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九尾の狐の菊の陰謀
12☆殿下と威津那
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殿下の呪術を封じる力は夕刻から朝日が上がるまで力が弱まるらしく威津那の力、陰陽寮の職員の能力は力を取り戻していた。
橘も狐耳の尻尾になったことが証拠である。
『眠る狐』に興奮気味の威津那にはあやかしの四神という守りがあって、紺太が任されている西の方位に本来ならば眠る狐が守るはずだが、眠っていて仕事をしないので、タヌキや猫又、半妖のあやかしが、常にその座を巡って争いを繰り返すこともある。
今はあやかしの四神を統轄する陰陽寮長の晴綛がウカ様の孫の紺太に西の守りを命じていた。
そしていまなぜだか、眠っているはずの狐が目を覚まして悪戯をして今に至るという。
夜はあやかしの時間だ。
陰の気の漂う夜の時間帯には陽の気は抑えられてしまうということは、眠る狐の妖力も上がっていると思うと一刻も早く殿下のご依頼を遂行せねばならない。
橘は威津那と共に陰陽寮の殿下の一室に失礼させていただいた。
槐寿は殿下の命令で部屋の護衛だ。
威津那が殿下のそばにいることがきがきではないが殿下の命令なので心を鬼にして人払をした。
追いかけ回していた高良も例外ではなくしぶしぶ自室に帰っていった。
「君が…黒御足の…」
皇太子殿下は威津那をまじまじと見つめる。
その視線を受け止めつつ首を傾げる。
「ご存知なのですか?」
黒御足家は父が裏切った事で禁句で陛下はご存じでも、殿下はそのことを存じ上げないと思っていた。
「黒御足家…宮中に使える代々の家、血族のことは忘れてはいけない、知らなくてはならないからね」
そう言って、微笑まられた。
そして、威津那の手を丁寧に取って包む。
威津那は手の優しさ、柔らかい雰囲気に感動で胸に熱いものを感じる。
「黒御足は陛下や皇族に対する恨み嫉みを一心に身に収め払い清めてきた一族……父君のことは残念だけれど宮中に黒御足の一族が宮中の職員として戻ってきてくれて陛下もお喜びになっていたよ。」
(まぁずっと悪戯はしていたんですけどね……)
橘はそういう瞳で威津那を見ていて気まずい。
今やそのことが不名誉恥ずかしくなってしまう。
陛下や殿下に合わす顔すら本当は無いし穴があったら入りたい……と内心強く思う。
その思いは償いのためにもどんなことがあろうとも誠心誠意努めようと威津那はさらに心に決めた。
「で、遠子さんは見つかった……?」
殿下は不安気で、少し期待を込めて橘にお尋ねになる。
「……それが……眠る狐の邪魔がことごとくすんでの所で入ってなかなか遠子さんにはお会いできなくて……宮中にはいらっしゃるようなのですけど……」
橘は、申し訳なくて耳と尻尾を下げる。
しょげている橘が哀れで、橘の手をぎゅっと威津那は握り、
「橘がやることなすことそばにいるように邪魔されるなら、僕が殿下の思い他人を召喚しましょうか?」
「……召喚?」
あまり聞きなれない言葉に殿下は首を傾げる。
橘はしょげていた狐耳を、ピンと立てて、
「それって、季節さんを連れ戻したような呪術?」
威津那は頷く。
「父様や高良の力が必要なんじゃ……」
まだあの二人は『眠る狐』に操られていると思うと難しいことなのでは?と橘は思うが、威津那はいたずらっ子のように微笑んで、
「この宮中にいるなら、大規模な祭壇はいらないよ。
やっぱり、彼女につながる何かを貸してくだされば簡単なことだよ。」
威津那は自信あり気にそう断言した。
橘も狐耳の尻尾になったことが証拠である。
『眠る狐』に興奮気味の威津那にはあやかしの四神という守りがあって、紺太が任されている西の方位に本来ならば眠る狐が守るはずだが、眠っていて仕事をしないので、タヌキや猫又、半妖のあやかしが、常にその座を巡って争いを繰り返すこともある。
今はあやかしの四神を統轄する陰陽寮長の晴綛がウカ様の孫の紺太に西の守りを命じていた。
そしていまなぜだか、眠っているはずの狐が目を覚まして悪戯をして今に至るという。
夜はあやかしの時間だ。
陰の気の漂う夜の時間帯には陽の気は抑えられてしまうということは、眠る狐の妖力も上がっていると思うと一刻も早く殿下のご依頼を遂行せねばならない。
橘は威津那と共に陰陽寮の殿下の一室に失礼させていただいた。
槐寿は殿下の命令で部屋の護衛だ。
威津那が殿下のそばにいることがきがきではないが殿下の命令なので心を鬼にして人払をした。
追いかけ回していた高良も例外ではなくしぶしぶ自室に帰っていった。
「君が…黒御足の…」
皇太子殿下は威津那をまじまじと見つめる。
その視線を受け止めつつ首を傾げる。
「ご存知なのですか?」
黒御足家は父が裏切った事で禁句で陛下はご存じでも、殿下はそのことを存じ上げないと思っていた。
「黒御足家…宮中に使える代々の家、血族のことは忘れてはいけない、知らなくてはならないからね」
そう言って、微笑まられた。
そして、威津那の手を丁寧に取って包む。
威津那は手の優しさ、柔らかい雰囲気に感動で胸に熱いものを感じる。
「黒御足は陛下や皇族に対する恨み嫉みを一心に身に収め払い清めてきた一族……父君のことは残念だけれど宮中に黒御足の一族が宮中の職員として戻ってきてくれて陛下もお喜びになっていたよ。」
(まぁずっと悪戯はしていたんですけどね……)
橘はそういう瞳で威津那を見ていて気まずい。
今やそのことが不名誉恥ずかしくなってしまう。
陛下や殿下に合わす顔すら本当は無いし穴があったら入りたい……と内心強く思う。
その思いは償いのためにもどんなことがあろうとも誠心誠意努めようと威津那はさらに心に決めた。
「で、遠子さんは見つかった……?」
殿下は不安気で、少し期待を込めて橘にお尋ねになる。
「……それが……眠る狐の邪魔がことごとくすんでの所で入ってなかなか遠子さんにはお会いできなくて……宮中にはいらっしゃるようなのですけど……」
橘は、申し訳なくて耳と尻尾を下げる。
しょげている橘が哀れで、橘の手をぎゅっと威津那は握り、
「橘がやることなすことそばにいるように邪魔されるなら、僕が殿下の思い他人を召喚しましょうか?」
「……召喚?」
あまり聞きなれない言葉に殿下は首を傾げる。
橘はしょげていた狐耳を、ピンと立てて、
「それって、季節さんを連れ戻したような呪術?」
威津那は頷く。
「父様や高良の力が必要なんじゃ……」
まだあの二人は『眠る狐』に操られていると思うと難しいことなのでは?と橘は思うが、威津那はいたずらっ子のように微笑んで、
「この宮中にいるなら、大規模な祭壇はいらないよ。
やっぱり、彼女につながる何かを貸してくだされば簡単なことだよ。」
威津那は自信あり気にそう断言した。
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