あやかしと神様の昔語り

花咲蝶ちょ

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九尾の狐の菊の陰謀

15☆尻尾が足りない

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「……尻尾が一本。」
 威津那は白狐の菊の御霊をみてそう呟いた……
 威津那が想像していたふっさふさの九本尻尾の妖狐を想像し期待を膨らませていたのに、ウカノミタマのように尻尾が一本……
「九尾の妖狐じゃない………」
 威津那は涙まじりの声で心底残念な絶望的な表情をして威津那は崩れ落ちた。
 地面に土下座して顔を伏せて泣いているようだ。
 橘はそんな威津那をよしよしと背中を撫でる。
《ふん…今は皇居を守る白狐様じゃ。》
 菊ははなでわらって、威津那を憎々しげに睨む。
《お前も…イズナの一族のくせに何も知らぬようだな…我の自慢の尻尾を奪った憎き一族のくせに……!》
 菊は静かに唸りながら炎をフーッと口からはみ出す。
 それほどに憎々しいようだ。
《私は本来ならばお前が創造するような華麗な姿を陛下にも殿下にもお見せしたかった!》
 今度は地団駄を踏む。
 まるで子供のようだと橘は思う。
 そして、少し自分似ているとも感じた。
「やっぱり、あの話は本当だったんだね。」
 殿下はそうおっしやり、瞳を輝かせて菊を見上げる。
 絶望した威津那とは真逆に純粋な子供のようなキラキラとした瞳で菊を見ていた。
 菊は透明な体の鼻面を殿下に差し出すと、殿下は形があるように撫でる。
「あの伝説をみんなに話してもいいかな?」
《殿下の意のままに……》
 菊は優しい声音でそう言った。
 隣に寄り添う遠子にも鼻面で頬を撫でた。
 それは遠子をのちの皇后と認めたと言うことだと思うと殿下も遠子も嬉しく感じた。

 殿下は千年前の知る限りのことをお語りになる。
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