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九尾の狐の菊の陰謀
11☆正気と瘴気
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「なにか、困りごと?」
気配を消して威津那が橘の背後から耳元に囁く。
橘は威津那を背負い投げした。
「いたた、ちょっと脅かそうとしただけなのに……」
「ご、ごめんなさい。びっくりして思わず投げ飛ばしちゃった……」
不意打ちでびっくりしてドキドキする胸を押さえる。
威津那は橘の予想もつかない行動がツボに入ってお腹を抱えて大笑いするのを我慢して畳に寝転がり震えている。
そんな威津那を初めてみて新鮮な気持ちになったけれど、心を鬼にして、
「今は…ダメなの…きっとあなたは宮中から攫って逃げようとするから!」
と言い、橘は自分の体を抱きしめて身悶える。
「わかっているわ!あなたが私を愛していることを…!
でも、今は我慢して!一刻も早く……一刻も早く解決しなきゃいけない仕事があるの!」
三角関係の関係に悩ましい妄想を繰り広げて身を悶えるように体を抱きしめ体をくねらせる。
「威津那……絶対に術を解いてあげるから、今は攫おうとしないで!」
橘はわざとらしいくらいに悲劇なヒロインぶる。
「……大丈夫、晴綛様に頭ぶん殴られてたあと、ちゃんとした記憶が戻ったから」
晴綛に煙管で叩かれてコブができている所を触らせる。
「あら、ほんと、大きなコブ…大丈夫?痛くない?かち割られてない?」
「痛いけど…父親が娘を守るための制裁だと思えば…あえてこの痛みに耐えるよ」
もし自分に娘が生まれてきてそんなことをしたら煙管どころじゃ済まないかもしれない…と、想像してみる。
「私にした事も覚えてるの?」
橘の顔は少し赤い。
「う、うん…ごめんね。切羽詰まっちゃうと理性が効かないみたいだ。」
本当にあの時は焦っていた。
余裕がなく、とても切なく愛おしい気持ちに酔っていたとも言える。
あんな大胆なことをしたことを自ら恥ずかしがる。
からかうための軽い物ならまだしれず……
結ばれる事は互いの合意のもと行う行為ということが威津那には信念がある。
結婚前にすることでもないとも思う。
レッドスパイの命令で自らのものにはしようと頑張ってはいたけれど、互いに想い合うのならば尚更だ。
乙女のような考え方だが、その考えで今まで橘以外の女とそういう関係にならなかった自分を今更ながら自負している。
さらにどんな女ともすぐに寝てしまう焔と同じになりたくない反発心が強い。
焔に関わってさらに強く思う。
「へんな催眠術で何故か諦めなきゃいけない思いに反発してて苦しかったな……」
正直もう、あんな苦しく切ない思いはしたくない……狂ってしまいそうになる……
「でも、本当にそうなったら…私を攫ってくれる?」
「当然だよ……」
そう言って橘の唇に軽くキスをした。
「キスはいいの?」
「嫌かい?」
「止まらなくなりそう……」
「止めてもらわなきゃ、困ると思うよ…」
「⁉︎」
また繰り返しか?というほどタイミングよく邪魔が入る。
高良が困ったように、こちらをみていた瞳はやはり操られている。
「二人の本当の想いは黙っててあげるから……今すぐに別れた方がいい……」
高良はテレパシーで互いに思ってることを知っているから切なく思うが意を決して鋭い瞳をさらに釣り上げて、
「というか別れさす……」
そう言って、蛇の式神を放して二人を捕らえようとする。
「そうはさせないよ…」
威津那は瘴気でカラスを出して、高良の式神を食い破り阻止して陰陽寮から橘をお姫様抱っこのように抱えて逃げる。
橘はそんな展開になるとも思わなかったけれど、感無量すぎる場面に言葉にならない。
「これって、やっぱ逃避行…になっちゃうのかな?」
威津那は苦笑して高良の式神から逃げる。
「催眠だけじゃなくて、人も操る妖力を発揮するなんて、恐るべしだわ、『眠る狐』!」
ロマンチックな気分もほどほどにそう怒りを込めて言ってしまった。
「眠る…狐?」
はっ!と橘は威津那に狐のキーワードを聞かれないようにと思っていたのに滑らした口を塞ぐ。
「………ふふふ」
威津那の口から笑い声が漏れる。
「なんか、おもしろそうな、狐のあやかしに宮中がめちゃくちゃにされてるようだねぇ!」
狐に関して威津那は察しが早い。
操られている瞳ではなく黒御足の…イズナの血筋の本能が瞳が楽しげに爛々と輝いて見える。
「そのことについて、話すわ…」
外はすでに夕暮れになっていた。
気配を消して威津那が橘の背後から耳元に囁く。
橘は威津那を背負い投げした。
「いたた、ちょっと脅かそうとしただけなのに……」
「ご、ごめんなさい。びっくりして思わず投げ飛ばしちゃった……」
不意打ちでびっくりしてドキドキする胸を押さえる。
威津那は橘の予想もつかない行動がツボに入ってお腹を抱えて大笑いするのを我慢して畳に寝転がり震えている。
そんな威津那を初めてみて新鮮な気持ちになったけれど、心を鬼にして、
「今は…ダメなの…きっとあなたは宮中から攫って逃げようとするから!」
と言い、橘は自分の体を抱きしめて身悶える。
「わかっているわ!あなたが私を愛していることを…!
でも、今は我慢して!一刻も早く……一刻も早く解決しなきゃいけない仕事があるの!」
三角関係の関係に悩ましい妄想を繰り広げて身を悶えるように体を抱きしめ体をくねらせる。
「威津那……絶対に術を解いてあげるから、今は攫おうとしないで!」
橘はわざとらしいくらいに悲劇なヒロインぶる。
「……大丈夫、晴綛様に頭ぶん殴られてたあと、ちゃんとした記憶が戻ったから」
晴綛に煙管で叩かれてコブができている所を触らせる。
「あら、ほんと、大きなコブ…大丈夫?痛くない?かち割られてない?」
「痛いけど…父親が娘を守るための制裁だと思えば…あえてこの痛みに耐えるよ」
もし自分に娘が生まれてきてそんなことをしたら煙管どころじゃ済まないかもしれない…と、想像してみる。
「私にした事も覚えてるの?」
橘の顔は少し赤い。
「う、うん…ごめんね。切羽詰まっちゃうと理性が効かないみたいだ。」
本当にあの時は焦っていた。
余裕がなく、とても切なく愛おしい気持ちに酔っていたとも言える。
あんな大胆なことをしたことを自ら恥ずかしがる。
からかうための軽い物ならまだしれず……
結ばれる事は互いの合意のもと行う行為ということが威津那には信念がある。
結婚前にすることでもないとも思う。
レッドスパイの命令で自らのものにはしようと頑張ってはいたけれど、互いに想い合うのならば尚更だ。
乙女のような考え方だが、その考えで今まで橘以外の女とそういう関係にならなかった自分を今更ながら自負している。
さらにどんな女ともすぐに寝てしまう焔と同じになりたくない反発心が強い。
焔に関わってさらに強く思う。
「へんな催眠術で何故か諦めなきゃいけない思いに反発してて苦しかったな……」
正直もう、あんな苦しく切ない思いはしたくない……狂ってしまいそうになる……
「でも、本当にそうなったら…私を攫ってくれる?」
「当然だよ……」
そう言って橘の唇に軽くキスをした。
「キスはいいの?」
「嫌かい?」
「止まらなくなりそう……」
「止めてもらわなきゃ、困ると思うよ…」
「⁉︎」
また繰り返しか?というほどタイミングよく邪魔が入る。
高良が困ったように、こちらをみていた瞳はやはり操られている。
「二人の本当の想いは黙っててあげるから……今すぐに別れた方がいい……」
高良はテレパシーで互いに思ってることを知っているから切なく思うが意を決して鋭い瞳をさらに釣り上げて、
「というか別れさす……」
そう言って、蛇の式神を放して二人を捕らえようとする。
「そうはさせないよ…」
威津那は瘴気でカラスを出して、高良の式神を食い破り阻止して陰陽寮から橘をお姫様抱っこのように抱えて逃げる。
橘はそんな展開になるとも思わなかったけれど、感無量すぎる場面に言葉にならない。
「これって、やっぱ逃避行…になっちゃうのかな?」
威津那は苦笑して高良の式神から逃げる。
「催眠だけじゃなくて、人も操る妖力を発揮するなんて、恐るべしだわ、『眠る狐』!」
ロマンチックな気分もほどほどにそう怒りを込めて言ってしまった。
「眠る…狐?」
はっ!と橘は威津那に狐のキーワードを聞かれないようにと思っていたのに滑らした口を塞ぐ。
「………ふふふ」
威津那の口から笑い声が漏れる。
「なんか、おもしろそうな、狐のあやかしに宮中がめちゃくちゃにされてるようだねぇ!」
狐に関して威津那は察しが早い。
操られている瞳ではなく黒御足の…イズナの血筋の本能が瞳が楽しげに爛々と輝いて見える。
「そのことについて、話すわ…」
外はすでに夕暮れになっていた。
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