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桜庭の姫カップルと混浴温泉旅行

7☆おやすみからおはようまで

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「おやすみ、橘…」
「うん……」
やはり大きめな布団一組だけだった。
(女将さんったら、きっとこのドキドキ感を見てるんだわ)
 威津那もどきどきする。
 さっき、女性に対する「いろは」を教えてもらったばかりで落ち着かない。
 そう思っているのに、橘は……
「私も抱っこして欲しいな」
「そういうと、思った……」
 橘は積極的だから困る。
 だけど威津那は拒否はしない。
「わーいっ!は、はっくしゅん!」
「風邪?大丈夫?」
 橘の体は冷えていた。
「湯冷めして寒かったの」
 と言って威津那の脚の間に冷えた足を遠慮なく入れる。
「ちょ、橘……」
 理性が飛び鼻血だけなら良いけれど、隊長が教えてくれた事を試したくなってしまう。
「こうすると暖かいのよ?威津那はやったことないの?」
「ないかな……」
 橘は際どい経験してるなと、思っていたら、
「母様や姉様達と布団ひとつにしてやってたよ。とーさまも一緒にね」
「家族仲良いね。」
 家族で普通にやることなのかと理解して自分の浅はかさを反省する。
「威津那も家族よ……」
「うん…」
 ぬくぬくと温くていつの間に意識を眠りに手放してしまった。

「痛っ!」

 威津那は突然、顔を蹴られた。
何事かと思って上半身を起こして原因を見ると、橘の足が威津那の顔のほうにあった。
 寝相が悪くうつ伏せで寝転んでいた。
「橘……」
 
 橘の以外さをしって、笑ってしまう。寝息までかわいい。
 クシュンとくしゃみしてむにゃむにゃする。
(まだまだ体以外子供だなぁ…)
 警戒心のかけらもない。
そう…体以外、子ども……
 尻尾のせいで舐めまかしいお尻が丸見えで、足も片足をお腹のほうに入れて顔を蹴ったほうは伸びて寝ている。
「うーん。起こすのもなぁ……だけど風邪をひかれるのも……」
 威津那は仕方なく橘をそっと抱き上げて、布団に入れる。
 その時、胸元がはだけていてそれをびっくりして正す。
「はーっ…ヤバい…」
 一人ドキドキしてしまう。
 だけど、起きそうにないなら……
 舐めまかしい衿元を少し引き寄せて、谷間に顔を入れて胸元にキスを落とした。
 おでこにもキスをする。
「んっ……」
 橘は身じろぎするがまた寝てしまう。
 ほっとする。
 ちょっと罪悪感……でもバレずに触れて幸せな犯罪気分だ。
 寝相もいびきすら愛おしいと思ってしまう……
 いつもは悶々として眠れない夜、橘の事を思えば眠れてしまうが、実際に橘がそばにいて現実に腕の中にいる事に安らぎを感じる。
 足を股に突っ込まれてもすぐに寝てしまうほどに……
 威津那は橘を胸の中に抱きしめて心地の良い眠りに落ちた。

「ん。おはようー」
 橘はむくりと目を擦りながらおきた。
 威津那も朝日の眩しさに目が覚める。
「うっーーーん!よく寝たーぁ!」
 そのまま橘は背伸びをする。
「あっ……」
 威津那は橘の姿を見て、鼻血をだして固まっていた。
 襟元がだけて、乳首が浴衣の襟ぐちギリギリ見え隠れしていて逆に婀娜っぽい。
 さらに、腕を下ろした時の揺れ具合にやられた。
 朝日でよく見える白い肌に輝きゆれる膨らみに、下からみるアングルが…美しすぎて……目が離せない。
 自分霰も無い姿に気付いて胸を慌て隠すが遅かったようだ。
「威津那さん、おきて、起きてってば!」
 鼻血を垂らし目を開けたまま幸せな顔して気絶をした。
 その惨状をみた咲羅子と季節にあきれられるのだった。
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