113 / 161
高良と紺太
3☆高良と紺太の些細な喧嘩
しおりを挟む「あやかしの四神に会うには、異界を通らないといけないんだ。」
高良は紺太が開いた異界の道を通る。
洞穴のような道で紺太の狐火が高良と紺太を守るように、丸く明るく照らすが、前も後ろも真っ暗だ。
きっと、暗闇に飲まれたら一生現世に帰れないと高良は直感する。
「それに近道だし、遠回りしなくていいんだよね。タヌさん」
紺太は上機嫌で、頭の上に乗る狸に話しかける。
タヌさんと呼ばれた狸もコクコク頷く。
西の森に狸が住む自然がありその中の長がタヌさんだった。
紺太によく懐いた狸で頭の上や肩の方に回って襟巻きになったりして飼い主にベタベタな狸のように見える。
(よく懐いている以外普通の狸にしか見えない……)
「さらに今日は新月だから会合の日なんだよ。一気に勾玉もらえるようにお願いできるかも♪」
「そんな簡単にもらえるものなのか?」
高良は疑いの瞳で紺太を見る。
「高良がお願いしてくれたら叶うかも~?」
高良は紺太とは逆に機嫌が悪い。
それは紺太が本気に感じられないし、途中で思考を読まれないように何故か自らに術をかけたことが高良は正直気に食わない。
「ほんとに、その狸と結ばれたいのか?」
疑うことばかり問うてしまう。
「うん!運命の相手なんだって。運命の恋には逆らえないよね……」
まだ不審な目で見る高良に紺太もムゥ……としてくる。
二人の共通点はプライドが結構高い…
「ばーちゃんみたいだけど、タヌさんは面倒見良くて、おかあさんみたいに、やさしい狸だよ。」
といって顔を赤らめて、
「……優しさに惚れたんだ……」
と小さく言って照れる。
その様子は本気で純粋な恋した少年だ。
「橘みたいに子供じゃないし、咲羅子みたいに、高飛車じゃないし、達観したお母さん…って感じ」
「そんなにお母さん系か好きなのか?」
お母さんが好きというのは恋愛対象に入るのだろうか?と高良は冷静に思う。
狸に化かされてるだけではと……
「僕も戦争で両親と生き別れたじゃん。母さんみたいな包み込むような優しい達観した人が好きなんだ。」
「ひと…」
高良は、そういって、「ふっ」と、無意識で鼻で笑ってしまった。
まずい…と思って高良は口を塞ぐ。
「……もう、そういう何もかも信じられないと言う現実主義な所は陰陽寮長になるのに失格になるよ!」
紺太は高良に指差して怒る。
高良はその指をバシッと叩き落として、
「陰陽道は基本統計学だ。現実の要素も必要なんだよ!」
高良は感情的になって言い返した。
いつもは澄まして冷静を保つことを旨としている高良は何かのキレ要素に触れられるとカッと怒り出す。
「「うーーーっ!」」
二人はいがみ合う。
同い年で正反対の性格だが遠慮がいらない分、喧嘩になってしまうのだ。
それは今回だけのことではないのだが、喧嘩して異界から迷子にさせられては困ると高良は冷静になろうと、気をなんとか落ち着かせようとすると、タヌさんが高良の肩に飛び登ってほっぺたに頭を寄せてきた。
「ん…」
まるで喧嘩はダメだと言ってるようだ。
すりすりすりすりすりすりすりしつこくて、
「わかったよ!喧嘩は終わり!
タヌさんはとても優しくて大人だよ……ほんとに………」
そういうと、タヌさんは高良の頬にぺろっと舐めて紺太の方に巻きつく。
「浮気はダメだよ。浮気は…もう。」
そう言って紺太は高良の手をぎゅっと取って、
「僕の手を離しちゃダメだからね。」
冷静を装う高良より紺太の方が態度が余裕で幾分大人だと思ってムキになる自分が馬鹿みたいに思え冷静を取り戻す。
「ああ…」
二人は手をさらに、ぎゅっとに握って異界を歩く。
「………タヌさんが人間になったら素敵な人間に化けるかもな……」
「うん。だから高良が四神たちにお願いしにいく目的忘れちゃダメだよ。」
「うん…絶対人間にしてやるよ…」
まだ素直な少年たちにタヌさんは微笑むのだった。
0
お気に入りに追加
10
あなたにおすすめの小説
小さなことから〜露出〜えみ〜
サイコロ
恋愛
私の露出…
毎日更新していこうと思います
よろしくおねがいします
感想等お待ちしております
取り入れて欲しい内容なども
書いてくださいね
よりみなさんにお近く
考えやすく
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではPixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
💚催眠ハーレムとの日常 - マインドコントロールされた女性たちとの日常生活
XD
恋愛
誰からも拒絶される内気で不細工な少年エドクは、人の心を操り、催眠術と精神支配下に置く不思議な能力を手に入れる。彼はこの力を使って、夢の中でずっと欲しかったもの、彼がずっと愛してきた美しい女性たちのHAREMを作り上げる。
〈社会人百合〉アキとハル
みなはらつかさ
恋愛
女の子拾いました――。
ある朝起きたら、隣にネイキッドな女の子が寝ていた!?
主人公・紅(くれない)アキは、どういったことかと問いただすと、酔っ払った勢いで、彼女・葵(あおい)ハルと一夜をともにしたらしい。
しかも、ハルは失踪中の大企業令嬢で……?
絵:Novel AI
CODE:HEXA
青出 風太
キャラ文芸
舞台は近未来の日本。
AI技術の発展によってAIを搭載したロボットの社会進出が進む中、発展の陰に隠された事故は多くの孤児を生んでいた。
孤児である主人公の吹雪六花はAIの暴走を阻止する組織の一員として暗躍する。
※「小説家になろう」「カクヨム」の方にも投稿しています。
※毎週金曜日の投稿を予定しています。変更の可能性があります。
ルナール古書店の秘密
志波 連
キャラ文芸
両親を事故で亡くした松本聡志は、海のきれいな田舎町に住む祖母の家へとやってきた。
その事故によって顔に酷い傷痕が残ってしまった聡志に友人はいない。
それでもこの町にいるしかないと知っている聡志は、可愛がってくれる祖母を悲しませないために、毎日を懸命に生きていこうと努力していた。
そして、この町に来て五年目の夏、聡志は海の家で人生初のバイトに挑戦した。
先輩たちに無視されつつも、休むことなく頑張る聡志は、海岸への階段にある「ルナール古書店」の店主や、バイト先である「海の家」の店長らとかかわっていくうちに、自分が何ものだったのかを知ることになるのだった。
表紙は写真ACより引用しています
ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる