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桜庭の姫カップルと混浴温泉旅行
1☆温泉旅行にご招待
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秋が深まって山々が美しい紅葉を迎えながらも寒さが身に染みてくる季節。
十一月中旬から年越しまで忙しい宮中行事が始まる前に温泉旅行をする事になった。
山の中にある旅館で、修験者や修行僧、巫女などが密かに通っているという、霊力が上がる秘湯中の秘湯で、香茂家が管理している。
香茂家の当主の高良の母が貸切で招待してくれた。
温泉は完全予約制で陰陽寮職員や舎人寮の能力者も利用されるほど、霊力が高まるともいう温泉なのだ。
「香茂家っていろんな事業をしているんだね?」
と、威津那は感心する。
「高良のお父さんは海外の香とかアンティークとか買い付けして飛び回ってるのよ。香茂グループの会長もしてるのよ」
「すごいね…ほんとのお金持ちなんだね」
(普通にレッドスパイの標的にされそう……)
と、威津那は思う。
レッドスパイは基本、国や金持ちを駆逐して金を巻き上げて、貧乏な可哀想な市民に金を与えると言う理想のもとで行動している奴らだ。
だが本質は自分たちが悪政を犯す王に成り代わり富を貪りたいと言う連中の集まりで、それすら気づかぬふりをして正義の味方ぶって金持ちを目の敵にする奴らもいる恐ろしい組織。
黒御足のレッドスパイはそのことは重々承知の上で与している。
それは、皇に成り代わりたいからと言う利害の一致からだ。
そのことは威津那は理解していた。
それは愚かなことだと思うが、橘を白狐にする目的があったから威津那は、協力しただけだった。
今は白狐にさせないように橘と結ばれる未来に変えるつもりだ。
威津那は香茂の事を心配するが、霊能力集団でもあるから返り討ちにもなるか……と考える。
橘は香茂家がいろんな分野に手を伸ばしていることを説明する。
宮中に血族を輩出しつつ、香道や茶道、花道、宮中の文化的素材を取り扱うための事業を主にしていて、特殊能力者のための修行場所なども提供してたりする。
今回は桜庭季節の体を癒すための慰安旅行として、咲羅子と橘と威津那の四人で温泉旅行だ。
まだ結婚もしていない男女二人で行かせるよりも世間体がいいということだった。
「こんな山伏な格好で汽車に乗ってお宿までって恥ずかしいわ。」
と、咲羅子も言う。
「じゃ、異界を繋いでやるから帰りは威津那のカラスで帰ってこい」
と、晴綛はそう言って送り出してくれた。
異界を通って出たところは宿の手前の道だった。
「うわぁーすごい紅葉!」
「綺麗ー!素敵!」
暗い異界の道から出た場所がとても素敵な光景だったので橘と咲羅子は瞳をキラキラさせて、キャーキャー騒ぐ。
「ほんと、美しいですね、隊長……隊長?」
威津那は季節を隊長とわざと言う。
季節の様子に威津那は、ギョッとする。
「……こんなことで涙が止まらぬとは…な……」
ガタイのいい無骨な季節は目元を抑えて涙していた。
「日和国は本当に美しいな……」
十年間の日和に帰って来れなかった、むしろ帰って来れるかわからなかったことを思うとその感動は人一倍なんだろうなと威津那は察した。
「季節、これからも毎年旅行にいきましょ!いろんな季節に!素敵な日和を探しにいきましょ」
「そうだな、新婚旅行も計画しような」
「ええ!そうね!」
結婚が決まっている二人は将来の計画を立てる。
「羨ましいなぁ…咲羅子姐さんは…」
橘と威津那は婚約は決まっているけれど結婚の予定は決まってない。
むしろレッドスパイを壊滅させなくては結婚できないのだ。
はい!と威津那は手をあげて、
「隊長!お二人の新婚旅行に僕たちもついていっていいですか?」
と、威津那はとんでもないことを言い出した。
「ダメに決まってんでしょ!」
咲羅子に鬼の形相で叱られた。
「ですよねーあはは」
威津那はわざと言ったようだった。
「しばらく山を歩いて霊力つけて温泉宿に向かうのが掟なの。宿まで頑張りましょう。」
「橘は来たことあるの?」
「家族旅行で何度か使わせてもらったことあるわよ…修行込みで…」
陰陽師となるのなら体力も霊力も必要と晴綛はスパルタを発揮して、幼い高良も連れて修行したことを話しながら、お宿を目指しつつ、紅葉も楽しんだ。
「隊長は歩くの早いですね…」
威津那は息を切らしながら登る。
「南方は広大だったからな…しかも暑いし変な病気する者もいるし…この時期の登山は最高だな」
と、咲羅子の手を取りながら歩く。
「そ、そうなのですか……」
(怪我して海外行かなくてよかった…)
と心底威津那は思った。
「意外と威津那一番体力ないわね?」
威津那の意外性を見つけて橘は嬉しい。
「呪術は天才的に使えるけど、体力には自信はないんだ。はは…」
自分の体力のなさに反省しつつ情けなくも、橘に坂道で手を引っ張ってもらって山を登る。
橘は半妖だけあってヒョイっと威津那を引っ張り上げてくれる。
普通の女の子に引っ張られたなら、男としての誇りをズタボロにされていたなぁ…と思ったりして苦笑しつつなんとか登り切った。
「ここが、香茂家ご自慢のお宿よ!」
目的地についたら立派な御殿のような旅館が建っていた。
十一月中旬から年越しまで忙しい宮中行事が始まる前に温泉旅行をする事になった。
山の中にある旅館で、修験者や修行僧、巫女などが密かに通っているという、霊力が上がる秘湯中の秘湯で、香茂家が管理している。
香茂家の当主の高良の母が貸切で招待してくれた。
温泉は完全予約制で陰陽寮職員や舎人寮の能力者も利用されるほど、霊力が高まるともいう温泉なのだ。
「香茂家っていろんな事業をしているんだね?」
と、威津那は感心する。
「高良のお父さんは海外の香とかアンティークとか買い付けして飛び回ってるのよ。香茂グループの会長もしてるのよ」
「すごいね…ほんとのお金持ちなんだね」
(普通にレッドスパイの標的にされそう……)
と、威津那は思う。
レッドスパイは基本、国や金持ちを駆逐して金を巻き上げて、貧乏な可哀想な市民に金を与えると言う理想のもとで行動している奴らだ。
だが本質は自分たちが悪政を犯す王に成り代わり富を貪りたいと言う連中の集まりで、それすら気づかぬふりをして正義の味方ぶって金持ちを目の敵にする奴らもいる恐ろしい組織。
黒御足のレッドスパイはそのことは重々承知の上で与している。
それは、皇に成り代わりたいからと言う利害の一致からだ。
そのことは威津那は理解していた。
それは愚かなことだと思うが、橘を白狐にする目的があったから威津那は、協力しただけだった。
今は白狐にさせないように橘と結ばれる未来に変えるつもりだ。
威津那は香茂の事を心配するが、霊能力集団でもあるから返り討ちにもなるか……と考える。
橘は香茂家がいろんな分野に手を伸ばしていることを説明する。
宮中に血族を輩出しつつ、香道や茶道、花道、宮中の文化的素材を取り扱うための事業を主にしていて、特殊能力者のための修行場所なども提供してたりする。
今回は桜庭季節の体を癒すための慰安旅行として、咲羅子と橘と威津那の四人で温泉旅行だ。
まだ結婚もしていない男女二人で行かせるよりも世間体がいいということだった。
「こんな山伏な格好で汽車に乗ってお宿までって恥ずかしいわ。」
と、咲羅子も言う。
「じゃ、異界を繋いでやるから帰りは威津那のカラスで帰ってこい」
と、晴綛はそう言って送り出してくれた。
異界を通って出たところは宿の手前の道だった。
「うわぁーすごい紅葉!」
「綺麗ー!素敵!」
暗い異界の道から出た場所がとても素敵な光景だったので橘と咲羅子は瞳をキラキラさせて、キャーキャー騒ぐ。
「ほんと、美しいですね、隊長……隊長?」
威津那は季節を隊長とわざと言う。
季節の様子に威津那は、ギョッとする。
「……こんなことで涙が止まらぬとは…な……」
ガタイのいい無骨な季節は目元を抑えて涙していた。
「日和国は本当に美しいな……」
十年間の日和に帰って来れなかった、むしろ帰って来れるかわからなかったことを思うとその感動は人一倍なんだろうなと威津那は察した。
「季節、これからも毎年旅行にいきましょ!いろんな季節に!素敵な日和を探しにいきましょ」
「そうだな、新婚旅行も計画しような」
「ええ!そうね!」
結婚が決まっている二人は将来の計画を立てる。
「羨ましいなぁ…咲羅子姐さんは…」
橘と威津那は婚約は決まっているけれど結婚の予定は決まってない。
むしろレッドスパイを壊滅させなくては結婚できないのだ。
はい!と威津那は手をあげて、
「隊長!お二人の新婚旅行に僕たちもついていっていいですか?」
と、威津那はとんでもないことを言い出した。
「ダメに決まってんでしょ!」
咲羅子に鬼の形相で叱られた。
「ですよねーあはは」
威津那はわざと言ったようだった。
「しばらく山を歩いて霊力つけて温泉宿に向かうのが掟なの。宿まで頑張りましょう。」
「橘は来たことあるの?」
「家族旅行で何度か使わせてもらったことあるわよ…修行込みで…」
陰陽師となるのなら体力も霊力も必要と晴綛はスパルタを発揮して、幼い高良も連れて修行したことを話しながら、お宿を目指しつつ、紅葉も楽しんだ。
「隊長は歩くの早いですね…」
威津那は息を切らしながら登る。
「南方は広大だったからな…しかも暑いし変な病気する者もいるし…この時期の登山は最高だな」
と、咲羅子の手を取りながら歩く。
「そ、そうなのですか……」
(怪我して海外行かなくてよかった…)
と心底威津那は思った。
「意外と威津那一番体力ないわね?」
威津那の意外性を見つけて橘は嬉しい。
「呪術は天才的に使えるけど、体力には自信はないんだ。はは…」
自分の体力のなさに反省しつつ情けなくも、橘に坂道で手を引っ張ってもらって山を登る。
橘は半妖だけあってヒョイっと威津那を引っ張り上げてくれる。
普通の女の子に引っ張られたなら、男としての誇りをズタボロにされていたなぁ…と思ったりして苦笑しつつなんとか登り切った。
「ここが、香茂家ご自慢のお宿よ!」
目的地についたら立派な御殿のような旅館が建っていた。
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