95 / 161
九尾の狐の菊の陰謀
8☆役目の重さ
しおりを挟む
「今は僕があやかしが悪さしないように見張ってるのにこんなことになっちゃうなんて、職務怠慢に思われちゃうのは困るし、なにより、ばーちゃんの縁を変えようとするなんて孫の僕が許せない!絶対妖術を解いて見せようね!橘!」
紺太は、『眠る狐』に自分の使命を邪魔された事を改めて考えるとプンプン怒る。
祖母のウカノミタマの力を上回ろうとするのも気に食わない。
紺太は見た目は温厚に見えて凄くプライドが高い。
「うん、それは、もちろんのことだわ!」
橘も同意するけれど、どこか、なだめるように、頷いているだけなような感じがして紺太は不服だ。
「橘と威津那の子供は殿下の瑞兆になる子供が生まれることは決まった事なのに変えちゃうのはいけない事なんだよ」
紺太はウカノミタマの孫のため、神に血筋の力がより強くあやかしや神の力の危険度を察することが出来る。
「それも、寿ぐ為の殿下と結ばれたら瑞兆が生まれないんだよ」
「そんなの困る!すっごく迷惑だわ!」
橘はやっと本当のことの重要さを察して青くなる。
恋愛云々だけではなく今後の将来の日和の吉兆に関わるほどなんて!
「そうだよ!一大事なの!わかった?」
「うん!」
橘は真剣にうなづく。
「橘の子が、僕の瑞兆になるの?」
あやかしごとに疎い殿下はにこにこと二人の様子を見ていたけれど、気になりお声をかけられた。
瑞兆とは神獣が帝位につく時に帝の世を寿ぐためにあらわれる。
(瑞兆が橘と威津那という、男性の子供とはいかなるものなのか?)と、不思議に思う。
「はい、ウカノミタマ様から私と威津那の子が殿下が皇になられた時の瑞兆になる神呪をしてもらったのです。」
そう言って、お腹を撫でる。
「あ、まだ、お腹の中には何も宿っていないですけどね」
と言って照れ笑いをする。
いつか威津那と結ばれて大切な子供ができると思うととても幸せな気分になるし未来は楽しいものになると思えて、
「陛下の御世もこれからもっと発展して素晴らしい世の中になる……平和になった日和を殿下の御世はきっとずっと平和で争いもなく国民豊かになること間違いなしです。」
橘は祝皇陛下治める未来を心から寿ぐ。
「そういう時代を私たちの子供や孫が日和を支えてくれる…そう信じてます。」
ニカッ!と花が咲いたような笑顔を殿下に向けた。
殿下はその笑顔に、未来を寿ぐ言霊に目を見開き、胸元に手を当てて、俯く。
「うん、橘の寿ぎはとても嬉しいよ…」
少し困ったお顔をなされて微笑む。
「殿下?」
「帝になるのは少し重圧の責任を感じちゃうよね……まだまだ先のことだけど、覚悟決めているけれど……」
殿下は日和を継ぐ重さを密かに一人で抱えていらっしゃると橘は畏れ多くも察する。
帝というものは周りに支えられていても帝としての悩みは誰にも相談できないものだと晴綛が言っていた事を思い出す。
「私たち国民は祝皇陛下が幸せになれるように幸せになります。」
橘は畏れ多くも殿下のお手に触れて瞳を合わせて伝える。
「祝皇陛下の治めていらっしゃる、我が国の幸せが、今も続いていることに心から安心しているんです。」
祝皇陛下、皇太子殿下、皇族殿下方が日和にいらっしゃることが国民の魂からの安心と幸せだということを橘は伝えた。
十年前はそれすらも危うかったのに今も続いて平和への道に進んでいる。
たとへ、無くしたものは多くても未来に進み無くしたものを取り戻すことだって出来るようになるはずと信じている。
それは、祝皇と国民とでいつまでも支え歩んでいく事が幸せに導くのだから……
殿下は橘の手を強く握り返して、
「うん……未来を寿ぐ言霊をありがとう。未来の瑞兆の母君」
と、お頷きになり、身を引き締められた。
「でも、神獣てことは、動物のはずなのに、人間なのかな?」
実はそこが一番疑問だった。
「狐耳尻尾の私みたいな、かわいいあやかしだったりして、カーちゃんみたいなカラスの御霊の場合もあるわね、黒御足の血筋も入るんだから…でも、それじゃ、人間を宿すって事じゃないわよね……?」
それとも、狐とカラスの合わさったみたこともないあやかしになった、子供が瑞兆だったらと……橘は悶々と瑞兆について妄想の世界に入ってしまうところに紺太は橘に声をかけて、
「そこは未来のお楽しみでいいよ、その方が楽しいよ。」
(まぁ、単純にばーちゃんそっくりな立派な神狐だと僕は想像するけどね)
と紺太は心の中で確信していた。
紺太は、『眠る狐』に自分の使命を邪魔された事を改めて考えるとプンプン怒る。
祖母のウカノミタマの力を上回ろうとするのも気に食わない。
紺太は見た目は温厚に見えて凄くプライドが高い。
「うん、それは、もちろんのことだわ!」
橘も同意するけれど、どこか、なだめるように、頷いているだけなような感じがして紺太は不服だ。
「橘と威津那の子供は殿下の瑞兆になる子供が生まれることは決まった事なのに変えちゃうのはいけない事なんだよ」
紺太はウカノミタマの孫のため、神に血筋の力がより強くあやかしや神の力の危険度を察することが出来る。
「それも、寿ぐ為の殿下と結ばれたら瑞兆が生まれないんだよ」
「そんなの困る!すっごく迷惑だわ!」
橘はやっと本当のことの重要さを察して青くなる。
恋愛云々だけではなく今後の将来の日和の吉兆に関わるほどなんて!
「そうだよ!一大事なの!わかった?」
「うん!」
橘は真剣にうなづく。
「橘の子が、僕の瑞兆になるの?」
あやかしごとに疎い殿下はにこにこと二人の様子を見ていたけれど、気になりお声をかけられた。
瑞兆とは神獣が帝位につく時に帝の世を寿ぐためにあらわれる。
(瑞兆が橘と威津那という、男性の子供とはいかなるものなのか?)と、不思議に思う。
「はい、ウカノミタマ様から私と威津那の子が殿下が皇になられた時の瑞兆になる神呪をしてもらったのです。」
そう言って、お腹を撫でる。
「あ、まだ、お腹の中には何も宿っていないですけどね」
と言って照れ笑いをする。
いつか威津那と結ばれて大切な子供ができると思うととても幸せな気分になるし未来は楽しいものになると思えて、
「陛下の御世もこれからもっと発展して素晴らしい世の中になる……平和になった日和を殿下の御世はきっとずっと平和で争いもなく国民豊かになること間違いなしです。」
橘は祝皇陛下治める未来を心から寿ぐ。
「そういう時代を私たちの子供や孫が日和を支えてくれる…そう信じてます。」
ニカッ!と花が咲いたような笑顔を殿下に向けた。
殿下はその笑顔に、未来を寿ぐ言霊に目を見開き、胸元に手を当てて、俯く。
「うん、橘の寿ぎはとても嬉しいよ…」
少し困ったお顔をなされて微笑む。
「殿下?」
「帝になるのは少し重圧の責任を感じちゃうよね……まだまだ先のことだけど、覚悟決めているけれど……」
殿下は日和を継ぐ重さを密かに一人で抱えていらっしゃると橘は畏れ多くも察する。
帝というものは周りに支えられていても帝としての悩みは誰にも相談できないものだと晴綛が言っていた事を思い出す。
「私たち国民は祝皇陛下が幸せになれるように幸せになります。」
橘は畏れ多くも殿下のお手に触れて瞳を合わせて伝える。
「祝皇陛下の治めていらっしゃる、我が国の幸せが、今も続いていることに心から安心しているんです。」
祝皇陛下、皇太子殿下、皇族殿下方が日和にいらっしゃることが国民の魂からの安心と幸せだということを橘は伝えた。
十年前はそれすらも危うかったのに今も続いて平和への道に進んでいる。
たとへ、無くしたものは多くても未来に進み無くしたものを取り戻すことだって出来るようになるはずと信じている。
それは、祝皇と国民とでいつまでも支え歩んでいく事が幸せに導くのだから……
殿下は橘の手を強く握り返して、
「うん……未来を寿ぐ言霊をありがとう。未来の瑞兆の母君」
と、お頷きになり、身を引き締められた。
「でも、神獣てことは、動物のはずなのに、人間なのかな?」
実はそこが一番疑問だった。
「狐耳尻尾の私みたいな、かわいいあやかしだったりして、カーちゃんみたいなカラスの御霊の場合もあるわね、黒御足の血筋も入るんだから…でも、それじゃ、人間を宿すって事じゃないわよね……?」
それとも、狐とカラスの合わさったみたこともないあやかしになった、子供が瑞兆だったらと……橘は悶々と瑞兆について妄想の世界に入ってしまうところに紺太は橘に声をかけて、
「そこは未来のお楽しみでいいよ、その方が楽しいよ。」
(まぁ、単純にばーちゃんそっくりな立派な神狐だと僕は想像するけどね)
と紺太は心の中で確信していた。
0
お気に入りに追加
10
あなたにおすすめの小説
小さなことから〜露出〜えみ〜
サイコロ
恋愛
私の露出…
毎日更新していこうと思います
よろしくおねがいします
感想等お待ちしております
取り入れて欲しい内容なども
書いてくださいね
よりみなさんにお近く
考えやすく
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではPixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
💚催眠ハーレムとの日常 - マインドコントロールされた女性たちとの日常生活
XD
恋愛
誰からも拒絶される内気で不細工な少年エドクは、人の心を操り、催眠術と精神支配下に置く不思議な能力を手に入れる。彼はこの力を使って、夢の中でずっと欲しかったもの、彼がずっと愛してきた美しい女性たちのHAREMを作り上げる。
〈社会人百合〉アキとハル
みなはらつかさ
恋愛
女の子拾いました――。
ある朝起きたら、隣にネイキッドな女の子が寝ていた!?
主人公・紅(くれない)アキは、どういったことかと問いただすと、酔っ払った勢いで、彼女・葵(あおい)ハルと一夜をともにしたらしい。
しかも、ハルは失踪中の大企業令嬢で……?
絵:Novel AI
CODE:HEXA
青出 風太
キャラ文芸
舞台は近未来の日本。
AI技術の発展によってAIを搭載したロボットの社会進出が進む中、発展の陰に隠された事故は多くの孤児を生んでいた。
孤児である主人公の吹雪六花はAIの暴走を阻止する組織の一員として暗躍する。
※「小説家になろう」「カクヨム」の方にも投稿しています。
※毎週金曜日の投稿を予定しています。変更の可能性があります。
ルナール古書店の秘密
志波 連
キャラ文芸
両親を事故で亡くした松本聡志は、海のきれいな田舎町に住む祖母の家へとやってきた。
その事故によって顔に酷い傷痕が残ってしまった聡志に友人はいない。
それでもこの町にいるしかないと知っている聡志は、可愛がってくれる祖母を悲しませないために、毎日を懸命に生きていこうと努力していた。
そして、この町に来て五年目の夏、聡志は海の家で人生初のバイトに挑戦した。
先輩たちに無視されつつも、休むことなく頑張る聡志は、海岸への階段にある「ルナール古書店」の店主や、バイト先である「海の家」の店長らとかかわっていくうちに、自分が何ものだったのかを知ることになるのだった。
表紙は写真ACより引用しています
ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる