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ドキドキデートと不穏の影
9☆一緒のベット☆エンド☆
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「橘に変なことするなよ?」
と、部屋に入る前に晴綛にニヤニヤ顔で煽られた。
「思う存分楽しませてもらいます」
と、返してやった。
「あらあら、威津那さんは大胆なのね」
義母の流花に言われると照れる。
「大胆なのにテレ屋ってところも、素敵なのよ」
「そうよね、晴綛も、のほほんとお気楽なのに、すっごくしっかりしてて真面目なところが好きよ」
と、娘に対抗するように言う。
「て、照れるじゃないか…」
晴綛は年甲斐もなく顔を赤く染める。
そんな晴綛に威津那はニコニコする。
「男の人は繊細だからあんまりいじめちゃだめよ?」
と、流花は口元に指をおいて注意した。
(かー様に言われてもなぁ……)
と橘は苦笑いをした。
☆
威津那は狐の橘を抱いて部屋のベッドに入る。
「デート……焔のせいで台無しになっちゃったな…ごめん」
「謝らないで、最後は台無しだったけどそれまでは楽しかったから満足よ」
「そうだね…橘は前向きで、なんでも楽しめて凄いね…そういうところ好きだよ…」
そう言って、狐の橘を布団の中で抱きしめた。
「もふもふの毛があったかいね」
「き、狐ですからね」
威津那は橘の背中を撫でる。
「緊張してる?」
「してるわよ…威津那は、ドキドキしてないでしょ?」
狐の獣の自分にドキドキなんかしないと思うと寂しい気がする。
「もし、君が人間の体で裸だったらと想像すると思うとドキドキするよ」
今は裸みたいな感覚ないけど……
「お尻のあたりばっか触られるのちょっと恥ずかしいかも…」
そう言うと、わざと、ポンポン触られた。
「ひゃ、もう、やめないと頭齧るからね!」
狐の口を思う存分クワッ!と開けて脅す。
本気で食べられると威津那は一瞬焦る。
「ごめんごめん」
そう言って丸々橘を脇に抱えて眠る。
橘はぺろっと威津那の鼻先を舐める。
そうすると、威津那は嬉しそうに笑う。
(もうっ!立派な大人なのに、その純粋な子供みたいな笑顔にドキドキしちゃうじゃないの!)
「本当ドキドキしてるね、眠れる?」
「興奮して眠れないかも……でも一緒に寝たい!」
それは早く結ばれたい!という意味も込めて。
温泉旅行の時は咲羅子カップルがいたから威津那は手を出さないと直感で理由をつけてベタベタ煽って見たけど…やはり、威津那は照れて遠慮がちだった。
今は狐の姿だから遠慮がないんだなと思うと。これはこれで貴重な経験かもと橘は前向きに考えて浮かれる。
「どんな橘だって好きだよ……君とこうしているだけであん
しん…して…ね…スー…」
そう言って眠りに落ちた。
橘は、威津那の眠り顔を見つめる。
本当、美形…好き…
ドキドキする…幸せすぎる…
じーっと見てたら威津那の影が勝手に揺らめいて、カーちゃんが現れて、つつかれる。
「な、何すんの!」
ウーッと橘が威津那のそばで騒いでも威津那は起きる気配はない。
カーちゃんは、翼でくちばしを抑えて、ふふふと笑う。
「焔がごめんなさいね…あの子、威津那が好きすぎて狂ってしまっているから…」
「喋った!」
橘はびっくりする。
「動物同士だから話せるのよ、きっと…あなたと話せて嬉しいわ。威津那とは意思疎通だから、会話してるとは言えないから…」
カーちゃんはそのことが楽しいのか、いろいろお話してくれた。
自分のこと、威津那の事、黒御足の事イズナの一族のこと…
けれど、橘も眠りに落ちて、カーちゃんと話したことを全てまるっきりわすれてしまった。
カーちゃんはそれも見越して橘と話していたようだ。
最期に、
「威津那のことお願いね…」
と言ってくれたことだけ覚えていた。
「ってことがあったの。覚えてたらよかったのに……でも、夢だったのかな?」
朝起きたらあやふやになりそうだっ
ので威津那にそういう事があったことを報告する。
「そうか、かーチャンが…」
橘は首を傾げる。
「カーちゃんって、母ちゃんのことだったのね」
「うん。そういう意味も込めてカーちゃん。いい名前でしょ?」
威津那は自慢気に改めてカーちゃんの名前付について胸を張る。
「………子供ができたら威津那には名前付けさせないから覚悟してね。」
改めて、宣言する橘だった。
と、部屋に入る前に晴綛にニヤニヤ顔で煽られた。
「思う存分楽しませてもらいます」
と、返してやった。
「あらあら、威津那さんは大胆なのね」
義母の流花に言われると照れる。
「大胆なのにテレ屋ってところも、素敵なのよ」
「そうよね、晴綛も、のほほんとお気楽なのに、すっごくしっかりしてて真面目なところが好きよ」
と、娘に対抗するように言う。
「て、照れるじゃないか…」
晴綛は年甲斐もなく顔を赤く染める。
そんな晴綛に威津那はニコニコする。
「男の人は繊細だからあんまりいじめちゃだめよ?」
と、流花は口元に指をおいて注意した。
(かー様に言われてもなぁ……)
と橘は苦笑いをした。
☆
威津那は狐の橘を抱いて部屋のベッドに入る。
「デート……焔のせいで台無しになっちゃったな…ごめん」
「謝らないで、最後は台無しだったけどそれまでは楽しかったから満足よ」
「そうだね…橘は前向きで、なんでも楽しめて凄いね…そういうところ好きだよ…」
そう言って、狐の橘を布団の中で抱きしめた。
「もふもふの毛があったかいね」
「き、狐ですからね」
威津那は橘の背中を撫でる。
「緊張してる?」
「してるわよ…威津那は、ドキドキしてないでしょ?」
狐の獣の自分にドキドキなんかしないと思うと寂しい気がする。
「もし、君が人間の体で裸だったらと想像すると思うとドキドキするよ」
今は裸みたいな感覚ないけど……
「お尻のあたりばっか触られるのちょっと恥ずかしいかも…」
そう言うと、わざと、ポンポン触られた。
「ひゃ、もう、やめないと頭齧るからね!」
狐の口を思う存分クワッ!と開けて脅す。
本気で食べられると威津那は一瞬焦る。
「ごめんごめん」
そう言って丸々橘を脇に抱えて眠る。
橘はぺろっと威津那の鼻先を舐める。
そうすると、威津那は嬉しそうに笑う。
(もうっ!立派な大人なのに、その純粋な子供みたいな笑顔にドキドキしちゃうじゃないの!)
「本当ドキドキしてるね、眠れる?」
「興奮して眠れないかも……でも一緒に寝たい!」
それは早く結ばれたい!という意味も込めて。
温泉旅行の時は咲羅子カップルがいたから威津那は手を出さないと直感で理由をつけてベタベタ煽って見たけど…やはり、威津那は照れて遠慮がちだった。
今は狐の姿だから遠慮がないんだなと思うと。これはこれで貴重な経験かもと橘は前向きに考えて浮かれる。
「どんな橘だって好きだよ……君とこうしているだけであん
しん…して…ね…スー…」
そう言って眠りに落ちた。
橘は、威津那の眠り顔を見つめる。
本当、美形…好き…
ドキドキする…幸せすぎる…
じーっと見てたら威津那の影が勝手に揺らめいて、カーちゃんが現れて、つつかれる。
「な、何すんの!」
ウーッと橘が威津那のそばで騒いでも威津那は起きる気配はない。
カーちゃんは、翼でくちばしを抑えて、ふふふと笑う。
「焔がごめんなさいね…あの子、威津那が好きすぎて狂ってしまっているから…」
「喋った!」
橘はびっくりする。
「動物同士だから話せるのよ、きっと…あなたと話せて嬉しいわ。威津那とは意思疎通だから、会話してるとは言えないから…」
カーちゃんはそのことが楽しいのか、いろいろお話してくれた。
自分のこと、威津那の事、黒御足の事イズナの一族のこと…
けれど、橘も眠りに落ちて、カーちゃんと話したことを全てまるっきりわすれてしまった。
カーちゃんはそれも見越して橘と話していたようだ。
最期に、
「威津那のことお願いね…」
と言ってくれたことだけ覚えていた。
「ってことがあったの。覚えてたらよかったのに……でも、夢だったのかな?」
朝起きたらあやふやになりそうだっ
ので威津那にそういう事があったことを報告する。
「そうか、かーチャンが…」
橘は首を傾げる。
「カーちゃんって、母ちゃんのことだったのね」
「うん。そういう意味も込めてカーちゃん。いい名前でしょ?」
威津那は自慢気に改めてカーちゃんの名前付について胸を張る。
「………子供ができたら威津那には名前付けさせないから覚悟してね。」
改めて、宣言する橘だった。
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