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神誓いの儀式
口パク
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「橘」
と威津那は呼びかけて、声を発せずに威津那は口パクをする。
「ん、なに?聞こえない。」
橘は訝しみ首を傾げる。
(何かの呪詛?)
と瞬時に思ってしまうが
「ふふ、わざと声は出してないんだ。」
威津那はニコニコ子供みたいに純粋な笑顔で言う。
「ん?」
橘は尚更首を傾げる。
「唇の動きでわかって。」
そう言って、自分の口元を指差しす。
橘は威津那と口パクを合わせながら声に出していう。
『橘、かわいい。』
「うなっ!なんで声に出さないの!」
橘は顔を真っ赤にして抗議する。
「思ったことを口に出して言うの恥ずかしから趣向を変えてみたんだ。」
ということで、言葉をわざと口パクで表現したようだ。
その威津那の行為はまるで子供の遊びのようだが、
「戦時中声出せない時、口パクで判断、合図する事をしてたんだ」
威津那は懐かしいことを思う表情をするときは少し悲しそうに笑う。
決して、楽しい思い出では無いが戦友と過ごした日々はとても大切でもある。
「やっぱり……威津那は軍人さんやってたのね」
「ん?それはどういう事?」
「全くそういう素振りしないから、あの時の軍人さんが威津那さんということを最近ではすっかり忘れてたわ」
出会った時の思い出も今では曖昧になりつつあって悲しく感じていた。
出会った頃よりも長くいて深く知り合ってしまうと出会った時のことをついつい忘れてしまうし、都合よく脳内変換もしてしまうのだ。
「もう軍人の職業はこりごりだけどね…」
威津那は苦笑してため息を吐く。
好きで軍人をやっていたわけではなくお国のために何かできることが呪術を密かに使って敵を倒すことだった。
今は軍も解体されて、警察予備隊とか、自衛隊という帝国の軍が作れなくなった時点で未来に絶望している。
(それで自国を本当の意味で守れるのか……いや、僕が生きているうちは大丈夫かもしれないが、孫子の時代は不安が残る……)
威津那はふと未来の闇の考えにとらえられ一人固まり考え込む。
「威津那さーん考え込まないでー戻ってきてーっ!」
橘はヤッホーをする仕草で威津那にわざと呼びかける。
「あ、ごめんごめん。」
橘の声でハッとして我にかえり頭をかいて苦笑する。
「もう、私が見てないといつもそんな闇堕ちしてるんじゃないでしょうね?」
「………うん。」
威津那は子供みたいに、こくんと叱られた子供のように頷いた。
「もう…とっても不安だわ……」
橘はとても不安になる。
威津那を闇堕ちさせたくない。
何も考えさせたくないと切に思う。
威津那は口元を指して、口パクする。
橘はまたその口パクを声に出す。
『僕のそばから、離れないで』
「だから、口で言って!」
本当は甘いセリフなのに、なんだか微妙な気持ちで恥ずかしくもなる。
そんな橘を見て、威津那はいたずらっ子のように笑った。
「橘の会話も口パクでわかるよ、何か言ってみて」
橘は少し何を言おうか考えて、ほほ笑んで口をパクパクさせる。
そして、唇を指さす。
威津那は顔を真っ赤にして戸惑う。
橘は意地悪に迫るように近づいて、
『キスして……』
と口パクする。
威津那は顔を真っ赤にして、
「橘は積極的すぎるよ……」
ここは阿部野屋敷の自分の部屋だが、周りに、橘両親、姉、あやかしがひょっこり出ていないのを確認して威津那は意を決して唇を重ねた。
夜は寒くても、顔は熱い。
高鳴る胸も熱い…
「ふふふっ」
橘はとても満足気に幸せそうに微笑む。
そんな橘の可愛さが愛おしく、見惚れるし、まだ、物足りない気がする。
二人は、ぱくぱくと口を動かして同時に口パクする。
『もう一度……』
一度と言わず、愛おしく三回もキスをする。
『愛してるって口パクでいって』
「えっ!」
威津那は顔を真っ赤にする。
さっきよりも赤く目が泳ぐ。
「橘、調子乗りすぎ……」
橘の顔はどこか切実だった。
「口パクでいいから……ね?」
「結構、その言霊恥ずかしんだ…軽口で言えるようなものじゃないと思ってるから…口パクでも恥ずかしい…」
真っ赤な顔を押さえて乙女のようにいやいやをわざとする。
「軽口なら言えるの?」
「好きでもない人なら…本心じゃないし」
威津那は気まずいことを口走ったかと思って青ざめて口を隠す。
「たしかに言いそうよね……まだ日が浅い頃を思い出せば…」
橘の怒った、じとーという責める瞳が痛い。
橘を口説こうとして必死だったことを思い、いざって時に、妹みたいだと言ってしまうほど……威津那は照れ屋さんなのだ。
「うーん…じゃ、諦めるわ…ざんねんだけど…」
橘は本当にしょんぼりしている。
その意味は威津那には分からないが…
「橘、口元ちゃんと見て」
威津那はゆっくりと、口パクをする。
『橘を愛してる……』
威津那は真剣な瞳で橘が望む言葉を真剣な顔で口を動かす。
理解すると、涙をぽろりとこぼす。
「嬉しい…いつか、言霊に出していってね?」
「う、うん…でも、泣くほど嬉しいなら今、ちゃんと本気で言うよ…勇気ないのは男として恥だ」
橘のこぼす涙を優しく拭きながら、戸惑い、伝えたくなる。
そんな威津那の唇を人差し指で塞ぎ。
「その言霊は大切にして……そして、お役目が終わった時に欲しいの……」
橘は真剣に言う。
「ん?それはどう言うこと?」
「神誓い……威津那は陛下のためにその言霊をささげるの…それが神誓いの言霊なの」
本来なら神の問いに答える言霊を橘は教える。
「じゃ、ずっと言えないの?今ならまだ誓ってないから、言えるよ?」
橘に二度と伝えることが出来なくなるなんて思うと辛く思う。
「愛してる以外の言葉ならば…大丈夫。愛おしいとか、好きとか。英語ならあいらぶゆー?」
「英語はやだ…」
「もしもの話よ!」
「じゃ、口パクじゃなくて…」
またキスをする。
「これでも伝わるわ…」
じっと、何も言わず互いを見つめる……
「それに、私たちはお互いを想ってるけど、さらに陛下という尊い方を同じ気持ちで揺らがなく思う事はもっと強い絆になるわ」
橘は断言する。
「威津那さんを、嫌いになっても、同じ好きな大切な方があるってだけでまだ繋がってるって思えて本当の決別にはならないって感じよ」
「………橘に嫌われるのは魂が引き裂かれるほどの絶望に陥るよ……」
その時が来たように暗いオーラを放つ。
「もう!たとえばだって、でも、お互いに同じ好きな人がいれば共に頑張れる…そんな感じ…」
「うん、わかるよ……それは」
まだ納得いってない…と橘は思う。
「もし、私が先に逝っても、同じ大切な人を守っているのならば共にあると言う感覚よ」
と橘は説明するが、威津那はさらに悲しい顔をする。
「……橘は遠慮なく怖いことを言う…」
威津那は尚更落ち込む。
「怖くないわ。いつまでも威津那と心は同じだってことだから……」
子供をなぐさめるように頭を撫でる。
「それに、陛下を裏切るようなことがあれば……問答無用で心離れるからね……それだけは覚悟してよ」
橘の声は脅すように本気だ。
「尚更。神誓い頑張らなかではいけないね……」
威津那は苦笑した。
「どうせなら『愛してる』って言霊は人生が終わる直前に欲しいわね」
橘は思いつきで明るくいった。
「本当、恐ろしい事を言うね……」
「いいえ、なかなか『愛してる』といってくれない愛しい人に、最後に言ってもらえるのなんて素敵じゃない?」
威津那は少し考えて、ニコッと微笑む。
「そうだね、その時が来たら、君に告げるよ……」
「うん…」
「それまでは……」
そう言って見つめ合って互いに唇を重ねた……
と威津那は呼びかけて、声を発せずに威津那は口パクをする。
「ん、なに?聞こえない。」
橘は訝しみ首を傾げる。
(何かの呪詛?)
と瞬時に思ってしまうが
「ふふ、わざと声は出してないんだ。」
威津那はニコニコ子供みたいに純粋な笑顔で言う。
「ん?」
橘は尚更首を傾げる。
「唇の動きでわかって。」
そう言って、自分の口元を指差しす。
橘は威津那と口パクを合わせながら声に出していう。
『橘、かわいい。』
「うなっ!なんで声に出さないの!」
橘は顔を真っ赤にして抗議する。
「思ったことを口に出して言うの恥ずかしから趣向を変えてみたんだ。」
ということで、言葉をわざと口パクで表現したようだ。
その威津那の行為はまるで子供の遊びのようだが、
「戦時中声出せない時、口パクで判断、合図する事をしてたんだ」
威津那は懐かしいことを思う表情をするときは少し悲しそうに笑う。
決して、楽しい思い出では無いが戦友と過ごした日々はとても大切でもある。
「やっぱり……威津那は軍人さんやってたのね」
「ん?それはどういう事?」
「全くそういう素振りしないから、あの時の軍人さんが威津那さんということを最近ではすっかり忘れてたわ」
出会った時の思い出も今では曖昧になりつつあって悲しく感じていた。
出会った頃よりも長くいて深く知り合ってしまうと出会った時のことをついつい忘れてしまうし、都合よく脳内変換もしてしまうのだ。
「もう軍人の職業はこりごりだけどね…」
威津那は苦笑してため息を吐く。
好きで軍人をやっていたわけではなくお国のために何かできることが呪術を密かに使って敵を倒すことだった。
今は軍も解体されて、警察予備隊とか、自衛隊という帝国の軍が作れなくなった時点で未来に絶望している。
(それで自国を本当の意味で守れるのか……いや、僕が生きているうちは大丈夫かもしれないが、孫子の時代は不安が残る……)
威津那はふと未来の闇の考えにとらえられ一人固まり考え込む。
「威津那さーん考え込まないでー戻ってきてーっ!」
橘はヤッホーをする仕草で威津那にわざと呼びかける。
「あ、ごめんごめん。」
橘の声でハッとして我にかえり頭をかいて苦笑する。
「もう、私が見てないといつもそんな闇堕ちしてるんじゃないでしょうね?」
「………うん。」
威津那は子供みたいに、こくんと叱られた子供のように頷いた。
「もう…とっても不安だわ……」
橘はとても不安になる。
威津那を闇堕ちさせたくない。
何も考えさせたくないと切に思う。
威津那は口元を指して、口パクする。
橘はまたその口パクを声に出す。
『僕のそばから、離れないで』
「だから、口で言って!」
本当は甘いセリフなのに、なんだか微妙な気持ちで恥ずかしくもなる。
そんな橘を見て、威津那はいたずらっ子のように笑った。
「橘の会話も口パクでわかるよ、何か言ってみて」
橘は少し何を言おうか考えて、ほほ笑んで口をパクパクさせる。
そして、唇を指さす。
威津那は顔を真っ赤にして戸惑う。
橘は意地悪に迫るように近づいて、
『キスして……』
と口パクする。
威津那は顔を真っ赤にして、
「橘は積極的すぎるよ……」
ここは阿部野屋敷の自分の部屋だが、周りに、橘両親、姉、あやかしがひょっこり出ていないのを確認して威津那は意を決して唇を重ねた。
夜は寒くても、顔は熱い。
高鳴る胸も熱い…
「ふふふっ」
橘はとても満足気に幸せそうに微笑む。
そんな橘の可愛さが愛おしく、見惚れるし、まだ、物足りない気がする。
二人は、ぱくぱくと口を動かして同時に口パクする。
『もう一度……』
一度と言わず、愛おしく三回もキスをする。
『愛してるって口パクでいって』
「えっ!」
威津那は顔を真っ赤にする。
さっきよりも赤く目が泳ぐ。
「橘、調子乗りすぎ……」
橘の顔はどこか切実だった。
「口パクでいいから……ね?」
「結構、その言霊恥ずかしんだ…軽口で言えるようなものじゃないと思ってるから…口パクでも恥ずかしい…」
真っ赤な顔を押さえて乙女のようにいやいやをわざとする。
「軽口なら言えるの?」
「好きでもない人なら…本心じゃないし」
威津那は気まずいことを口走ったかと思って青ざめて口を隠す。
「たしかに言いそうよね……まだ日が浅い頃を思い出せば…」
橘の怒った、じとーという責める瞳が痛い。
橘を口説こうとして必死だったことを思い、いざって時に、妹みたいだと言ってしまうほど……威津那は照れ屋さんなのだ。
「うーん…じゃ、諦めるわ…ざんねんだけど…」
橘は本当にしょんぼりしている。
その意味は威津那には分からないが…
「橘、口元ちゃんと見て」
威津那はゆっくりと、口パクをする。
『橘を愛してる……』
威津那は真剣な瞳で橘が望む言葉を真剣な顔で口を動かす。
理解すると、涙をぽろりとこぼす。
「嬉しい…いつか、言霊に出していってね?」
「う、うん…でも、泣くほど嬉しいなら今、ちゃんと本気で言うよ…勇気ないのは男として恥だ」
橘のこぼす涙を優しく拭きながら、戸惑い、伝えたくなる。
そんな威津那の唇を人差し指で塞ぎ。
「その言霊は大切にして……そして、お役目が終わった時に欲しいの……」
橘は真剣に言う。
「ん?それはどう言うこと?」
「神誓い……威津那は陛下のためにその言霊をささげるの…それが神誓いの言霊なの」
本来なら神の問いに答える言霊を橘は教える。
「じゃ、ずっと言えないの?今ならまだ誓ってないから、言えるよ?」
橘に二度と伝えることが出来なくなるなんて思うと辛く思う。
「愛してる以外の言葉ならば…大丈夫。愛おしいとか、好きとか。英語ならあいらぶゆー?」
「英語はやだ…」
「もしもの話よ!」
「じゃ、口パクじゃなくて…」
またキスをする。
「これでも伝わるわ…」
じっと、何も言わず互いを見つめる……
「それに、私たちはお互いを想ってるけど、さらに陛下という尊い方を同じ気持ちで揺らがなく思う事はもっと強い絆になるわ」
橘は断言する。
「威津那さんを、嫌いになっても、同じ好きな大切な方があるってだけでまだ繋がってるって思えて本当の決別にはならないって感じよ」
「………橘に嫌われるのは魂が引き裂かれるほどの絶望に陥るよ……」
その時が来たように暗いオーラを放つ。
「もう!たとえばだって、でも、お互いに同じ好きな人がいれば共に頑張れる…そんな感じ…」
「うん、わかるよ……それは」
まだ納得いってない…と橘は思う。
「もし、私が先に逝っても、同じ大切な人を守っているのならば共にあると言う感覚よ」
と橘は説明するが、威津那はさらに悲しい顔をする。
「……橘は遠慮なく怖いことを言う…」
威津那は尚更落ち込む。
「怖くないわ。いつまでも威津那と心は同じだってことだから……」
子供をなぐさめるように頭を撫でる。
「それに、陛下を裏切るようなことがあれば……問答無用で心離れるからね……それだけは覚悟してよ」
橘の声は脅すように本気だ。
「尚更。神誓い頑張らなかではいけないね……」
威津那は苦笑した。
「どうせなら『愛してる』って言霊は人生が終わる直前に欲しいわね」
橘は思いつきで明るくいった。
「本当、恐ろしい事を言うね……」
「いいえ、なかなか『愛してる』といってくれない愛しい人に、最後に言ってもらえるのなんて素敵じゃない?」
威津那は少し考えて、ニコッと微笑む。
「そうだね、その時が来たら、君に告げるよ……」
「うん…」
「それまでは……」
そう言って見つめ合って互いに唇を重ねた……
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