部屋に来た。
不意のことに威津那はビクリとする。
「不純な動機じゃないからね!まじめに調べてるんだよ?」
今までのイズナの一族としても橘や神狐を管狐にしようとしていた過去を知る高良に言い訳する。
「だろうね。」
高良は本を退かせて持ってきた物を置く。
威津那は思考を闇に落とすこともあるけれど、時間を忘れて本や勉強にのめり込む癖がある。
なので、深夜といえど威津那のためにおにぎりを作って持ってきてくれる高良の心配りに感謝する。
さらに、
「適当に見繕って集めておいたよ。」
と、一冊の本を渡す。
「晴綛様から預かった阿部野家の方の秘伝の書、『将来の阿部野殿になるなら今のうちに色々知っておけ』とのことだよ」
そして高良は、晴綛のニヤリとした表情を真似し、
「『それを読んで悪さをしたらやはりスパイってことで橘に関係なく処すから、覚悟してろ』だってさ」
小指を見せる。
それは晴綛の最後の試しのような気がした。
そう言って、高良は自室に帰って行った。
威津那はどんな物なのかと…ワクワクして見てみたら家系図だった。
阿部野殿になった名前に丸がある。
女性の名前にも○で囲まれていた。
江戸時代からは男子のみしか生まれてない……晴綛の時代になって椿…高良の祖母が白狐になったと言うことだろうか?
「えっ……!」
晴綛が阿部野殿その娘の橘の横に線があり隣は『黒御足威津那』と書いてあった。
婿として認めてもらえたと思うと嬉しい。
嬉しすぎて緩む口元を抑える。
「認めてくれた…ということか…?」
まだ、晴綛には勝ててはいないけれど…それでも認めてもらえることは威津那にとって嬉しくこの温もりのある一族の一員になれたことがとても嬉しく思うのだった。
とても幸せだった分、一人になると寂しさが増す。
他人の気持ちならば共感したが、自らこんな気持ちになるなんて……
「新鮮な気分だ…」
と口に出す。
寂しいのに新鮮……
どれだけ闇に侵され己が己で無くなっていたかを実感する。
他人事…いや、取り込む闇の念が悲しく、辛くて自らの心を守るために傍観していた。
闇の魂の器…という意識はあるけれど、念を受け入れるために自らを空っぽにした。
その分吸収した負の念は力となりこの身に昇華させている。
受け入れることは慣れていると言ってもいいかもしれない。
神誓いは神の力を受け入れることだと……
そして、陛下のために使うものになる。
覚悟はできてる……
陛下に愛の言霊を捧げるほど敬意をもっている。
一番懸念していることは自分自身よりも、橘の未来だ。
橘を白狐にさせないためにはどうしたらいいのだろう……?
白狐の未来ということは橘は死ぬということだ……
(僕の力で彼女を守れないということなのか?)
神誓いして、この力が使えなくなった時に焔があの時のように襲ってきたら?
そこに強い不安を感じた時、
「威津那殿の思念うざい……どうせなら口に出して呟いてくれ」
高良はたくさんの文献書物を弟の三鷹と一緒に持ってきてくれた。
浄化の部屋と言っても、独房の牢屋ではないので気を紛らわせる物を気をつかって持ってきてもらえる。
最初入れられた時は何もなかったために悶々と思念を吐き出していて迷惑だったのかもしれない。
橘がそばにいないと色々深い所まで意識が悶々としてしまうのだ。
そんな自分に改めて気づくきっかけにもなったが……
「いつも、迷惑かけてごめんね。」
威津那は申し訳なくて、正座をして深々と二人に頭を下げる。
「こっちも幼い弟たちの面倒見てもらってるしね、ね?兄さん」
「これは礼だな。」
「いやいや、僕が遊んでもらってる方だから」
威津那はとんでもない発言の照れ隠しを言う。
そんな威津那に兄弟二人は同時にぷっと吹き出して笑う。
威津那は素でボケたこと言ったことを照れて顔を真っ赤にさせる。
「威津那さんは面白い人ですよね…だからいつの間にか人に溶け込むんですね、ゴホッ…」
「大丈夫かい?」
威津那は三鷹を心配する。
「はい、ご心配ありがとうございます」
三鷹は柔和に微笑む。
「威津那殿と三鷹はどことなく似てるな」
高良は思ったことを言う。
「未来のお義兄さん…だからね?」
サキの強引さと堂々とした態度で確信したのもある。
サキは狙った獲物は何があろうと逃がさない性格をしていると橘に教えてもらった。
「ふふ、そうなれるといいですね」
三鷹は少し悲しそうな顔をする。
体が弱くて、大人になれるかと言う不安もあるのだ。
威津那は三鷹の手を取って赤い瞳で未来を見る。
「大丈夫、大人の君の姿が見えたから滋養をつけて健康になるんだよ」
そう言って頭を撫でるのは大人の余裕。
「やっぱり、大人だよな……」
と高良は感心して、憧れる。
威津那は人を魅了する物を持っている。
そのことに本人は無自覚だが…
威津那は頼んでおいた歴史の文献を読む。
それは、『あやかし』についてのこと。
あやかしについての文献にはやはり狐はつきものだと思うのだが、香茂家の文献には九尾の狐について一切伝えられていない。
それほど隠したいものならば、何処かに隠されてる?
いや、親戚に晴綛のようなあやかしが時たま出ていたら、狐の妖のことを書くことは無意味かもしれない…
だが、それでも九尾、白狐について探してしまう。
「知っていれば橘を白狐にしなくて済むかもしれない…でも、知らないほうがいいのか?)
「九尾の狐についての文献ほしいのか?」
高良はおにぎりとお茶を持って潔斎の部屋に来た。
不意のことに威津那はビクリとする。
「不純な動機じゃないからね!まじめに調べてるんだよ?」
今までのイズナの一族としても橘や神狐を管狐にしようとしていた過去を知る高良に言い訳する。
「だろうね。」
高良は本を退かせて持ってきた物を置く。
威津那は思考を闇に落とすこともあるけれど、時間を忘れて本や勉強にのめり込む癖がある。
なので、深夜といえど威津那のためにおにぎりを作って持ってきてくれる高良の心配りに感謝する。
さらに、
「適当に見繕って集めておいたよ。」
と、一冊の本を渡す。
「晴綛様から預かった阿部野家の方の秘伝の書、『将来の阿部野殿になるなら今のうちに色々知っておけ』とのことだよ」
そして高良は、晴綛のニヤリとした表情を真似し、
「『それを読んで悪さをしたらやはりスパイってことで橘に関係なく処すから、覚悟してろ』だってさ」
小指を見せる。
それは晴綛の最後の試しのような気がした。
そう言って、高良は自室に帰って行った。
威津那はどんな物なのかと…ワクワクして見てみたら家系図だった。
阿部野殿になった名前に丸がある。
女性の名前にも○で囲まれていた。
江戸時代からは男子のみしか生まれてない……晴綛の時代になって椿…高良の祖母が白狐になったと言うことだろうか?
「えっ……!」
晴綛が阿部野殿その娘の橘の横に線があり隣は『黒御足威津那』と書いてあった。
婿として認めてもらえたと思うと嬉しい。
嬉しすぎて緩む口元を抑える。
「認めてくれた…ということか…?」
まだ、晴綛には勝ててはいないけれど…それでも認めてもらえることは威津那にとって嬉しくこの温もりのある一族の一員になれたことがとても嬉しく思うのだった。
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