上 下
103 / 161
九尾の狐の菊の陰謀

16☆菊の昔話

しおりを挟む
 約千年前、九尾の狐は大陸から日和の皇をたぶらかし国に混乱を滅びを与えるために訪れた。
 日和に訪れる前から、いろんな国の王を籠絡させ、たぶらかせば、どんな善政を行なっていたとしても、民を苦しめる暴君に変わった。
 そして殺戮と混乱が生じて国は滅びた。
 この性分は神が統治者を試すために使わせた妖狐のためだ。
 神は人を試すのが好きだ。
 神の試練に勝ち乗り越えたものにさらなる祝福を与え国が存続する。
 国はそれを繰り返し人々は幸せを謳歌するのだ。
 王の役割を忘れたものにはそれ相応の天罰が下るのは常のこと。
 九尾は目的を成し終えた後はいつも残念な溜息しか出なかった。
 けれど、祝皇は違った。
 この時代の祝皇が素晴らしいお方なだけというわけではない。
 国を成し得た御霊が永遠と受け継がれているのだ……
 そして、この美しい星を作りし神の一族の末裔。
 九尾の狐を作りし神とは格の違う存在の民族であった。
 その不思議な存在をじっくりそばで眺めて吟味をしていた。
 日和の国を思う祝皇を知れば知るほど吟味することは恐れ多く感じてきた。
 祝皇とは、民に寄り添う心、八百万の神に真摯な姿勢、民のために愛する者たちすべてをお知りになろうとして、無私を貫くその日和の皇に九尾の狐は惚れた。
 本来は、邪のものを使って后に上り詰めるのが常だが、邪な権力者から守るため妖力を使い帝を守った。
 帝も九尾が悪さをする者どはないとお知りになり恋心を抱かれた。
 そして、『九尾の狐の九はココと読み、ココは菊に通じるから、お前はココと名乗るが良い。
 帝の心がこもった名前でとてもうれしかった。
 生まれながらに妖艶の九尾の狐は純粋な乙女の恋心を抱いた幸せな気持ちでいっぱいになるほどに。
 この名の通り、帝のために有りたいと思ってもっと帝のお側で守りたいと思った。
 それをよく思わない、時の権力者と代々帝のお側で使えていたイズナの一族は、菊の存在が疎ましかった。
 イズナの一族は九尾が帝を籠絡して国を滅ぼすつもりだとして、菊を后の座になる前に追い出した。
 そのときに、八本の尻尾を奪われ今やどこかに封印された。
 九尾の狐の力の大部分を奪われて、命からがら逃げていた菊を助けたのは香茂と阿倍野の陰陽師。

 二人の陰陽師の力を借りて帝のお命の危機を救い、菊の汚名は晴れ、宮中のまもりとして、新しく皇居になったこの場所まで古都と同じく守ってくれているという事だった。
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

帝国海軍の猫大佐

鏡野ゆう
キャラ文芸
護衛艦みむろに乗艦している教育訓練中の波多野海士長。立派な護衛艦航海士となるべく邁進する彼のもとに、なにやら不思議な神様(?)がやってきたようです。 ※小説家になろう、カクヨムでも公開中※ ※第5回キャラ文芸大賞で奨励賞をいただきました。ありがとうございます※

神に恋した結界師〜二十三刻。

神雅小夢
キャラ文芸
 その昔、人間は皆、神だった。記憶を忘れてしまった神は人間になる。悪行をすれば鬼になる。  天女のごとき美しさを持つ双子が、一家で和菓子屋を営んでいた。  草木にしか興味がない呑気で天然ボケの姉の桜琴と、おてんばで恋愛至上主義だが、明るく物怪との戦闘が得意な妹の美桜。  実は二人は人間界で暮らす神だった。   結界師協会からの命令で、この和菓子屋に物怪調査で行った『深雪の貴公子』と謳われる結界師の神谷田一生は、桜琴に一目惚れをしてしまう。  が、一生には裏の顔があり、イケメン変人御曹司だった。  また天才的頭脳の持ち主で人一倍優しいが、家庭が複雑で全く素直になれない毒舌結界師の高星は幸せになれるのか?  そして人間社会に、どんどん増え続ける物怪の正体と原因は解明できるのか?  個性がすぎる神々と結界師が物怪と戦いながら、人間としても成長していくストーリー。  バトルあり。恋愛あり。一生と高星が主人公の話です。  ※残酷描写あり。ここに登場する神様はフィクションです。古事記の神様とは別物です。

迷子のあやかし案内人 〜京都先斗町の猫神様〜

紫音@キャラ文芸大賞参加中!
キャラ文芸
【キャラ文芸大賞に参加中です。投票よろしくお願いします!】 やさしい神様とおいしいごはん。ほっこりご当地ファンタジー。 *あらすじ*  人には見えない『あやかし』の姿が見える女子高生・桜はある日、道端で泣いているあやかしの子どもを見つける。 「”ねこがみさま”のところへ行きたいんだ……」  どうやら迷子らしい。桜は道案内を引き受けたものの、”猫神様”の居場所はわからない。  迷いに迷った末に彼女たちが辿り着いたのは、京都先斗町の奥にある不思議なお店(?)だった。  そこにいたのは、美しい青年の姿をした猫又の神様。  彼は現世(うつしよ)に迷い込んだあやかしを幽世(かくりよ)へ送り帰す案内人である。

古道具屋・伯天堂、千花の細腕繁盛記

月芝
キャラ文芸
明治は文明開化の頃より代を重ねている、由緒正しき古道具屋『伯天堂』 でも店を切り盛りしているのは、女子高生!? 九坂家の末っ子・千花であった。 なにせ家族がちっとも頼りにならない! 祖父、父、母、姉、兄、みんながみんな放浪癖の持ち主にて。 あっちをフラフラ、こっちをフラフラ、風の向くまま気の向くまま。 ようやく帰ってきたとおもったら、じきにまたいなくなっている。 そんな家族を見て育った千花は「こいつらダメだ。私がしっかりしなくちゃ」と 店と家を守る決意をした。 けれどもこの店が……、というか扱っている商材の中に、ときおり珍妙な品が混じっているのが困り物。 類が友を呼ぶのか、はたまた千花の運が悪いのか。 ちょいちょちトラブルに見舞われる伯天堂。 そのたびに奔走する千花だが、じつは彼女と九坂の家にも秘密があって…… 祖先の因果が子孫に祟る? あるいは天恵か? 千花の細腕繁盛記。 いらっしゃいませ、珍品奇品、逸品から掘り出し物まで選り取りみどり。 伯天堂へようこそ。

冥府の花嫁

七夜かなた
キャラ文芸
杷佳(わか)は、鬼子として虐げられていた。それは彼女が赤い髪を持ち、体に痣があるからだ。彼女の母親は室生家当主の娘として生まれたが、二十歳の時に神隠しにあい、一年後発見された時には行方不明の間の記憶を失くし、身籠っていた。それが杷佳だった。そして彼女は杷佳を生んですぐに亡くなった。祖父が生きている間は可愛がられていたが、祖父が亡くなり叔父が当主になったときから、彼女は納屋に押し込められ、使用人扱いされている。 そんな時、彼女に北辰家当主の息子との縁談が持ち上がった。 自分を嫌っている叔父が、良い縁談を持ってくるとは思わなかったが、従うしかなく、破格の結納金で彼女は北辰家に嫁いだ。 しかし婚姻相手の柊椰(とうや)には、ある秘密があった。

こども病院の日常

moa
キャラ文芸
ここの病院は、こども病院です。 18歳以下の子供が通う病院、 診療科はたくさんあります。 内科、外科、耳鼻科、歯科、皮膚科etc… ただただ医者目線で色々な病気を治療していくだけの小説です。 恋愛要素などは一切ありません。 密着病院24時!的な感じです。 人物像などは表記していない為、読者様のご想像にお任せします。 ※泣く表現、痛い表現など嫌いな方は読むのをお控えください。 歯科以外の医療知識はそこまで詳しくないのですみませんがご了承ください。

【完結】君の隣で息を吸う

かんな
キャラ文芸
――例え、君に好きな人がいても。私は何も知らないフリをして君の隣で息を吸う

死に戻り令嬢は千夜一夜を詠わない

里見透
キャラ文芸
陰謀により命を落とした令嬢は、時を遡り他人の姿で蘇る。 都を騒がす疫病の流行を前に、世間知らずの箱入り娘は、未来を変えることができるのか──!?

処理中です...