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桜庭の姫の婚約者を召喚してみる大魔法
4☆威津那の力量
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「桜庭の姫の婚約者を召喚したい?」
晴綛は流石に怪訝な顔をした。
「できるかどうかわかりませんが……もしヤスクニに御霊がおわすなら無理かもしれないですが……
異界から引き摺り込んで日和に召喚させればかえってこれるんじゃないかと、思いまして」
異界は時間や空間を越えることができる。
まだ、異界を作ることはできないが、晴綛に指導して貰えば簡単にできる自信がある。
「面白そうだがの……私情に力を貸すことは宮中職員としていかがなものかな……?」
晴綛は陰陽寮長の仕事に関してしごく真面目だった。
陰陽師の力は皇室、宮中のため、に使うものだ。
絶対に禁止というわけではないが、個人に用いるものではないと思っている。
ましてや宮中職員のためならば尚更だ。
「恐れながら、休日の日に阿倍野屋敷でならば私情でも構わないのではないでしょうか?」
なにも、宮中で力を使うことなどない。
異界と繋ぐ阿倍野屋敷で、行いたいと思っている。
「なら、朝早く相談すんな。宮中の仕事に関してかとおもったぞい!」
晴綛はニカッと笑って承諾した。
「わしの懸念としては、所々に施したわしの結界が綻ぶほどの力を使う事は勘弁したいものだがな……」
それは宮中に結界を張る陰陽寮長の仕事にやはり支障が出ると考える。
「僕が、主だって召喚します。」
「自信満々じゃな…それほどの自信がどこから湧いてくるんだ?」
晴綛は煙管を吹いて苦笑した。
晴綛は威津那の底知れぬ力を知っている。
妖力と技術力でなんとか威津那を押さえ込み負けさせ糸の呪術で魂を縛っている。
きっと、その糸さえも威津那は本気を出せば呪詛返しをすることもできるだろう……
橘に惚れていなかったら、橘と結ばれる運命ではなかったら、さしの勝負でどちらかが命を失うほどの事になっていただろう。
そんな威津那の力量を調べ、力を消耗させるにはいい機会かもしれないと考える。
レッドスパイを殲滅させることも重要だが、威津那の力量を調べるのも将来の阿部野殿候補を見極めるいい機会だと思う。
「あとは、桜庭の姫との相談だな…ん?」
晴綛は『桜庭』という姓に記憶がひっかかる。
「ここは日和強い思いを込めて祈りが届けば…祈り姫が思いを巡らせてその事も力を貸してくれるかも知れぬしな………はっ!」
晴綛は思い当たった。
そして、審神者の青い瞳を見開いて、天を仰ぎ誰かの話を聞き話し出す。
「……祈り姫の…御子…うむ」
「陰陽寮長?」
一人納得して独り言を呟く晴綛を威津那は怪訝そうに見る。
青い瞳をしているという事は神との交信中ということを橘から聞いたことがある。
「桜庭の姫の婚約者が無事に帰ってくる事は、かの方の願いでもあるからな……お前がいう召喚呪術を取り行おう。」
今度は歳の割には屈託ない笑顔でそう言った。
「僕の遊び心を聞き入れていただき、ありがとうございます。」
呪術に関する事は真剣にやるつもりだが本当に、その日に連れてこられるかはその時次第運次第で相談したことがすんなり通ったことに内心驚きながらも楽しみになった。
晴綛は流石に怪訝な顔をした。
「できるかどうかわかりませんが……もしヤスクニに御霊がおわすなら無理かもしれないですが……
異界から引き摺り込んで日和に召喚させればかえってこれるんじゃないかと、思いまして」
異界は時間や空間を越えることができる。
まだ、異界を作ることはできないが、晴綛に指導して貰えば簡単にできる自信がある。
「面白そうだがの……私情に力を貸すことは宮中職員としていかがなものかな……?」
晴綛は陰陽寮長の仕事に関してしごく真面目だった。
陰陽師の力は皇室、宮中のため、に使うものだ。
絶対に禁止というわけではないが、個人に用いるものではないと思っている。
ましてや宮中職員のためならば尚更だ。
「恐れながら、休日の日に阿倍野屋敷でならば私情でも構わないのではないでしょうか?」
なにも、宮中で力を使うことなどない。
異界と繋ぐ阿倍野屋敷で、行いたいと思っている。
「なら、朝早く相談すんな。宮中の仕事に関してかとおもったぞい!」
晴綛はニカッと笑って承諾した。
「わしの懸念としては、所々に施したわしの結界が綻ぶほどの力を使う事は勘弁したいものだがな……」
それは宮中に結界を張る陰陽寮長の仕事にやはり支障が出ると考える。
「僕が、主だって召喚します。」
「自信満々じゃな…それほどの自信がどこから湧いてくるんだ?」
晴綛は煙管を吹いて苦笑した。
晴綛は威津那の底知れぬ力を知っている。
妖力と技術力でなんとか威津那を押さえ込み負けさせ糸の呪術で魂を縛っている。
きっと、その糸さえも威津那は本気を出せば呪詛返しをすることもできるだろう……
橘に惚れていなかったら、橘と結ばれる運命ではなかったら、さしの勝負でどちらかが命を失うほどの事になっていただろう。
そんな威津那の力量を調べ、力を消耗させるにはいい機会かもしれないと考える。
レッドスパイを殲滅させることも重要だが、威津那の力量を調べるのも将来の阿部野殿候補を見極めるいい機会だと思う。
「あとは、桜庭の姫との相談だな…ん?」
晴綛は『桜庭』という姓に記憶がひっかかる。
「ここは日和強い思いを込めて祈りが届けば…祈り姫が思いを巡らせてその事も力を貸してくれるかも知れぬしな………はっ!」
晴綛は思い当たった。
そして、審神者の青い瞳を見開いて、天を仰ぎ誰かの話を聞き話し出す。
「……祈り姫の…御子…うむ」
「陰陽寮長?」
一人納得して独り言を呟く晴綛を威津那は怪訝そうに見る。
青い瞳をしているという事は神との交信中ということを橘から聞いたことがある。
「桜庭の姫の婚約者が無事に帰ってくる事は、かの方の願いでもあるからな……お前がいう召喚呪術を取り行おう。」
今度は歳の割には屈託ない笑顔でそう言った。
「僕の遊び心を聞き入れていただき、ありがとうございます。」
呪術に関する事は真剣にやるつもりだが本当に、その日に連れてこられるかはその時次第運次第で相談したことがすんなり通ったことに内心驚きながらも楽しみになった。
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